ビバ!35周年、京都にて

2008/02/28, 23:17 | 固定リンク

2月28日 木曜日 拾得、

 拾得の2階にある楽屋で開演前に書いてます。35周年すよ。素晴らしい。池畑さんはルースターズ時代に来たことがあるそうです。会場入りして、ちょっと音を出しただけで、積み重ねてきたその歴史を感じます。

 本番、終えました。このバンド、拾得に負けないくらいの年月やってきたけど、今日は本当に最初から最後まで、メンバーのダイナミクスを感じながら演奏することが出来ました。オーディエンスにとってのそれと、演奏者にとってのそれは必ずしも一致しないものだけれど、俺はステージに居る間じゅう、音楽と戯れているのが愉しかったのです。ありがとう、この店を35年守ってくれたテリーさん、スタッフ、手伝ってくれた友人たち、そして足を運んでくれたお客さん。トリオ・ツアー、前進中です。魚と一緒に来たいなぁ、ここ。でもステージにあの機材乗らないだろうなぁ。残念。明日は岡山に移動します。そのハコは歴史は浅いし、機材もまだ揃っていないけれど、スタッフがとてもいい感じだったのです。一緒に歴史を作ろうじゃないの。是非、来て下さい。今日、終演後、拾得のオーナー、テリーさんがずっとJBをかけてくれていたのだけど、素晴らしい「力みのない」グルーヴでした。このツアー、本当に「生音」なのです。今や、もうほぼあり得ない状況で、敢えて演奏してるのです。耳に優しいのです。待ってるよ。観た人は是非、それを伝えて欲しいとです。やっと、俺たちはそれを出来る技量を手に入れたとですから。ながーい道のりだったけれど、結局のところ、原点に帰ってきたとです。演奏している人間たちがイケていれば、過剰な加工は一切必要としないのです。ま、たまにずっこけるけどね。

img08020026_1img08020026_2img08020026_3
by 山口 洋  

ウーフー、アゲイン、静岡にて

2008/02/27, 02:12 | 固定リンク

2月27日 水曜日 晴れ 

 トリオ・ツアー再開です。南ばっかりで申し訳ないけど、これらの会場を選んだのにはいくつかの理由があるとです。

1. フル・バンドのツアーで訪れていない場所であること
2. そのハコが地域に密着している「Land of music」であること
3. できれば、仕事帰りの人々が食事しつつ、着席して楽しめる場所であること
4. 我々も相当機材を減らしていくので、会場にある程度の機材があり、失われし、「生音」で演奏できること
5. 何よりも、「音楽に愛のある場所」であること

 静岡のこのハコはまだまだ歴史は浅いけれど、前回一人で訪れた際、オーナーに「覚悟」を感じ、スタッフに「愛」を感じたとです。南に足を運ぶなら、ながーい静岡県を通るではないか、ならば、行くぞっちゅー訳です。男の約束果たせて良かった。

 いろいろ綻びた場面も多々あったとは思うとです。ただ、このハコは厳しい現実にさらされながらも、前を向いて、一歩づつ歩みを進めていました。それが嬉しかったとです。彼等は店の名物を作ろうと、今回「カレー」を用意してくれました。厨房を覗いてみると、手つきがかなり怪しいんだけど、それでも気持ちを込めて、料理している姿は麗しいものでした。でも、もっとがんばれ!俺のカレーの方が美味いぜ。ここでしか喰えない、「マグロカレー」とか、そんなんがいいな。名物を作っていくのはハコであり、積み重ねた歴史であり、ミュージシャンであり、オーディエンスなのです。よちよち歩きのウーフー、これからも、どうぞよろしく。あ、このハコには丸山研二郎君と云う素晴らしいミュージシャンが居ますから、ふらっと立ち寄ってみんですか?

 ところで、何故か渡辺圭一が期間限定blog「たまには喧嘩に負けてこい」を始めました。タイトルは九州人にはおなじみっすね。分からない人にはまったく理解できないっちゅーところが奴らしいと思います。このダイアリーと合わせてどうぞ。明日は京都、拾得です。オーナーのテリーさんと池畑さんは久しぶりの再会だそうです。会えるの、愉しみにしとるよ。

img08020025_1img08020025_2img08020025_3
by 山口 洋  

実り

2008/02/26, 18:15 | 固定リンク

2月26日 火曜日 嵐 

 今年二度目の春の予感の嵐が吹き荒れる日。久しぶりに絵筆を握りました。静物と向き合う。こんな時間を忘れていた気がします。若い頃はそれが日常だったのに、忙しさにかまけて、もの(静物)を穴があくほど「見切る」ことを忘れていた気がするのです。アンティークのロシア生まれの人形。毎日、テーブルの上に置いてあったのに、その老婆はいろんな事を語るのです。おそらく彼女の数百年に渡る数奇な運命を。
 明日からトリオ「マグロ解体ショー」ツアー、再開です。静岡の小屋は歴史は浅いけれど、音楽を愛する輩どもが自分の街にそれを根付かせるべくフントーしています。京都の拾得は35周年の記念イベントです。小屋を守りつづけてきたテリーさんとも、是非会話してみんですか?焦ることなく、ゆっくりと歴史を刻んできた人間としての懐の深さと、チャーミングさがそこにはあります。その他の小屋の紹介はまたいづれ。じゃ、会えるのを愉しみにしとるよ。目の前でトリオが演奏しとります。どの会場もほぼ生音です。バンドのマジック、見に来てね。ソロツアーで撒いた種が実っていくのが嬉しかとです。もちろん「Land of music / the Rising」や「made in Aso」もあります。んじゃ、静岡で。

