the root

2005/11/30, 19:26 | 固定リンク

11月30日 水曜日 曇り 

 おかしいな?俺たちゃ、今ツアー中のはずなんだけどな、と思いながら、その合間に新しい曲を書いている。何とはなしに、ブルース・ホーンズビーを聞いていたら、そのあまりの演奏技術に我が身を振り返ってゲンナリしたので、久しぶりに散歩に出かけた。東京の空や木々はもう冬のものになった。公園のモミジも立派に赤く染まっている。
 自分に出来ることは何なんだろう?それを海外のミュージシャンと比較してみる時、この四季ゆえの「わびさび」としか言いようのない感覚が自分の中にもあることに気づく。ipodに膨大な数の自分のライブラリーを作った。レコーディングされたものはもちろん、リリースされていない音源や、ライヴ、それから新曲のリハーサルまで入っている。ちょー便利だ。その中に10年以上前、我が音楽の師、駒沢裕城さんとニール・ヤングの「週末にて」を演奏しているものがある。俺の英語の発音は置いといて、その演奏は四季を知ったる我々にしかできないものであった。多分今の季節にはビンビンに響く。でも、カリフォルニアじゃ無理だな。何だよ、この湿気は?てな結論に落ち着くと思う。
 ネヴァダの砂漠でスライドギターを弾いたことがある。全然音が違うのだ。一瞬、自分がライ・クーダーになったのかと錯覚した(なわけない)が、本来音楽とはそのようなものだと思う。先日、初めて津軽三味線を弾かせてもらったが、その音階は自分の血の中にあるものだった。でも、沖縄の三線はからっきしダメだ。俺は九州で生まれたけれど、多分北方の人間なんだと思う。飛行機を降りたとき、ひんやりとした空気だと、訳もなく「帰ってきた」っちゅー感覚がある。俺は両親の祖父母までしか知らないんだけれど、自分が何処から流れてきたのか、それを知りたくなった。分かっているのは両祖父母共にO型。両親もO型。つまり俺は完全無欠のO型ってことだけである。

img05110030_1img05110030_2img05110030_3
by 山口 洋  

Eye on preciousness

2005/11/29, 23:26 | 固定リンク

11月29日 火曜日 晴れ 

 最近、この国を支えているはずの同輩たちが、ひどく疲れていると感じるのは気のせいだろうか?ま、確かに時々俺もモーレツに疲れてるけど。
 
 終身雇用はとっくに破綻、金融機関も破綻、国の財政も破綻寸前、ようやく手に入れたマンションは手抜き工事、エトセトラ。書き出したらキリがないほど、確かにこの国には「希望」ってもんがない。でも誰だって生きていかなきゃならない。誰かは自分だけじゃなくて、家族を養わなきゃならない。じゃ、本当に「希望」ってもんはないのか?確実に「ある」とは云えないけれど、少なくとも、俺は「イエス」と応えたい。
 
 ちょっと話が大げさになるけど。太古の昔から、それは「愛」だったと思う。家族でも恋人でも配偶者でも友人でもペットでも。何でもいいけど、それは「愛」だったんだと思う。一人だけれど、独りで生きていない事を実感する時、わずかな「光」が見えてくることがある。どんな時代も、どんな国でも。ある種のニンゲンにとって本当に大切なことはひとつしかないんじゃねーか、と僕は思います。そのパーソナルな「愛」を人々が持つ事によって、もっと大きなもの、つまり環境やこの星への、あるいは他者への思いやりを持つことが出来るんじゃねーか、と。逆に今の時代は「本当に大事なもの」に気付くことが出来るチャンスのような気がするのです。
 と、俺がこんな事を考えるようになったのも、NY在住の写真家、トシ風間に出会ったからです。(彼のこと、幾度となく書いてきたので、ここでは繰り返しません。詳細を知りたい人は「以前の日記」から(トシ風間)で検索してみて下さい)彼のライフワークである全米の少年死刑囚のポートレイトは穏やかに、そして強く、その「愛」について語ります。日常に「?」を抱えてる方は是非、足を運んでみて下さい。


11/30(水) 福岡 西南学院大学 13時半〜15時(問)法学部平井教授 092-823-4407
日田 紫明庵 19〜20時半 「いのち」について考えよう(1,000円)(問)アムネスティ日田グループ成毛氏 0973-24-2190 

12/1(木)福岡 大名町カトリック教会大聖堂(092-741−3687)18時〜「いのち」の尊厳を考える(800円)(問)生命山シュバイツァー寺0968−72−3111

12/2(金)久留米 東町教会 19時〜 久留米東町教会木村牧師 0942-32-8437

12/4(日)花巻 青葉館0198-37-2130 16時〜17時半 500円 (問)017-723-2439

12/7(水)神戸 神戸学院大学 10時45分〜12時15分 (問)法学部春日教授078-974-5193
静岡 県福祉会館 18時半〜20時半 静岡ボランティア協会 (問)鳥羽氏
057-255-7357

