カリフォルニア

2005/10/26, 22:45 | 固定リンク

10月26日 水曜日 雨 

 スイヨウビ。一キロ泳いだ以外はずっと歌を書いている。カリフォルニア。何故かカリフォルニア。どうしてサビがそうなのか、さっぱり分からず。頭の中にあるのは、海の香りがする小さな街。初冬の函館のようで、九州の小さな漁村のようで、みんな何処へ行ってしまったんだろう?送り火と迎え火の間に。もうすぐ暦は冬。世界が擦れて見える。そこから夜が染みてくる。無数の漁り火、無数の真珠の光、凍てついた道、空には無数の星。強烈な眠りの波、後悔と記憶の波。文明は海岸線で終わりを告げる。漂ってゆく独り、抗ってゆく独り。波のように自由で、風のように孤独だ。男たちの肋骨も、女たちの鎖骨も。伝えられなかった記憶を辿りながら、立ち去る理由を探している。あぁ、カリフォルニア。

by 山口 洋