img08020024_1
by 山口 洋  

ドクター・ストップ

2008/02/25, 23:20 | 固定リンク

2月25日 月曜日 晴れ 

 ひょんな事から、偉大なドクターに検診して頂きました。我々「フリー」に生きる者は面倒臭いし、随分と自分の身体をないがしろにしてきたので、容易に想像できる結果にびびって、なかなか自ら進んで「メディカルチェック」をやらないのです。
 結果から申し上げます。微妙にカンゾーが「アウト!」。ドクターからは「次は仔細に渡って調べるから、それまでまずは酒を止めなさい」と。トホホ。な訳で、明後日からツアー再開ですが、ワタクシ、お茶で乾杯です。でも、それもいいかな、と。

by 山口 洋  

独立系メディアとインドカレー

2008/02/24, 21:59 | 固定リンク

2月24日 日曜日 曇り 

 このところ、作品についての打ち合わせは、敏腕編集者のS君とプロダクト・スーパーバイザーの通称ハム太朗(@命名山口洋)と俺の3名でメールを使って行われる。彼等、事務所の人間でも何でもないのだが、互いに作品に関して、深くつき合っているうちに、自然とそのような役目を担ってくれている。申し訳ないと思いつつも、次から次にアイデアが湧いてくるから、彼等の厚意に甘えている。音楽とは別の側面で、彼等とは共に何かをクリエイトしている実感があって、その想いが俺を励ましている。
 そんなハム太朗の勧めで、今日は独立系メディアの取材を受けることになった。その社屋は「アジト」のようで、寒風が間断なく入ってきて寒かったけれど、アジトの主が伝えようとしている想いは熱がこもっていて、とても好きだった。ストレス・フリー。そして夕食は渋谷某所にあるインドカレー屋で済ませた。この手の食べ物は、俺にとって、ロンドンやNYで、いよいよ喰うものがない時に食するものだったのだが、残念ながら、渋谷も俺にとってそのような街になりつつある。ところで、このカレー屋、安くて早くて美味い。スタッフもすべてインド人。勤勉にて実直。今や、俺にとって、失われし「定食屋」と化している。店中、どこを切っても「インド」なのだが、総合的な意味で、本来の「定食屋」なのだ。メディアにしても、食事処にしても、結局のところ、求めているのは人の「スピリット」なんだ、とカレーで温まった身体と心でそう思った。

by 山口 洋  

マグロの解体ショー・横浜にて

2008/02/22, 01:57 | 固定リンク

2月22日 金曜日 くもり 

 トリオ・ツアー初日。横浜サムズ・アップにて。ライヴを観た友人が「まるでマグロの解体ショーみたいっすね」と云った。云い得て妙。確かに、その通りだと。フル・バンドのツアーは沢山のスタッフと廻る。いくら俺たちがパッケージショーじゃないと云っても、客席との距離もあるし、全ての音はPAを通して客席に届けられる。それはそれ。もちろん良さもある。ただ、このトリオツアーはもっとオーディンスの日常に近いところでやりたかった。それゆえのサムズ・アップ。飯も美味いし、酒も飲めるし、ホスピタリティーは完璧、そして何よりも俺の生ギターと歌以外はほぼ生音なのだ。いちおうマイクは立ってはいるが、ほぼ生音だ。生々しいにもほどがあるし、こういうライヴではバンドの力量を試される。俺たちの世代はこのようなハコからキャリアをスタートさせた。だから、原点に戻ったみたいで楽しめるはずだったのだが。何のかんの云って、先日のバンドのツアーで、我々も「近代の機材の恩恵」に慣れていたのだった。野生の勘が戻るまでしばしの時間を必要とした。ある意味ベリー初日。でも、オーディエンスはサッカーに例えるなら「攻撃が煮え切らない前半の後、妙にパスが繋がり始めて、たまにカウンターも喰らって、でも、後半2点くらい取って、ヒヤヒヤしながらも、スリルがあってえー試合やったな」ちゅー感じで楽しんでくれたんじゃないか、と勝手に想像する。だって、やってる俺がそんな気分だったもん。だからこそ、やりがいがあるし、もっと前に進みたくなるし、エトセトラ。「マグロの解体ショー」ちゅー言葉に納得するのであった。
 そんな訳で、トリオの「マグロ解体ショー」ツアー、次は静岡です。遊びに来んですか?本場だよ、マグロの。サムズ・アップのみなさん、本当にお世話になりました。このハコ、とっても好きなので、また来ます。みんなも、ここでの愉しみ方、共に創っていかんですか?何はともあれ、来てくれて、ありがとう。どうか、良い週末を。