12/9(金)東京 日本聖公会牛込聖バルナバ教会 19時〜20時半 いのちの尊さを考える(500円)(問)アムネスティ・インターナショナル、柳下氏 03-3518-6777

img05110029_1
by 山口 洋  

Big sky country

2005/11/28, 21:59 | 固定リンク

11月28日 月曜日 曇り 

 友人からメール。件名が「R.I.P」。嫌な予感。Chris Whitley、シンガー・ソングライター、そして希有なリゾネーター・ギター・プレイヤー。20日、ヒューストンの病院にて、肺ガンにて死去。享年45歳。俺は彼の音楽が好きだった。デビュー当時のスケールのデカい音楽も、グランジ時代は置いといて、そして近年の弾き語りも。ショーン・ペンが描いた傑作「インディアン・ランナー」に出てくるどうしようもない弟が奏でてるような「人間の」音楽だった(分かんねーか)。残念なことに、俺の廻りに彼を語るような人間はあまり居ない。だから、唯一彼を知っていた某コメにメールを送った。そしたら、Chris Whitleyが書いた歌の一節が送られてきた。

God my heart is ready now.
Well I been awake so long.
December is dragging on.
God my heart is ready now.

 そっか。準備は出来てたのか。何だか、訳もなく哀しくなった。俺がリゾネーター・ギターに手を染めたのは、ダニエル・ラノアや彼がそれを弾いてるのを聞いたからだ。彼等の音はブルースマンのそれとは決定的に違う音がした。渇いた切なさがあった。でもって、彼のコロンビアからのデビュー盤のタイトルは「Living with the law」だった。「法と共に生きる」。うーん。かつてThe Only onesのデビューシングルが「Whole of the law」ちゅー身も蓋もないタイトルだった事に匹敵する。何はともあれ、R.I.P。素晴らしい音楽をありがとう。クリス、安らかに眠れ。俺のipodの中にはずっと君の音楽が入ってるよ。

http://www.chriswhitley.com/

img05110028_1img05110028_2img05110028_3
by 山口 洋  

移動日 - 新しいアルバム制作への補足

2005/11/27, 23:23 | 固定リンク

11月27日 日曜日 曇り 

 今、ツアーバスは高速道路を東京に向けてひた走っています。流れゆく車窓を眺めながら、「何処かに辿り着かない道はない」と訳もなく思います。
 
 車内でいろんな話をしたので、ここで「2006HWニューアルバムプロジェクト」について補足しておきます。
 
 簡潔に書くなら、このプロジェクトはどこかのレーベルや会社の資本によってではなく、スタッフまで含めたバンドの力と、それを支えてくれるファンによって、まずは音楽制作が成り立っていることを目指しています。「back to basic」。作り手が居て、聞き手が居る。真ん中に音楽があって、愛とハピネスがある。それがビジネスとして成り立っている。その基本を取り戻したいという発想のもと立ち上げました。まずは足元を固めた上で、我々の音楽を聞いたことのない人々にも伝えにいくつもりです。自力で活動していくことは「規模の縮小」を意味するものではありません。逆です。ちょっとおこがましいけれど、このままでは沢山の良質の音楽が死滅してしまうと云う危機感もあります。僕にとって、心ある音楽を作り続けている多くのミュージシャンが、今この問題に直面し、それを何とかしようとフントーしています。どこまで行けるのか、不明ですが、今自分たちに出来ることに全力を尽くしてみようと思います。いつもながら、根拠のない自信に満ちています。何故なら、音楽の可能性をいつまでもバカみたいに信じ、そして感じているからです。無限大だと思うのです。自分たちが諦めてしまわない限り。スマイリー原島兄の言葉を借りれば、「音楽はヴェンチャーじゃねぇ、アドヴェンチャーだ」。まったく同感。
 このアイデアは元々旧知の事務所の社長からもたらされたものです。そして「エイブル2」と云う映画を小さな映画館で観ていた時、閃くものがありました。その素晴らしい映画は、趣旨に賛同した多くの人々の資金で創られていました。内容が素晴らしかったのはもちろんの事、エンドロールで無数の市井の人々の名前がクレジットされているのを観た時、訳もなくこみ上げてくるものがありました。時間はかかるかもしれないけれど、あの映画はきっと多くの人々の心を動かすでしょう。いつまでも日本中の小さな街で上映され続けるでしょう。僕はハリウッド映画を否定しません。先日も「チャーリーとチョコレート工場」を観たばっかりだし。ただ、そうでない方法で創られた映画があってもいいと思うのです。
 多くの方の賛同をお待ちしています。何か不明な点があれば、遠慮なく質問してください。web等でお応えする事も可能だと考えています。
 
