モノとの訣別

2005/10/08, 21:51 | 固定リンク

10月8日 土曜日 雨 

 身軽で居たいから、シンプルに暮らそうと心がけてきたけれど、意に反してモノは増えていくばかり。大して何も買わないのに、雨後のタケノコよろしく溢れていくモノたちを横目に、俺は半ば恐怖を覚えていた。でっかい地震が来て、モノに埋もれて圧死するのは嫌だ。
 新しい本を読み終えたら、手許に残すのは本当に大切なものだけにして、誰かに進呈しよう。CDはipodに入れて、若者に進呈しよう。ギターが一本増えたら、可愛がってくれそうな奴に一本プレゼントしよう。
 そう思い立って、まずは身の回りのものから整理を始めた。多分、そんな季節なのさ。捨てることに罪悪感がある。でも、申し訳ないけど、誰にも差し上げられない類いのモノは捨てるしかない。
 ipodを使うようになって、誰かの言葉を借りれば、「学生の頃にレコードをカセットに録音してた」感じを思い出した。無論mp3だからして、音質はかなり?だけれど、例えば、バンドの過去のライブラリーがリハーサルも含めてすべて収録されているからして、至極便利。旅先や車の中で、嫌いな音楽を聴かされることもない。でも、我々がミックスの時にこだわってる音がユーザーの環境で再現されているか、と云うと、それもまたかなり?なのだ。音楽の評論を生業としている方の家に行った際、LRのスピーカーが逆にセットされていて、おまけにスピーカー・ケーブルが逆相(片方のスピーカーのプラスとマイナスが逆に接続されてた)っちゅー、ミュージシャンにとって末恐ろしい状況で音楽が再生されていたことがある。それでも格好いい音楽は格好いいんだけど、今後は配信される音楽にはそれなりのマスタリングが必要だとは思う。

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by 山口 洋