img08020021_1
by 山口 洋  

ばばんばばんばんばん

2008/02/21, 22:06 | 固定リンク

2月21日 木曜日 晴れ 

 明日からのツアー用に短いリハーサルをやりました。楽器、届かねーなー、と思っていたら、マネージャー氏は自宅で睡眠中でした。俺は呪われてんのか?今週2度目です。トリオはフル・バンドと違って、フレキシブルにスポンテニアスにやります。いつもより近い距離で、仕事帰りに(じゃなくてもいいけど)、一杯飲みつつ、飯喰いつつ、気軽に楽しんで欲しいとです。テーマは何となく「ばばんばばんばんばん」です。じゃ、待っとるよ。サムズ・アップ。来たことない人は是非。スターパインズカフェと並んで、とっても音楽に愛のあるハコですたい。ちゃんとテーブルもあって、食事も出来るとですたい。飲みものもちゃんとグラスで出てくるとですたい。今はなき、NYのボトムラインみたいなハコですばい。しつこいけど、made in Asoとthe Rising、T-シャツなんかもゲットできるよ。

http://d.hatena.ne.jp/theRising/20080221

by 山口 洋  

トリオ・ツアー

2008/02/20, 11:38 | 固定リンク

2月20日 水曜日 晴れ 

 明後日からトリオ・ツアーが始まります。普段4人のフル・ヒートウェイヴで行けない場所に3人で行こうと思っています。多くの会場では、おそらく椅子に座って楽しむことができるはずです。例えば横浜のサムズ・アップは美味い飯を喰いながら、ライヴを観ることが出来ます。スタッフも雰囲気も素晴らしいっすよ。週末、ふらりと遊びに来てみんですか?今回はそのような会場を多く廻るつもりです。もちろん、「Land of music / the Rising」も持っていきます。ひとりのツアーで撒いた種が少しづつ広がっているのが嬉しいです。

by 山口 洋  

レコーディング

2008/02/19, 23:33 | 固定リンク

2月19日 火曜日 曇り 

 レコーディング2日目です。音楽を作る方法論ってここまで違うのかっちゅーくらい、俺のやり方とは異なるんだけど、そこからピックアップできることは沢山あるのです。問題はスタジオに中年の野郎共しか居ないことすかね。いい音楽を作ろうと熱気を帯びてくればくるほど、空気は酸っぱくなるとです。世の中に女性は必要です。
 スタッフが、「land of music /the Rising」のDVD「land of music / in action」に収録されている「prayer on the hill」の動画をアップしました。手に入れようかどうか迷ってる輩は是非観て下さい。コピーライトを自分たちで保有していると、誰にも制約を受けることなく、こういうことができるのが嬉しかとです。特設ページ、あるいはこのサイトのトップからどうぞ。

img08020018_1img08020018_2img08020018_3
by 山口 洋  

その大物

2008/02/18, 01:56 | 固定リンク

2月18日 月曜日 晴れ 

 今日から某大物バンドのレコーディングだった。そのソングライターであり、シンガーであり、プロデュ−サーであられるお方は最近とみに御心が優しくなったと評判で、演奏する曲の音源や歌詞を自ら俺に送って下さるのだった。ぐひひ。昨日、レーベルの人間に「ところで、明日何時なん?」と聞いたらば「午前11時で」と云われたが、俺とて無駄に芸歴は長くない。あの大物たちが午前11時にスタジオに集結するとは「到底」思えない。俺は時間に遅れない男である。しかし、今日はサバを読ませてもらった。3時間遅れて、午後2時に到着してみた。しかし、がしかーし、そのお方は俺が到着した際に、なんとまだご自宅がある「京都」に居られた。云っておくが、スタジオは「銀座」にある。この先、作業がどうなったのかは皆さんの想像に任せる。ちなみに、その大物バンドの所属事務所社長もレーベルの人間も、事態を知って、スタジオからバックれた。昨日は大人になるのは悪くないと書いたのだが、大人って本当に汚い。以上、スタジオからでした。

by 山口 洋  

blue beat

2008/02/17, 01:11 | 固定リンク

2月17日 日曜日 晴れ 

 横浜にて。佐野元春& the hobo king bandを。今まで、いろんな佐野さんを見せて(魅せて、か)もらったけど、今日の彼が一番好きだった。沢山刺激も受けた。
 ロックシンガー、あるいはソングライターに「引退」はない。自分で決めてしまわない限り。その中で、「加齢(オーディエンスも含め)」とか、オーディエンスのジェネレーションの橋渡しとか、どうにもならないこの現実とか、相変わらず手に負えない自分の夢想癖とか、エトセトラ。それらと折り合いを付けなきゃいけない。調和させなきゃいけない。おまけに、何処かが「破綻」してなけりゃ、表現する動機がなかったりもする。
 村上龍さんは「この国には何もかもがあるけれど、希望だけがない」と書いた。今日、佐野さんは「次のジェネレーションに残したいものは家や土地ではなく、希望だ」と語った。ポジティヴな「死生観」、と云うか。いかに死ぬか、という避けられない命題を見つめた時、いかに「生きる」かが見えてくる。音楽に熱狂するさまざまな世代を見つめていて、これこそ確かな「希望 - espoir」じゃん、思った。大人が楽しめるコンサートだった。と云うか、どんな世代でも、国籍でも、性別でも楽しめただろう。ついでに書くならPAの音量、音質も素晴らしかった。決して暴力的でなく、あり得ない装飾もされていなかった。大人になるって悪くないっすよ、ね、兄貴?