 高速道路を東京に向けてひた走っています。流れゆく車窓を眺めながら、「何処かに辿り着かない道はない」と訳もなく思うのです。

img05110027_1img05110027_2img05110027_3
by 山口 洋  

ツアー初日、大阪にて

2005/11/26, 22:34 | 固定リンク

11月26日 土曜日 曇り 
 
 ツアー初日。午前中の新幹線で大阪へ。車内ではメンバー全員がMDやipodで曲を「身体に入れ」る恒例の風景。新しい曲やアレンジが「身体に入って」初めて、その場でのフレキシブルかつスポンテニアスな演奏が可能になる。一番最初に「それ」を終えて、爆睡体勢に入ったのは渡辺某だった。へへ。
 バンドにはいろんな時期がある。言葉に例えるなら、初期衝動、怒り、安定、破壊、突発的事件、瞬発、停滞、倦怠、奇跡、不安、調和、暴走、楽しみ、その他もろもろ。このメンバーはおそらくその全てを理解している。その上で、今は単に客席や気分が盛り上がることよりも、細かいニュアンスを含めて、音楽の表現の可能性を追求している時期だと云える。聞く人にとっては、バンドに「安定」を感じているかもしれないし、事実そんな部分もあるけれど、実のところ、全て何処に音楽が進んでいくのか不明のまま「綱渡り」の状態で演奏することを楽しんでいる。今日はエンジニアS氏との初仕事と云うこともあって、各人のダイナミクスを全員が把握しようと耳をダンボにして演奏していた。それは書けば簡単なことだけれど、意外と難しいのだ。でも、バンドが確実に前を見据えていること。それが何よりも嬉しかったし、新しい曲たちは人前で演奏することによって、そのポテンシャルと改良の余地があることが明確に見えてきた。とは云え、心のどこか奥底には「サーチ&デストロイ」の精神が流れているからして、相互理解が度を越えたきたら、また誰とはなしにブチ壊すのだろうけど。きっと。そんな風に「学んでる」のか「学んでない」のか不明な、我々の音楽から何がしかのハピネスを持ち帰ってくれたら、こんなに嬉しいことはない。
 今夜の白眉は某曲の演奏中、渡辺某が俺のところにやってきて放った言葉「ヒロシ、この曲のテーマが思い出せん」だった。あんまり可笑しかったので、そのままその言葉を魚に伝えた。奴とは長い間ステージに立ってるけど、ここまで大物だとは知らなかった。ワン。

img05110026_1img05110026_2img05110026_3
by 山口 洋  

おふとんの国にて

2005/11/25, 23:52 | 固定リンク

11月25日 金曜日 天候不明 

 気絶。ただ、ただ、おふとんの国の住人。至福。

by 山口 洋  

リハーサル終了

2005/11/24, 23:57 | 固定リンク

11月24日 木曜日 曇り 

 川崎の某スタジオ。リハーサル、全日程終了。最終日に至っては飯を喰う時間もなかった。今回は新しい曲に取り組んでいたから、仕方ないんだけど、肉体的にはしんどかった。やるべき事はやったから、後は野となれ山となれ。ウチの場合、フィックスされた事を演奏してる訳じゃないので、ステージに上がってみなければ分からない。日によって演奏は全く違う訳だし。願わくば、切ない日々だけど、その中にあるわずかなハピネスの光を描ければ、と思う。
 あ、俺のディレイ話の続き。スタジオの人の好意で更なる改造が施されたにも関わらず、思ったようには機能せず。ま、人生はこんなものです。

img05110024_1
by 山口 洋  

摩耗

2005/11/23, 23:48 | 固定リンク

11月23日 水曜日 曇り 

 川崎の某スタジオに場所を移して、リハーサル4日目。早出をして、ギターの整備をする。どうにもツマミの調子が悪かったから。しげしげと至近距離を眺めてみると、20年以上の酷使に耐えてきたそのツマミは堅牢な金属で出来ているにも関わらず、他のツマミに比べると、約1.5ミリ位小さくなっていた。嘘だろ?と我が目を疑ってみたが、本当に小さくなっていた。

img05110023_1img05110023_2img05110023_3
by 山口 洋  

晩餐

2005/11/22, 16:59 | 固定リンク

11月22日 火曜日 曇り 

 忙しい日々の中、まずおろそかにされるのが食事である。「喰ってる時間があったら、寝た方がマシ」っつーのは危険な兆候だ。眠い目をこすりながら車を運転して、前日のリハーサルのテープを聞いて、ようやくスタジオに辿り着いたら、コンビニに行ってサンドウィッチをかきこむ。き、危険だ。だから、自分が今何を喰いたいのか考えてみる。昔、どこの家にもあった中庭を眺めることができる座敷(別に高級住宅を意味しません、この場合)に座り、庭の紅葉なんぞ眺めつつ、傍らにはブサイクな猫が寝ていて、炊きたての麦飯ととろろ、納豆と卵焼きと味噌汁と漬け物。そんな食事がしてみたい。でも実際のところ、書きかけの歌詞が散乱した仕事部屋で、コンビニで買った無糖コーヒーを飲みながら、ウンウン唸ってる自分が空しい。

