確かな風が吹いてきた、リハーサル初日

2010/09/07, 01:15 | 固定リンク

9月7日 火曜日 晴れ 

 何の根拠もなく、今週、風が吹いてくるだろう。そう思っていた。でも確信はあった。いつもの直感ってやつだけど。素晴らしい一日だった。願わくば、一日が30時間くらいあれば。

 さて、リハーサル。走ってから行こう。サプリメントを止めてから、食事には気をつけるようになった。何せ、喰うもので、全ての栄養を取らねばならないので、かなり面倒くさいが、この頃、不足しているものは、勝手に身体が欲するようになってきた。つくづくニンゲンは良く出来ていると思う。果物も大切な栄養だが、今まで僕は殆ど食べなかった。何せ、皮を剥くのが面倒くさい。でも、100%のグレープフルーツジュースを一日に2リットル飲まなきゃ生きていけなくなったし、果物売り場を観ると、「お、桃、美味そう」と思う自分がおかしい。
 走り出す前に、好物の「しらすおろし」を喰っていた。累々と釜茹でにされた「カタクチイワシ」の子供たちの死体がそこに横たわっている。僕は高知の「ゆずぽん酢」をその死体にぶっかけて、命を頂く。美味い。本当にごめんね、そしてありがとう。あんた達の未来を強奪したことは無駄にしません。つい、忘れるのだ。僕らの生は無数の「死」の上に成り立っていることを。究極を云えば、自分の手でその命を奪えないものは喰いたくない。里山の青年(20歳)は修行中にイノシシをシメる方法を学んだのだ、と。逞しい。僕は無理だ。だから、喰うべきじゃない。山の家の近くに、昔から住んでいる原住民の皆さんの最高の贈り物は「野生の鹿の足一本」である。もちろん毛と皮つき。もらったことある?ニンゲンとして、その厚意は無駄にはできないのだが、ヘタレの僕は困惑する。

 久しぶりにバンド全員が揃った。(魚さんは写真に映ってないけど、元気です)空白の時間は音楽が埋めてくれるので、くだらない話をしつつ、リハーサルは進む。しかし、我が事ながら、いいバンドだと思う。バランスが絶妙だ。お互いを知りすぎないところにとどめて、続きは明日に。確かに風は吹いている。

 そういえば(忘れるな)、魚さんとアルバムを作っていたのだ。僕の作業を随分前に終えて、彼に丸投げにしてあった。それが今日、魚さんから戻ってきた。たくさんの曲が収められたCDRはケースにさえ入っていなかった。裸だった。スタジオから家までの約一時間、僕はそれを爆音で聞きながら帰った。このまま僕の車は高速道路を離陸して、宇宙に飛んでいきそうだった。素晴らしいにも程があった。人生最高傑作が出来つつある。嗚呼、直感はこのことだったのか。この音楽はどのジャンルにも属しないと思う。それがゆえ、話題にもならず葬り去られる危険性もある。これまで培ってきた全ての力を結集して、この音楽を世界に届ける努力をしようと思う。っていうか、その前にツアーだろ。脳味噌は創造力で満ち満ちている。あまりにも多くのことを短い時間でこなさなければならない。でも、考え方を変えるなら、すべては繋がっていると思うのだ。ああ、生きてて良かった。

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by 山口 洋