by 山口 洋  

その編集

2008/02/16, 18:14 | 固定リンク

2月16日 土曜日 晴れ 

 「今鳴っている音だけが音なのではない」。実感です。鳴っている音と音の隙間。そこにも確実に音は存在するのです。息吹が宿っています。だから、隙間なく塗りつぶしていくだけの音楽には興奮しません。どんな音であれ、自然な音は鳴った瞬間に減衰を始めます。その瞬間には二度と戻れません。それゆえ、儚く、切なく、美しいのです。
 
 我々とて、全国、あるいは世界各地をこのメンバーで、有能なスタッフを引き連れて行きたい気持ちは山々です。けれど、残念ながらそれは叶いません。だから、映像チームやクリエイター達と組んで、「land of music / the Rising」のような作品を作るのです。雪深い北国でも、もう梅雨に入った南の島でも、もちろん都会でも、それを楽しんでもらえるように。ライヴDVDを担当してくれたmood filmsの連中は、映像の世界で、その「隙間」を完璧に理解し、表現してくれています。このような「音楽的な」編集はかつてなかったと思います。今日、特設サイトでは観てくれた人々の感想に対して、彼等が応えています。時間のある時に読んでみて下さい。

http://d.hatena.ne.jp/theRising/

by 山口 洋  

その表情

2008/02/15, 23:11 | 固定リンク

2月15日 金曜日 晴れ 

 俺の最後のベースボール・ヒーロー、カズ山本が引退してからと云うもの、野球場に足を運ぶことがなくなった。ドームではどうしても気持ちが盛り上がらんのだ。チケットを買って、スタジアムの階段を昇って、さぁっと視界が拓けて、でっかい空とダイアモンドが見えてくる瞬間がたまらなく好きだった。俺の聖地、平和台球場がなくなった今、広島市民球場と甲子園とフェンウェイパークには生きてるうちに行かなきゃ、と思う。俺の父親は何も教えてくれなかったけど、キャッチボールだけは教えてくれた。いつだって、車の中にはグローブと硬球が積んであるけど、今や都会には相手が居ても、それを楽しむ場所すらない。親父と息子はどうやってコミュニケートするんだろう?と、子供の居ない俺は不思議に思う。今まで、何人の人間とキャッチボールをしたのか不明だけれど、池畑さんとミスチルのケンちゃんの投げる球は凄かった。双璧だ。キャッチボールはいろんな事を語るのだ。
 ニュースを観ていたら、野茂が映った。おおっ。自分の齢のせいか、オールド・ルーキーのような選手にどうしても目が行ってしまう。かつて、投げる不動産屋と揶揄された桑田も、同じ歳の工藤もみんないい顔をしている。いろいろあったに違いないけれど、「野球が好きでたまらん」と顔に書いてある。ただ、単純に、野球が好きでたまらん、と。辿り着いた場所が、そこだってことが、ひどく俺を励ますのだ。彼等が活躍する姿をオープンエアの球場で観たい、と思うし、願わくば、自分もそのような人物でありたいと思う。

by 山口 洋  

文字

2008/02/14, 15:35 | 固定リンク

おす。

img08020013_1
by 山口 洋  

days

2008/02/13, 22:21 | 固定リンク

2月13日 晴れ

ハピネス。

img08020012_1img08020012_2
by 山口 洋  

廃盤、プレミア

2008/02/12, 17:27 | 固定リンク

2月12日 火曜日 雨 

 「新しくファンになったのだけれど、昔の音源が廃盤になっていて、手に入らない。あるいは、オークション等で買おうとしてもプレミアがついていて、高くて買えない、云々」。そのような意見が多数寄せられています。僕はあまり過去を振り返らずに突っ走ってきた人間で、今現在のように少し心に余裕がある時でしか、そのような意見にリプライする事ができないので、まとめてお答えしておきます。自分で過去の作品を検索してみて、いくつかの作品の値段に呆れました。どうしても欲しいと云う人を止める権利はありませんが、我々が今現在も「生きている」バンドである以上、時間をかけても、これらの状況は改善するつもりでいます。少し時間を下さい。それもこれも、「レコード会社ジプシー」を繰り返してきた弊害で、このように音楽業界が縮小、統廃合、あるいは淘汰されている状況の中では、もはやそれらの権利が何処にあるのか、僕自身も把握できていないことが多々あります。それゆえ、僕らは「land of music」で賛同者の協力の元に、自分たちの音楽の権利は自分たちで行使できるようシステムを変えてきました。「land of music / the Rising」はその日々とこれから行く先を克明に記録しています。手に取って楽しんでくれると嬉しいです。