img05110022_1
by 山口 洋  

リハーサル3日目

2005/11/21, 23:00 | 固定リンク

11月21日 月曜日 天候不明 

 しょーもない話で恐縮。
 俺はギターを弾く時にエフェクターってやつを二つ使ってます。フェイザーとディレイです。でも、弾く時には何も考えてません。本当です。必要な時に手や足が勝手に動くのです。 長年(って20年位かな)ずーっと同じアンプとギターを使ってて、システムもほぼ同じなので、もう身体の一部と化しているのです。でも、キーラのツアーの時、僕のギター廻りを全てケアしているHが帯同しませんでした。するってーと、足回りが伸びたソバよろしくケーブルまみれになって、一人でセッティングも出来ないことに気づきました。案外情けない男です。時折、ギターを弾く青年に、「どうやってあの音出すんですか?」と質問を受けるのですが、答えようがありません。本当に楽器を弾く時はほぼ考えてないのです。
 で、話は続きます。バンドで新しい曲に取り組んでいます。微妙なニュアンスさえ、バンドは表現するようになりました。いい感じです。そこに来て、俺のディレイがあまりに旧式過ぎて、その演奏に対応しきれなくなりました。さぁ、困った。ローディー君がさんざん頭を悩ませて、「一番操作が簡単なもの」をゲットしてきてくれました。俺はその機能に驚愕しつつも、「うひょー、すげぇ。今までの悩み、一挙かいけつーーーーーっ」とひとりごちました。さて、その問題の曲を演奏しました。し、しかし、そのイントロを弾く時、俺は「考えて」いたのでした。「えっと、これってどうやって操作すんだっけ?」。ペダルを踏むだけじゃー、バカ者。でも結局のところ、魂のこもっていないイントロに音楽の息吹が宿るはずもなく、俺はバンドの足を引っぱったのでした。「策に溺れる」とはこの事か。トホホ。現在、その新しいブツを使うかどうか思案中。魚君の足下、手許には無数のスイッチがあります。俺のところには、たった3つしかないのに。かなり情けないっす。しかも、すぐ頭が混乱する俺のために、Hの厚意によって、「これを踏んだら、四分音符、符点八分音符、八分音符、二拍三連」と書かれています。ああ、それなのに。以上リハーサルの現場からでした。スタジオにお返しします。

img05110021_1img05110021_2
by 山口 洋  

リハーサル2日目

2005/11/20, 22:47 | 固定リンク

11月20日 日曜日 曇り 

 子供の頃から、あるようでないような、それでいてきっと何処かに存在しているような、そんな風景が頭から離れなかった。殆どの場合、それは一本の道だった。最初はそれを絵で描こうとした。文章で書こうとした。写真で描こうとした。映像でやってみようとした。でも、そのどれもに何かが欠けていて、満足できなかった。一番可能性を感じたのが音楽だった。バンドで演奏していると、信じられないものを見せてもらえる時がある。奇蹟のような瞬間。それは確かにある。
 近頃、目を閉じると見えるものは、自分の手には負えなくなった。理由も、場所も、まるで何なのかも分からない。ただ、混迷しているだけなのかもしれない。でも、きっとそれだけじゃないと思う。だから、それを追いかけている。いろんな人々と共に、多くの力を借りて。

img05110020_1img05110020_2
by 山口 洋  

リハーサル初日

2005/11/19, 23:47 | 固定リンク

11月19日 土曜日 天候不明 

 朝刊でボディーショップの女性社長のインタビューを読む。会社の経営者と呼ばれる職業に俺は一度も興味を持ったことがなかったが、彼女の経営方針は目から鱗だった。いわく、「スウェットショップと呼ばれる劣悪な労働環境で作られた製品は一切買わない。それは人権を脅かしてできた製品だからだ。瓶入りのミネラルウォーターも決して買わない。水は万人に開かれた公共財であるべきで、私企業が囲い込んでいいものではないからだ。その代わり、出来るだけ途上国の地域の自立を促す製品を買う。貧困と云うのは、経済的貧しさだけではなく、貧困から抜け出す手段がない環境に対する想像力の貧しさ、貧困に苦しむ人々を思いやることのできない精神の貧しさにある」、エトセトラ。彼女の考え方はこの時代にモノを作りながら、どうやって世界と関わり、自らがサバイヴするかと云う示唆に富んでいた。とてもこの場所じゃ全てを紹介しきれないので、興味がある人は読んでみて欲しい。
 昼過ぎ。都内某スタジオ。ツアーのリハーサル初日。面倒な事は山ほどあるし、メンバーもそれぞれに忙しくて大変だけれど、新しい音楽に向かっているのは、本当に楽しい。

img05110019_1img05110019_2
by 山口 洋  

ラジオの収録とLondon Calling

2005/11/18, 23:28 | 固定リンク

11月17日 金曜日 曇り 

 夕方、ラジオの収録。ディレクターS君の発案で「寒さ」、あるいは「北の」音楽についての特集。何のかんの云って、アマチュア時代から細々ともう20年くらいラジオの番組をやらせてもらってる。時代の趨勢に関係なく、俺にとっては素晴らしいメディアだっちゅー想いは今も変わらない。今の俺があるのは、FMのおかげだとも云えるしね。あの時、あの曲がラジオから流れてこなかったら、と云う出会いが無数にある。だから恩義もある。送り手となった今も、ひょっとして俺がかけた曲で誰かの人生が変わるかもしれんっつー可能性だけは心の中に留め置いてる。実際自分がそうだった訳だし。聞いてる人には分からないだろうから、喋ってるブースから見える景色はこんな感じです。ディレクターS君をリスナー代表として、ある事、ない事語りかけます。何か届くといいな、と思いながら。
 さて。都会に戻ってくると、腹の底から怒りがこみ上げてくることが沢山ある。1979年にバンドを始めてから、一度たりとも、楽だったことなんてない。いつだって越えなきゃならん山ばかりで、逆にそのおかげで今の俺があるとも云える。時代はいつも変わり続け、乗り遅れた者は「時代遅れ」と失格者の烙印を押される。ただ、俺が伝えたい事は、いつの時代も輝きを失わないはずの「人間の本質」ってもんがある。花に触れて心を動かされ、恋をして天に昇り、たまにモーレツに傷つき、人間ってものに深く感動して、たまに裏切られる。本当に人間は面倒臭くて、大バカだけど、たまに素晴らしい。だから諦めないし、妥協はしない。俺の頭の中にはピンチになると流れる「London Calling」再生スイッチがある。それも最初はラジオから流れてきたものだ。ジョーが俺にこう云った。「火を絶やすんじゃない」。I agree ! そんなに簡単に出来ないって云うなよ。やってみなきゃ分からんだろ?俺が云ってることが嘘だと思うんなら、目ん玉かっぽじって、遠藤賢司さんのライヴを観てみなよ。諦めるなよ、流されるなよ。俺もその「火」を絶やすつもりはない。

