人生の祭典、恵比寿にて

2010/06/20, 21:27 | 固定リンク

6月20日 日曜日 曇り 

 花田裕之さんの50歳を祝う祭典。楽屋に入りきれないほどのミュージシャンと、満員のオーディエンスと共に、恵比寿にて。彼がギターを弾いている姿を初めて観てから、もう30年の月日が経った。おそらく、だけど。お互い、好き好んで「歌う」と云う役目に就いた訳じゃなく、やむを得ない状況の中、気がついたら、自分が歌う立ち場になっていたと云う意味で、花田さんから勝手に力をもらってきた。できれば、スポットライトを浴びたくない。でも、音楽が好き。人はそれを「ややこしい」と一言で片付ける。彼がギターを弾く姿。その人生と静かな情熱のすべてはそこに凝縮されている。彼は「ありがとう」としか語らなかったけれど、それは僕が花田さんに投げかけたかった言葉でもある。正確には「ありがとうございます」だけど。何を得て、何を失おうとも、すべては過ぎていく。でも、継続は情熱そのもので、才能で、そして力なのだ、ということをあらためて教えてもらった。何よりも、あれだけ寡黙な人が、あれだけの人々に愛されている。そこにエレクトリック・ギターを抱えて居合わせることができて幸福だった。僕は石橋凌さん、花田さん、井上富雄さん、Kyonさん、池畑潤二さんと共に演奏させてもらったんだけれど、男たちの愛情がそれぞれの音にこもっていて、ぐっと来た。素晴らしい夜だった。

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by 山口 洋