 現在入手可能な全ての作品は、そのレーベルに関係なく「Land of music / the Rising」や「made in Aso」を取り扱ってくれているネットショップ、ads405に置いてあります。

by 山口 洋  

no rules

2008/02/11, 02:19 | 固定リンク

2月11日 月曜日 晴れ 

 「land of music / the Rising」を観てくれた何人かのミュージシャンからの質問。「本当にあのような状況で、せーので録音してるんですか?」。応えは「yes」。長い旅路の果てに辿り着いたのは、何てことはない、バンドを始めた頃に、初めてレコーディングスタジオに行った時と同じ方法だったのだ。その頃と違う事と云えば、テクノロジーが進化し、あの莫大な金が必要だった機材を比較的安価に入手できるようになったこと、それを自分の好きな場所に運搬して使えること、最後に、経験の末に、エンジニアを雇わなくても、自分たちで、それをミキシングできるようになったこと。俺たちはバンドだ。だから、リズムトラックから構築していくような作り方はしない。歌を別録りで、何度も歌って修正するような事も殆どしない。メンバーは何よりも俺の歌に「即座」に反応してくれている。だから、「せーの」で録音するのに勝る方法はない。その代わり、ミキシングには時間をかける。途方もなく。「瞬間」をパッキングして、それがエバーグリーンなものになるまで、延々試行錯誤を繰り返す。
 ヘッドフォンを装着せずに、歌っているシーンでは、自分の歌を聞くために、小さなPAから音が出ている。それをメンバーも聞いている。可能な限り、我々4人は同じ部屋に居るようにする。それは近代のレコーディングではタブーだとされている。音がおのおののマイクに干渉するからだ。けれど、我々は音の干渉よりも、人間のダイナミクスの方が大事だと考える。先日、敬愛するダニエル・ラノアが自身のスタジオでレコーディングしているドキュメントを観たのだが、規模さえ違えど、ほぼ同じやり方をやっていることを嬉しく思った。つまりはその時代に「定石」だと云われている事を疑ってみることだ。いつまでも音がまとまらないバンドのキューボックスを観てみるといい。必ず、自分の音が異常にデカいミックスになっている。そりゃ、まとまるはずがない。我々は全員がほぼ同じ音を聞いている。そりゃ、そうだろ?だって、ひとつの世界を描こうとしてるんだから。自分の感覚が「否」だと感じたなら、納得するまで試行錯誤を繰り返した方がいい。長い旅路の末、沢山のビンテージものを使い倒した末、俺の声に一番合っていたマイクは、どこのリハーサルスタジオにも転がっているSM58と云う、とんでもなく安いマイクだった。本当だよ。あれは素晴らしいマイクだ。俺にとって。俺のギターに一番フィットするマイクはSM57と云う、これまたとんでもない安いマイクだった。でも、そいつは素晴らしい音がする。ちょっとだけ気を使えばね。そんな事も含め、「the Rising」に描かれている世界には誇張も何もないのです。楽しんで下さい。

by 山口 洋  

people have a power

2008/02/10, 23:18 | 固定リンク

2月10日 日曜日 晴れ 

 この間のツアーで、アンコールの最後に、ほぼどの会場でも、とある曲を演奏したのには訳がある。パティー・スミスのあまりに有名な言葉だけれど、「人は力を持っている」。渡辺圭一のベースの裏側にも彼女の直筆でそう記されている。俺はその言葉が好きだし、生きている限りはそう信じていたい。

 例えば、地球の温暖化に関して、俺なりに知識を得て、学んではきた。40数年も生きていれば、自分の身をもっても、その進行を感じ取っている。本格的に、本能的に、ヤバいと、思う。今でも俺なりには気をつけてはいるけれど、ぜんぜん足りん、と思う。例えば、ミュージシャンである俺には、楽器を運ぶために、車はどうしても必要だったりする。でも、自分が排出したCO2を理論的にはゼロにするカーボン・オフセットと云うシステムがあったりする。多くのそれらのサイトでは自らが排出しているCO2の総量を知ることが出来る。ちなみに、俺は自分の「数字」を見て、愕然とする。そして、俺が知る限り、温室効果ガスを減らすことが、経済成長を妨げると云う論理はデマである。GDPの1%ほどを温暖化対策に使えば、このどうにもならない流れをくい止めることが出来、なおかつ企業にとっても、総合的にさまざまな恩恵をもたらすであろうことが試算されている。問題は人間が目先の利益しか考えられないことにある。政治家たちはあまりにヒドい。そのような視野に立って、引っ張っていく人間がほぼ居ない。でも嘆いている場合ではない。愛であれ、恋であれ、憎しみであれ、何であれ。この惑星があってこそなのだ。こうして娯楽を人々に提供しているミュージシャンにも、出来ることは山ほどあるだろうし、それぞれの行動には責任があると、俺は思う。people have a power!