img05110018_1img05110018_2
by 山口 洋  

撮影

2005/11/17, 23:57 | 固定リンク

11月16日 木曜日 晴れ 

 埼玉にある「トトロの森」で撮影。今のバンドをフツーに撮ってくれんのは旧知のカメラマンOしかいないだろうって事で、奴に任せた。久しぶりに一眼レフとか、ローライのファインダーを覗かせてもらったら、あまりの質感の素晴らしさに絶句。デジタルにはどうあがいても出せない豊潤さがある。埃をかぶったままになってる、アナログのカメラに戻ろうかな、と思う。
 都内に戻り、九州料理屋でバンドの今後を話し合った。実りあるものだった。詳細が決まったら、web等でアナウンスするから、ちょっと待ってて下さい。来年はフルパワーで邁進します。ところで、この店。以前から相当高慢チキだったんだけど、やっぱり今日も鼻持ちならなかった。あのような九州人が「九州料理」と名を打って、渋谷に店を出してることが我慢ならんっつーか。商売ってのは「味と心」だと、俺は思うぜ。よ、九州人。 

img05110017_1img05110017_2img05110017_3
by 山口 洋  

冬京

2005/11/16, 23:23 | 固定リンク

11月16日 水曜日 晴れ 

 まるでブレード・ランナーのような街になってしまった冬の都で、俺が生まれた頃の東京を描いた映画を観る。何とも云えず、複雑な気分になる。我々は何を得て、何を失ったんだろう?そして今日のこの風景も、やがてノスタルジアと共に眺められる日が来るんだろうか?俺は来ないと、思う。何故なら、この風景からは人が暮らしている姿が見えてこないからだ。街の樹木には電飾が施され、人々は携帯のカメラでそれを移す。それは本当に美しい光景なのだろうか?見上げた空には東京タワー。高度成長も、バブルも凋落をも見守ってきたはずの彼の姿だけは凛々しく都会の空に突き刺さっていた。

img05110016_1img05110016_2
by 山口 洋  

トンカツ屋考

2005/11/15, 23:11 | 固定リンク

11月15日 火曜日 晴れ 

 都会だと、どうも調子が悪い。「閃き」がない。山に居る時と同じように、自分でちゃんと飯を作ってはみるものの、「閃き」がない。どうしようもない。泳いでみるものの、「閃き」がない。うーん、ままよ。「そうだ、トンカツ喰おう」。脳味噌がそう云ったので、美味いと云われている店を紹介してもらい、出向いた。こ奴は東京で5本の指に入るトンカツ職人だそうな。しかし、愛想が悪い。ちょっと常軌を逸してるくらい、愛想が無い。主の心持ちが店員にも浸透していて、居心地が悪いったらありゃしない。スマイル0円とは云わんが、頼むからたまには笑ってくれよ。しかし、トンカツは美味かった。キャベツのパリパリ感も、トンカツの柔らかさも、大きさも、味噌汁も、飯の仕上がりも。非のうちどころなし。ま、値段もそれなりだったからして、美味くて当たり前と云えばそれまでなんだけどね。俺は思うんだ。いろんな店があっていい。いろんなコンサートがあってもいい。でも、そこまでストイックになんなくてもいいじゃん。会話のない食卓ほど辛いものはないんだし。客商売なんだし。「へい! お待ち」なんて云われた日にゃ、美味さ100倍だったんだけどな。

