不器用に、そして丁寧に

2008/02/08, 21:58 | 固定リンク

2月8日 金曜日 晴れ 

 デビューしてからの十年間はこの手の「創作」の時間がたんまりとあった。半分くらい日本に居ず、ほぼ外国を放浪していた時期もある。でも考えてみれば、それはレコード会社や事務所の庇護の元、やんわりと飼い殺しにもされていた訳で、今日、俺が手にしているそれとは大いに異なるものだ。俺はそれをこの手でつかみ取った。夕方のタイムセールで殺し屋のような目をしたオバサンとほぼ同じような心境で。だから、自分のために丁寧に時間を使いたい。誰かが締め切りを設定する訳でもない。完璧な自由。そして、誰も俺を守ってはくれない。当たり前だ。だから、全責任は俺にある。それが心地よい。
 一日かけて、脳味噌の中を散歩した。暗くて、ジメジメと湿気もある、けれど光もある。誰かの言葉を借りるなら、何かに乗りそこなって、何かから下りそこなったのかもしれん。けれど、そこには光があった。漠然と登場人物たちが見えてくる。その相関関係も見えてくる。歌を書いていると云うよりは脚本を書いているみたいだ。変わりゆくすべてのこと ー どうでもいい一瞬のこと ー 変わらないひとつのこと、不器用に、でも丁寧にそれを紡いでいる。俺は道をつくる、必ず。

追伸
「made in Aso」に続いて、いくつかのお店で「Land of music / the Rising」を扱いたいと。実物を観てから、と云う人は足を運んでみてください。どのお店も、それぞれに魂の入っている「Land of music」です。数に限りがあるってことと、レコード屋さんではない場合、そちらの本業に興味を持って、足を運んでくれると嬉しいです。今月から始まるトリオのツアー、もちろん通販では常時手に入れることが可能です。
http://www.ads405.jp/
みなさんから続々と寄せられている感想は各クリエイターに届けられています。そのリプライ等も、特設サイトで企画中です。どうぞよろしく。

「Land of music / the Rising」を置いてくれているお店の情報です。

東北地区

1. アサイラム(青森県弘前市)  業種 - 魂の入った飲み屋
弘前市が誇る入魂のレコード・ショップ、「joy pops」亡き後、店主ヒロシ(54)が始めたアナーキーな飲み屋。ここには5万を超える収録曲を誇るスーパー・コンピューターから絶え間なく素晴らしい音楽が流れています。飲み物はすべて500円。意味不明なチャージなんて、もちろんありません。あるのは無愛想な店主の妙なホスピタリティーと極上の音楽のみ。俺が飲み屋に求める全てがここにあります。ただし、店主変人につき、店のありかは伝えません。自分で探して下さい。土手町にあります。

2. モリタミュージック(福島県相馬市) 業種 - 身体はメタボってるけど、魂キレキレの正しいレコードショップ
モリタさんちは代々続くレコード屋さんです。業界に吹く逆風をその無意味にデカい身体でモノともせず、今日も魂込めて、良質の音楽を紹介し続けています。1995ツアー(12年前)に出会いました。お互い、こんなに深い仲になるとは。とほほ。

東京
3. knife* acoustic groove* (渋谷区代官山) 業種 - 熱すぎるジュエリーショップ
云わずと知れた、「羽根シリーズ」を製作してくれているジュエリー・ショップ。ディレクター、中野さんの仕事っぷりを観ると、この世界にも「ロックンロール」っちゅー言葉があんのね、と納得します。是非、実物を。このお店には現在、俺の愛機である、1958年製のレスポールJrが展示してあります。触ってみたい人は遠慮なくどうぞ。
http://k-a-g.com/

九州地区
4. ボーダーライン・レコード (福岡店、小倉店、久留米店) 業種 - 炎のレコード屋さん
ヒートウェイヴが故郷福岡でくすぶっていた1987年。社長、甫足(ほあし)さんが僕の目の前に現れ、ポンと現金を差し出して、「これでアルバムを作りんしゃい」と。そうして出来上がったのがアルバム「my life」です。その恩を忘れたことはありません。このレコード店が地元のミュージシャンに果たした役割はこれまでも、これからも変わることはないでしょう。感謝。

5. サウンド・コスモ (福岡県久留米市) 業種 - ロックとアニメに強い、商店街のレコード屋さん
先日の僕のblogにあるように、火事で全焼しました。けれど、彼等はその翌日からワゴンを借りて、商店街の路上で、お店を再開しました。その魂のワゴンには、「made in Aso」も「Land of music / the Rising」も乗っています。近くに住んでいる方は是非、この魂の入ったお店をサポートしてあげて下さい。復活間近!

by 山口 洋