by 山口 洋  

頭蓋への旅

2008/02/09, 19:18 | 固定リンク

2月9日 土曜日 雨 

 頭蓋の内側へと旅を続けている。ひとりきり。それも悪くない。

img08020008_1img08020008_2img08020008_3
by 山口 洋  

不器用に、そして丁寧に

2008/02/08, 21:58 | 固定リンク

2月8日 金曜日 晴れ 

 デビューしてからの十年間はこの手の「創作」の時間がたんまりとあった。半分くらい日本に居ず、ほぼ外国を放浪していた時期もある。でも考えてみれば、それはレコード会社や事務所の庇護の元、やんわりと飼い殺しにもされていた訳で、今日、俺が手にしているそれとは大いに異なるものだ。俺はそれをこの手でつかみ取った。夕方のタイムセールで殺し屋のような目をしたオバサンとほぼ同じような心境で。だから、自分のために丁寧に時間を使いたい。誰かが締め切りを設定する訳でもない。完璧な自由。そして、誰も俺を守ってはくれない。当たり前だ。だから、全責任は俺にある。それが心地よい。
 一日かけて、脳味噌の中を散歩した。暗くて、ジメジメと湿気もある、けれど光もある。誰かの言葉を借りるなら、何かに乗りそこなって、何かから下りそこなったのかもしれん。けれど、そこには光があった。漠然と登場人物たちが見えてくる。その相関関係も見えてくる。歌を書いていると云うよりは脚本を書いているみたいだ。変わりゆくすべてのこと ー どうでもいい一瞬のこと ー 変わらないひとつのこと、不器用に、でも丁寧にそれを紡いでいる。俺は道をつくる、必ず。

追伸
「made in Aso」に続いて、いくつかのお店で「Land of music / the Rising」を扱いたいと。実物を観てから、と云う人は足を運んでみてください。どのお店も、それぞれに魂の入っている「Land of music」です。数に限りがあるってことと、レコード屋さんではない場合、そちらの本業に興味を持って、足を運んでくれると嬉しいです。今月から始まるトリオのツアー、もちろん通販では常時手に入れることが可能です。
http://www.ads405.jp/
みなさんから続々と寄せられている感想は各クリエイターに届けられています。そのリプライ等も、特設サイトで企画中です。どうぞよろしく。

「Land of music / the Rising」を置いてくれているお店の情報です。

東北地区

1. アサイラム(青森県弘前市)  業種 - 魂の入った飲み屋
弘前市が誇る入魂のレコード・ショップ、「joy pops」亡き後、店主ヒロシ(54)が始めたアナーキーな飲み屋。ここには5万を超える収録曲を誇るスーパー・コンピューターから絶え間なく素晴らしい音楽が流れています。飲み物はすべて500円。意味不明なチャージなんて、もちろんありません。あるのは無愛想な店主の妙なホスピタリティーと極上の音楽のみ。俺が飲み屋に求める全てがここにあります。ただし、店主変人につき、店のありかは伝えません。自分で探して下さい。土手町にあります。

2. モリタミュージック(福島県相馬市) 業種 - 身体はメタボってるけど、魂キレキレの正しいレコードショップ
モリタさんちは代々続くレコード屋さんです。業界に吹く逆風をその無意味にデカい身体でモノともせず、今日も魂込めて、良質の音楽を紹介し続けています。1995ツアー(12年前)に出会いました。お互い、こんなに深い仲になるとは。とほほ。

東京
3. knife* acoustic groove* (渋谷区代官山) 業種 - 熱すぎるジュエリーショップ
云わずと知れた、「羽根シリーズ」を製作してくれているジュエリー・ショップ。ディレクター、中野さんの仕事っぷりを観ると、この世界にも「ロックンロール」っちゅー言葉があんのね、と納得します。是非、実物を。このお店には現在、俺の愛機である、1958年製のレスポールJrが展示してあります。触ってみたい人は遠慮なくどうぞ。
http://k-a-g.com/

九州地区
4. ボーダーライン・レコード (福岡店、小倉店、久留米店) 業種 - 炎のレコード屋さん
ヒートウェイヴが故郷福岡でくすぶっていた1987年。社長、甫足(ほあし)さんが僕の目の前に現れ、ポンと現金を差し出して、「これでアルバムを作りんしゃい」と。そうして出来上がったのがアルバム「my life」です。その恩を忘れたことはありません。このレコード店が地元のミュージシャンに果たした役割はこれまでも、これからも変わることはないでしょう。感謝。

5. サウンド・コスモ (福岡県久留米市) 業種 - ロックとアニメに強い、商店街のレコード屋さん
先日の僕のblogにあるように、火事で全焼しました。けれど、彼等はその翌日からワゴンを借りて、商店街の路上で、お店を再開しました。その魂のワゴンには、「made in Aso」も「Land of music / the Rising」も乗っています。近くに住んでいる方は是非、この魂の入ったお店をサポートしてあげて下さい。復活間近!