img05110015_1img05110015_2img05110015_3
by 山口 洋  

Dirty old man

2005/11/14, 22:25 | 固定リンク

11月14日 月曜日 晴れ 

 まったく大した魂だよ。
 都会に戻り、俺の友人の中でも最年長者であるS氏からの手紙を読んだ。彼は70ウン歳、四国の某県在住で、英語学者で、アウトサイダーでもある。ひょんな縁でかれこれ10年以上、便りを交わしてきた。一方的に無数のインスピレーションをもらってきたんだけれど、今回のはちとばかし衝撃的だった。そういえば、しばらく便りが途絶えてはいたけれど。
 内容はこうだ。
 4月8日に救急車で病院に搬送され、翌日に右脚ひざ下約20cm以下を切断。直接の原因は靴ずれによる傷にバイ菌が入り、組織が壊死したためだが、間接的原因は長年に渡る糖尿病。その後、過酷なリハビリを経て11月中旬に退院予定。これが極秘裏に敢行された理由は、お見舞いに関する諸々に対応しきれないと判断したから。S氏は痛みに苦しむこともなく、また療養生活を味わい尽くし、むしろ楽しんでいた模様。その間に観察したことなど全てが次回作品に活かされる予定。しかし、某県の文化賞を受賞。それは某県では最高の賞で、文化の日にご夫婦揃って車椅子で表彰式に出席する予定。
 全くもう。メゲないっつーか、何っつーか。そんな彼に「大丈夫ですか?」なんて書ける訳もなく。「ただひとこと。そのメゲない魂に敬服」、と書き送った。我が身に起きた事。どこどこまでもポジティヴに受け入れると、そこから巻き起こる結果はかなり違ったものになる。とは云え、云うは易く、行うは書くまでもなく。同封されていた写真には我がヒートウェイヴのT-シャツを着て、うら若き美女と共ににっこり微笑むS氏の姿。か、勝てねぇ。達観と云うよりは、その瞳の中にはエロスを伴った生命力を漂わせているのであった。うーん。感服。人生は深い。そんな素晴らしき彼に、俺の机の上に咲いている、季節はずれのフリージアを贈ろうと思う。ブラボー。

img05110014_1
by 山口 洋  

Wedding

2005/11/13, 23:23 | 固定リンク

11月13日 日曜日 曇り 

 常日頃と云うよりは20年くらい前からお世話になっている某氏、そして某嬢の結婚パーティーに行く。ここに書くまでもなく、いろんな荒波を超えてきたミュージシャンと呼ばれる人たちは素敵な人たちだった。その思いやりとか、情けとか、厳しさとか、エトセトラ。願わくば、みなさんに幸多からんことを。

by 山口 洋  

都会に戻る

2005/11/12, 23:16 | 固定リンク

11月12日 土曜日 晴れ 

 山を下りた。親類に挨拶しにいくのに、スーツを着た。俺ってカンペキやんとひとりごちたら、靴はブーツしか持ってきていないことに気付いた。間抜けだった。東京への最終便に乗ろうとしたら、渡辺某にばったり会った。同じ便だった。あはは、何だか笑える。
 

by 山口 洋  

森の生活

2005/11/11, 15:12 | 固定リンク

11月11日 金曜日 雨 

 朝から雨が降り続いている。吠える風に木々がなすがままに揺られている。雲も風に叩きつけられている。美しい、と思う。静かな山の日々。それゆえ、久しぶりに自分の激しさも見つめた気がする。大事なものもしっかり見えてきた。もういいだろう。山を下りよう。ありがとう。クリムト。

img05110011_1img05110011_2img05110011_3
by 山口 洋  

フールとクール

2005/11/10, 23:54 | 固定リンク

11月10日 木曜日 晴れ 

 フールとクールが織りなすミドルエイジのバラッド。山の中で手を付けたかった最後の曲に取りかかった。日めくりをめくるように、スライドショーを見るように、心証風景だけのフラッシュバックだけで歌が完成しないだろうか、とウンウン唸っている。でも、それが楽しい。長年のうちに、産みの苦しみに慣れたのだろうか。そりゃ、自分を褒め過ぎか。でも、キンキンに冷えた空気の中で、自分の脳味噌と闘っていることがとても楽しい。

img05110010_1img05110010_2img05110010_3
by 山口 洋  

WK参上

2005/11/09, 23:38 | 固定リンク

11月9日 水曜日 曇り 

 昼過ぎ。渡辺某がやってくる。母上作による「がめ煮」つき。いや、何とも。素晴らしきかな、母の味。風呂に入って、さんざんユルんで、バンドの話もゆっくりして、曲を作る。考えてみれば、奴とこんな風に曲を作ったことはなかった。3曲分くらいのアイデアをモノにして、飲んで寝た。今まで殆どの曲を俺が書いてきたけれど、次のアルバムはいろんな人間のアイデアを凝縮したものになるだろう。それが嬉しい。

