その20年

2010/11/21, 21:50 | 固定リンク

11月21日 日曜日 雨 

 まだ夜が開ける前に家を出て、大阪に向けて車をぶっ飛ばした。朝陽が富士山を赤く染めていた。今週、二度目。静岡県に入って、太平洋から昇ってくる朝陽を観た。眠い。でも、今日はリクオのデビュー20年を祝うイベント。自分がされるのは好きじゃないけど、友達のそれなら喜んで参加しよう。
 奴はメジャーレーベルからデビューした同期のミュージシャンの中で、もっとも早くインディペンダントな活動を開始した男である。今とは違って、それは必要に迫られたことが動機だったのかもしれないが、友部正人さんを始めとする、第一艦隊のミュージシャンが自身の足で築いた、草の根の力を僕や次の世代に繋いだと云う意味で、その功績は大きい。15年前に、奴がこんなにしぶとく生き残っていることを想像できた音楽関係者は少ないはずだ。バブルの時代に音楽を札束としか観なかった連中が次々と死滅していく中、リクオは現代の鍵盤寅さんよろしく、街から街へ、港から港へ渡り歩いて、僕から観ると、「あんた大丈夫ですか?」みたいな信じられない人間関係を作り上げた。
 集まったミュージシャン全員、悪いバイブレーションはひとつもなかった。今日は神輿に奴を載せて、みんなで担ぐ。そんな気分だったんだと思う。それにしても、あんたの20年を祝ってんのに、自分で乾杯の音頭を取るのは止めなさい。おめでとう、リクオ。人生はこれからだ。演奏中に飲まないのを初めて観たけど、やればできる子じゃん。こっちの方が格好いいと、僕は思うけどね。

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by 山口 洋