by 山口 洋  

ソングライターとしての人生

2008/02/07, 23:39 | 固定リンク

2月7日 木曜日 晴れ 

 朝目覚めたら、カジャグーグー、アゲイン。仕方ない、ベースボール・キャップをかぶって人に会いに出かけたら、痩せたマイケル・ムーアみたいだった。哀しみ、アゲイン。

 しかし、俺も見捨てられてばかりではなかった。アルバムを作り終えて、巨大な作品を作り終えて、ツアーを終えて、俺はようやく本業である「ソングライター」になった。「the Rising」に入っている俺の本「Days of Land of music」には、この時代に「インディペンダントであることの意味」が数多く記されてはいるが、この数年間は自分が「ソングライター」だとは思えない日々が続いていた。実際のところ、事務所の社長まがいの雑務をこなさなければ前には進めない状態だったのだ。今となってはそれも必要悪だったと思えるのだが。同時に巷で流れているロック・ミュージックと呼ばれているものの殆どに、興奮しなくなってしまった。実際にそれらの人物と会っても鼓舞されることは殆どなかった。各々のビジョンが語れたとしても、この惑星について、あるいはこの国について、未来について、語りあえる輩はあまり居なかった。俺とてそれを語れる訳ではないが、少なくとも話し合ってはみたかった。けれど、この国を細々と廻ってみて、沢山の「Land of music」と共に、興味深い輩たちと出会うことができた。それは俺にとって「財産」以外のなにものでもなかった。時がきて、ようやくそれが発酵し始めたのを身体の中で感じた。フツフツと、そしてフツフツと。車を脇に停めて、溢れてくるアイデアを書き留めた。嬉しかった。それらがいつ実を結んで、作品になるのか、俺には分からない。けれど、それは今や、俺にとっては茨の道でも何でもない。幸福の道だ。全力でそこを行こうと思う。嬉しい。

by 山口 洋  

その言葉

2008/02/06, 17:45 | 固定リンク

2月6日 水曜日 雪 

 殆ど物欲のない俺ではあるが、以前からずっと欲しくて、未だ躊躇しているモノがある。それはとある映画(約50本ほどの)のボックス・セットで、記憶が正しければ15万くらいする。手に入れることが不可能では決してないのだけれど、「自宅で好きなときに、それを観る」よりも、たまたまふらりと訪れた街で、「偶然、その映画がかかっていて」、そこに足を踏み入れることを夢想していたりもする。
 ところで、その映画監督の言葉を偶然、目にしたのだけれど、みなさんにも伝えたいと思う。要約、かつ抜粋した。いわく

 「この国は、高度成長時代に、もっと欲張れ、もっ手に入れろと、欲望を刺激されてきた。物欲を刺激することによって、内需を拡大してきた。それが高度経済成長につながったが、同時にひどく大事なものを失ってしまった。つましく生きている人間どうしのコミュニケーション。駅の改札でも、高速道路の料金でも、なるべく人と顔を合わさないようにと、世の中が変わってしまいつつある。国民は携帯電話料金を年間いくら払っているのか不明だけれど、いったい何割が本当に必要な会話なのだろうか?おそらく95%はどうでもいい会話なのではないだろうか?これまでの深い人間関係が、いまや家庭の中で持てないものだから、おたがい傷つけないないように無難にやっているんだと思う」。云々。
 
 生きてることは「無難」じゃない。ややこしいし、面倒くさい。それでも、云いたくない事も面と向かって云わなきゃならない。新しい事をやろうとすると、必ず反対の意見が出る。それでも、検証しつつ、たまには携帯電話を使いつつ、直感を信じて、前を向いて行くことなんだろうな、と思う。いつだって、肝心なことは目には見えないんだし。

by 山口 洋  

八重山便り

2008/02/05, 15:02 | 固定リンク

2月5日 火曜日 晴れ 

 目覚めたら、髪がカジャグーグーみたいになっていた、哀しみの中年、山口洋です。

 本当はね、数年振りに時間が取れたこの時期、八重山に行こうと思っていたのです。ふらりと現れて「来ちゃいました」みたいな。けれど、俺や周囲の人間が体調を崩していて、それも叶わず。そんな時に、八重山からメール。嬉しかったなぁ。もう、湿度が高くて梅雨みたいな天候だと。うそ?こっちは昨日、雪が積もってたのに。ありがとう、みんな元気かな?私信だけど、ひゃくちゃん、メールの返事書いたんだけど、戻ってきたんだ。アドレス確かめて、もう一回送ってくれる?俺の今年の手帳はもちろん、「八重山手帳」だよ。必ず、行くぜー。

 写真は「八重山上空」。このあたりにさしかかった時、いつもの直感ってやつが閃いたのです。それは初めてアイルランドに行った時と同じ類のもので、もちろん、その後には素晴らしい出会いが待っていましたとさ。

追伸
随分時間がかかったけど、「Land of music」、「made in Aso」。どちらも追加プレスと相成りました。本当にありがとう。「the Rising」、限定だけど、まだ大丈夫っす。トリオのツアーにも持っていきます。沢山、感想を送ってくれてありがとう。引き続きどうぞ、よろしく。

img08020004_1
by 山口 洋  

5cm足らずの雪

2008/02/03, 16:03 | 固定リンク

2月3日 日曜日 雪 

 「2cm足らずの雪が化学の街、東京を一日で塗りかえる」。そんな歌を中学生の頃、聞いたなぁ。夜更けから降り積もる雪。飽きもせず朝までずっと見ていました。きっと北国の人々が聞いたら、笑ってしまうような積雪量なんだろうけど、都会の交通機関は限りなくマヒしています。脆弱だなぁ。
 
