日別アーカイブ: 2023年5月24日

アナログ、アゲイン

5月24日 水曜日 晴れ 某ソニーより、「柱」に続いてアルバムをアナログ化しないかとオファーが。 んなもん一気に5枚やればいじゃん、とこちらは思うわけですが、ソニーにも都合があるんでしょう。前回、たくさんの人が求めてくれて、それはとっても嬉しかったのですが、プレス枚数などに関して行き違いがあって、ユーザーを混乱に陥れたこともあり、わたすはやっぱり独立独歩で生きていくのが合っていると教えられた出来事でもありました。なにかやらかしたら、責任はすべて自分にあるっていう意味で。 でも32年ぶりにデビュー盤がアナログ化されたことは嬉しかったっす。 次はどの作品をって部分はアナログ化に意味があるってところから「陽はまた昇る」を選びました。あの作品はベーシックトラックを福岡で録音、ダビングを東京で行いました。僕は当時のデジタルサウンドが嫌いで(2枚目の「凡骨の歌」でレコード会社の意見を聞いて、デジタルで録音して懲りたので)、福岡の愛着のあるスタジオでアナログで録音し、当時日本でいちばん好きだったNeveの古いコンソールがあった信濃町と六本木のソニーのスタジオでダビングしました。 これは結果的にとっても素晴らしくて、今聞いてもまったく色褪せないサウンドになってます。あの古いNeveのコンソールはもうこの国にはありません。みんなこうやって時代の趨勢に負けて手放してしまうのです。どんなにコンピュータが発達したとしても、あのサウンドは「絶対に」出せないのです。 アルバムのインナーの写真を見てくれたらわかると思います。コンソールの横に山のように積んであるアウトボードはもちろん全部本物。キックには名機フェアチャイルド、僕の歌には古い1176と鉄板のリバーブ(本物)。エンジニアの森岡さんがソニーにあった名機を独り占め(笑)にしてふんだんに使ってくれました。 今や見かけることのない名機たちのそれぞれの音の個性を、本物で知ったってことはほんとうに財産だったし、当時のソニーの録音部には良い音を継承しようとする心意気がありました。メインテナンスも完璧だったしね。 正直に言って、今のソニーとは違う会社です。悪口ではなく、事実です。 で。「陽はまた昇る」。ソニーからのオファーは1枚でなんとか。無理難題。笑。 アナログでいい音質をキープしようとするなら、片面19分までなのです。なんとかがんばって23分入れたとしてもA面で2分、B面で1分削る必要があります。もともとアナログを前提に創られた作品ではないのでね、、、。 オリジナルを削ることには抵抗がありました。でもまぁ、ここでG.Yokoのアナログを作った経験が生きたというか。あの作品はCDとアナログでは曲順を変えました。同じ系列の違う作品と捉えたのです。 なので、この場合曲順は変えないけれど、アナログ化にあたっては、そのメディアに即した新しい作品を創るイメージで編集するポイントを探しています。でも、これが難しい。当たり前。だって、それで完成してるんだもん。 この作品もまた、31年の時を超えて、アナログでみなさんに届けられること。そこを第一の喜びのポイントに据えて作業しておりまする。このようなやんごとなき事情があることを理解してくれた上で楽しんでくださいまし。リリースはたぶん秋以降かな。    

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