img05110009_1img05110009_2
by 山口 洋  

the circle

2005/11/08, 18:27 | 固定リンク

11月8日 火曜日 晴れ 

 ネット社会のコミュニケーションを心の底からは信じていない。けれど、性善説にのっとってみれば、素晴らしいツールだと、同時に思う。バンドのサイト宛に、世界のいろんな所から時々メールが送られてくる。ブラジルだったり、南アフリカだったり。そして彼等は30年近く会っていない友人だったりする。そっか、奴は地球の反対側でがんばってんのか。距離感がつかめないまま、返信して、近況を語る。そして更なる旧友を紹介されて、空白の時間に起きたことを知る。誰かの父上が亡くなった。昔、さんざシバかれた先生が倒れた。エトセトラ。俺は一度も過去を振り返らずに生きてきた。そんな気持ちの余裕がなかった。けれど、不義理をして悪かったと、心から思う。多分、ネットがなければ、こういうリレーションがなかったことだけは間違いない。
 朝方。この家を設計してくれた建築士のご夫婦がやって来てくれた。彼等は地元の木材を使い、それを山から切り出し、現代の設計をして、それを地元の大工さんに施工してもらうと云う新しいやり方に取り組んでいる。つまり多くの住宅会社とは全く違うやり方を模索している。云うは易し、行うは云うまでもなく。どう考えても、その土地に家を建てるための木材は地のモノが良いに決まってる。仕事は地元に落とす方がコミュニティーがうまく回転するに決まってる。ただ、木材を例に取ると、商品にするには今植えたとして、ひ孫の代まで育てなければならない。そんな気が遠くなるような話だ。この国は戦時中に、後先考えず木を伐採した。それゆえ、ひ孫の代まで待てば、何百年と持つ家が建つはずだった木材が不足している。コストを考えると、輸入材に押されていく。林業は廃れる。技術は継承されない。外国の森は伐採されていく。悪循環。どこかで聞いた話でもある。
 音楽もネットも建築も何もかも。全ては同じところに繋がっていると思う。現代のツールをうまく使って、独りよがりでない、先を見越した仕事は出来ないのだろうか。自分だけ良ければいいと云う時代は終わった気がしてる。その昔、ネィティヴな人たちが当たり前に実践していたこと。ジェリー・ガルシアさん達が夢想したこと。 エトセトラ。夢想することを忘れなければ、いつか物事はthe circle - 円環を描く気がする。描かなかったとしても、俺は人間はそこまで捨てたもんじゃないと思いたい。
 それにしても、名も無い植物って、本当に凛々しくないかい?俺、勝ち目ねぇと思うもん。こんな風にまっすぐで居たいと思う。たとえ、ミドル・エイジと呼ばれていても、ね。
 新しい曲が沢山生まれてます。楽しみにしてて下さい。俺はすっかり元気に、しかもデブになりました。明日は渡辺某がやって来るそうです。じゃ、今から地元の方の宴にお呼ばれしてきます。ワン。
 

img05110008_1img05110008_2img05110008_3
by 山口 洋  

Don't give up

2005/11/07, 16:15 | 固定リンク

11月7日 月曜日 日本晴 

 ゆっくりと、しかし確実に。精神が恢復していくのを感じている。こんなところにぽつねんと独りで居ることは、寂しくないと云えばウソになるけれど、今の俺にはとても大事な時間のような気がしてる。
 そんな時は、見計らったかのように、近所の皆さん(近所っつても、隣の家まで歩いて500メートルはあるけど)が宴に誘って下さる。あるいは都会から、心のこもったものが送られてくる。信じないかもしれないけど、俺はここの住所を知らず。だから、「何とかさんの家の隣」って云う住所で送られてくるんだ。
 今日の宴も心づくし。美味いものがテーブルの上にずらりと並んでる。そうそう。地元の方が裏庭に椎茸を植えて(かな?正確には菌を注入して)くれたんだけど、これが何とまぁ、ウソみたいに生えてくるんだよ。その成長加減ってのが、嬉し怖い。お、お前は一体何なんだよ?植物なのかよ?菌なのかよ?何でそんなに湿ってんだよ?(収穫直後は含んだ湿気で重い)何で香しいんだよ?どーしてそんなに成長するんだよ?お前の栄養分は一体何なんだよ?まったく、この世には不思議な事が沢山あるね。
 さて、宴に話を戻して、と。今日は某コメと夏に滞在してた時、はるばる大分県からやってきてくれたエンターテイナーIさんとも再会した。Iさんは我々歌手なんかが足元にも及ばない芸をお持ちなんである。本日は得意の津軽三味線を手に、「ヤサホーヤ」なんて即興で歌ってくれるのである。か、敵わん。しかも、一部始終はホスト役のKさんがジャパネットタカダで購入したヴィデオによって記録されていた。この状況が何が素晴らしいって、俺が最若輩者にあるところだ。人生の荒波を超えてこられた面々の前では、出る幕なし。で、津軽三味線ってのは魂の音がする。基調はCでチューニングされてるんだけど、使うポジションや響きが沖縄の三線とはまったく違うんだな、これが。絶妙なマイナー・ノートで出来てる。人生と暮らしの厳しさが、音階と演奏方法に見事に反映されてる。俺はIさんとセッションさせてもらって、その魂を浴びた。一言で書くなら、深い。うん。深かった。
 日付は変わって。今日は雲ひとつない日本晴れ。だから、何もせず、ぼーっとしてた。だんだん、気力が満ちてくる。「Don't give up」なんてアラレもない言葉が湧いてくる。さ、美味しい椎茸のパスタを喰ったら、音楽に向かおう。何にせよ、ありがとう。Thanks for EVERYTHING! 俺は一人で、そして独りじゃない。その事に深く感謝してる。