 10年以上に渡って、歌詞を書くと云う行為はコンピュータでやってきました。それ以前は文机に座って、Gペンで縦書きにこだわってたソングライターでしたが。昨夜、突然、アナログに戻りたくなったのです。理由は不明。そのうち分かるでしょう。特定の曲を書き始める前に、草稿、言い換えると断片のようなものが無数に存在します。それをアナログで書きたくなったのです。イタリア土産にもらった革の表紙のノートがありました。いつか、大事な時に使おうとずっと取っておいたのですが、time has comeかな、といつもの直感が私にそう申しました。初めて書き記した言葉は「冬の朝」でした。このノートに書くスペースが無くなった頃、次のアルバムは完成していると思います。

 もう随分と前のこと。同じレーベルに居て、おまけに担当ディレクターも同じっちゅーバンドが居ました。そのヴォーカリストと俺は、周囲からほぼ「キチガイ扱い」されていて、隣のスタジオでレコーディングしていても、ディレクターが青い顔をして、二つのスタジオを行き来するだけで、ほぼ会話を交わしたこともないっちゅー、奇妙な関係でした。お互いとんがってたし、今ならそんなことないと思うんだけどね。縁あって、彼等の新譜を聞きました。テレビで演奏しているのも観ました。何ちゅーか、奇妙な励ましを勝手に受け取ったような。「そっか、元気に暮らして、新しい歌書いてるんだ」ちゅーか。曲を書くのが苦痛だった時代もありました。けれど、今は「産みの苦しみ」なんて「苦しみ」とも呼ばないことに気付きました。幸福な仕事だと、俺は思います。きっと彼もそう思ってんじゃないか、と。

 週末に「the Rising」、楽しんでくれてますか?雪の日も心を熱くしてくれてるといいなぁ。

img08020003_1
by 山口 洋  

コンパッション

2008/02/02, 20:22 | 固定リンク

2月2日 土曜日 晴れ 

 随分と前のことなんだけど。
 季節は冬。俺は敬愛するフォトグラファーと異国を旅してた。発表のアテもなく、彼は写真を撮り、俺は音楽を通じて旅をする。今の言葉で云うなら「コラボレーション」ってやつなのか。費用対効果なんて、最初から考えていなかった。何かが起きそうな予感だけが二人にあっただけで。随分と厳しい旅をして、二人はまるで「世界の果て」みたいな場所に辿り着いた。
 俺は音楽に導かれて、その街にやってきた。まるで街灯に集まる虫のように。滞在しているうちに、世間とは隔絶された隠れ家のような場所(信じられないほど美しい自然の中なんだけど)で行われる、とある亡くなったミュージシャンの遺志を継いで行われるコンサートで歌わないか、と誘われた。それが年末にその場所で行われていることは有名で、知ってはいたけれど、まさか自分がそこで歌えることになるとは思わなかった。身に余る光栄ってやつだ。果たして、俺は歌った。客席には老若男女がひしめいていた。我ながら、じーんと深い感動を覚えた。とっても小さな集いではあるのだけれど、この会場はそのミュージシャンの故郷にある。大切にしていることは、大きなイベントにすることではなく、彼の遺志をずっと市井の人々に継承していくことにあった。彼は「音楽のあるべき姿」についてずっと考えていた人で、その道の中途で亡くなったのだ。
 ところで、ステージを下りたあと、フォトグラファーに「写真、撮った?」と聞いた。彼はこう云った。「この神聖な空気をカメラで壊したくなかったから撮らなかった」と。千載一遇の機会だったのに。でも、俺は彼のこういうところが好きだ。目先の事を考えすぎるあまり、人は道を見失う。もっと先のことを「イマジン」してみればいい。そうすれば、大抵の場合、自分がどうすべきなのか、見えてくるはずなのだ。

 何で、俺が今更こんな事を書いたのかって?その理由は秘密だ。

img08020002_1img08020002_2
by 山口 洋  

情けない週末、でも発売日

2008/02/01, 22:50 | 固定リンク

2月1日 金曜日 晴れ 

 激しかった闘いの日々にようやく一段落がつき、「よっしゃー、旅に出るかー」と思ってはみたものの、歴戦でイカれてしまった我が身体は思ったよりボロボロで、やっと熱がひいて、人との会話が可能になったと思ったら、今度は関節が使い物にならず。立つ、歩く、座るっちゅー、人間の基本的動作さえままならず。あな、情けなし。仕方ねぇ、座っても出来る某ライヴのミキシングを始めるか、とマネージャー氏に連絡したら。「こんな時くらい休んだらどうすか?」とやんわり諭され、可もなく不可もなく、一日をやり過ごしています。嗚呼、情けない週末。

 でも、今日は「Land of music / the Rising」の発売日です。予約してくれた人々の家にも届いていると思います。週末、じっくり楽しんで下さい。特設サイトには「感想フォーム」もアップされています。通販とライヴ会場のみでの販売になりますが、魂入れとります。是非。

by 山口 洋  
- end -