ソングライターとしての人生

2008/02/07, 23:39 | 固定リンク

2月7日 木曜日 晴れ 

 朝目覚めたら、カジャグーグー、アゲイン。仕方ない、ベースボール・キャップをかぶって人に会いに出かけたら、痩せたマイケル・ムーアみたいだった。哀しみ、アゲイン。

 しかし、俺も見捨てられてばかりではなかった。アルバムを作り終えて、巨大な作品を作り終えて、ツアーを終えて、俺はようやく本業である「ソングライター」になった。「the Rising」に入っている俺の本「Days of Land of music」には、この時代に「インディペンダントであることの意味」が数多く記されてはいるが、この数年間は自分が「ソングライター」だとは思えない日々が続いていた。実際のところ、事務所の社長まがいの雑務をこなさなければ前には進めない状態だったのだ。今となってはそれも必要悪だったと思えるのだが。同時に巷で流れているロック・ミュージックと呼ばれているものの殆どに、興奮しなくなってしまった。実際にそれらの人物と会っても鼓舞されることは殆どなかった。各々のビジョンが語れたとしても、この惑星について、あるいはこの国について、未来について、語りあえる輩はあまり居なかった。俺とてそれを語れる訳ではないが、少なくとも話し合ってはみたかった。けれど、この国を細々と廻ってみて、沢山の「Land of music」と共に、興味深い輩たちと出会うことができた。それは俺にとって「財産」以外のなにものでもなかった。時がきて、ようやくそれが発酵し始めたのを身体の中で感じた。フツフツと、そしてフツフツと。車を脇に停めて、溢れてくるアイデアを書き留めた。嬉しかった。それらがいつ実を結んで、作品になるのか、俺には分からない。けれど、それは今や、俺にとっては茨の道でも何でもない。幸福の道だ。全力でそこを行こうと思う。嬉しい。

by 山口 洋