 

img05110007_1img05110007_2img05110007_3
by 山口 洋  

wild in the street

2005/11/06, 15:57 | 固定リンク

11月6日 日曜日 大雨 

 昨夜から降り続く大雨。誤解を承知で書けば、穏やかな山の気候も、こんな暴風雨もどちらも嫌いになれない。きっと、自分が内包している風景の振り幅と同じだからだろう。都会では「脱力」した歌ばかり書いていた。空虚だけれど、何処かポジティヴ、そんな歌ばかりだった。けれど、昨夜、一晩中雨が地面をたたく音を聴き、挙げ句の果てに頭の中に鳴り止まなかった言葉は「Wild in the street」だった。ガーランド・ジェフリーズの名曲のタイトルだと記憶してる。どうして、そんな言葉が突然止まらなくなるのか、それは自分でも分からない。大都会から大自然までの振り幅が自分にはある。だから、相反するものが、相互の場所で見えてくるんだろう。ガーランド・ジェフリーズのそれと、今鳴っている音や言葉は全く違うものだけれど、彼がその曲を書かなければ、俺に今の景色は見えなかっただろう。だから、感謝の気持ちを込めて、それを自然の中で仕上げたいと思っている。荒々しく丁寧に、素っ気なく執拗に、決してメゲない負け犬の歌だ。ハイホー。

img05110006_1img05110006_2img05110006_3
by 山口 洋  

Smile

2005/11/05, 18:47 | 固定リンク

11月5日 土曜日 晴れ 

 ブライアン・ウィルソンがあまりも長いブランクの末、2004年にロンドンで幻の名作「Smile」を演奏するドキュメントを観た。そこには音楽の素晴らしさ、マッドネス、難しさ、厳しさ、エトセトラ。すべてが詰まっていた。掛け値なしに、本当に素晴らしかった。タイトルが「Smile」ってところが涙腺を直撃する。ヤバかった。
 山の生活にも慣れた。煮詰まったら、柄にもなく「pet sounds」を聴いている。傍らから薪が燃える匂いと、スープの匂いが漂ってくる。来て良かった。自分のために食事を作り、草を刈り、買い物に行って、洗濯して、家のメンテナンスもやって、風呂に入る。生活の中に音楽があるのが俺は好きだ。何とか2曲をモノにしたよ。嬉しかった。ありがとう。

img05110005_1img05110005_2img05110005_3
by 山口 洋  

蒼い朝と草刈ヒロシとマイクスタンド

2005/11/04, 17:57 | 固定リンク

11月4日 金曜日 晴れ 

 この俺が昨夜は一滴も飲まずに寝た。で、窓の外の蒼さに目覚めた。午前5時。都会だったら寝る時間だ。ん。散歩しよう。蒼い朝って最高だよ。ずんずんと峰まで歩いて行くと、眼下には雲海が広がっていた。この世のものとは思えない眺めだった。
 ところで、この家はジャングルと化していた。とある場所に友人たちが作ってくれたgrave yardがあるのだが、そこまでも辿り着けず。遂に俺は麓の街でエンジン付きの草刈りマシンを買った。ひやっほう。嬉しかった。楽器よりも。ところで、草刈り作業。見かけの3倍は疲れる。手はしびれる、腰は疲れる、石は飛んでくる。たかが20ccのエンジンに振り回される。でも夕方には何とかサマになってきたけどね。
 夕刻。東京から楽器が到着。これで草刈り系ロッカーから作曲系ロッカーに変身できる。夏、浜田某のレコーディングをここでやった時は、かなりの機材を持ち込んだが、今回はちっちゃいPro Toolsとギター一本だから楽なのだ。へへ、新しい機材は買うもんだぜ、と自分のアイデアに酔っていたら、マイクスタンドを忘れた事に気付いた。それがなきゃどーやって録音すんだよ。えーっ。近いうちにここにやってくると噂されている渡辺さんに伝言です。博多でマイクスタンド買ってきて下さい。お願いします。じゃなきゃ、スタッフのみなさん、申し訳ないけど東京で買って送って下さい。お願いします。にゃーっ。

img05110004_1img05110004_2img05110004_3
by 山口 洋  

阿蘇にて

2005/11/03, 19:24 | 固定リンク

11月3日 木曜日 晴れ 

 阿蘇にエスケイプ。しばらくここで曲を書こうと思ってる。でもギターが未だ到着せず。あんなに沢山種を撒いたのに、今年もコスモスは2輪だけ。でも可憐で美しかった。薪ストーブに火を入れた。山はもう冬だよ。

img05110003_1img05110003_2img05110003_3
by 山口 洋  

such a perfect day

2005/11/02, 23:18 | 固定リンク

11月2日 水曜日 曇り 

 福岡に帰る。念願のラーメン屋に出向き、青春を彩った海に足を運び、美味いものを喰らって、居心地の良い飲み屋で一息つく。完璧だけど、飲み過ぎだ。

img05110002_1img05110002_2
by 山口 洋  

the way

2005/11/01, 23:21 | 固定リンク

11月1日 火曜日 曇り 

 俺の事を「おじさん」と呼ぶ、遠くだけれど血の繋がった青年が居る。彼は時々俺の所にやって来る。ナイーブで、とっても心のきれいな奴だ。彼と会うのはとても楽しい。だけど、彼のような人間が生きづらい世の中であることは確かだ。そこを何とか、サバイヴして欲しい。俺に出来ることだったら、何でもするぜ、と何も出来ないのに俺は思う。でも、青年。honestは力だ。それは力なんだよ。面倒臭いけど。
 今日響いた言葉。Some people will say that you are going wrong way, when it is simply a way of your own. 誰でもが自らと静かに向き合って、見つけた路を行くだけです。ありがとう。沢山の愛を込めて。

by 山口 洋  
- end -