10月30日 水曜日 晴れ
ハロー。限定復活地獄アワー、山口洋がお届けするblog上の架空番組。今日は第二回。敬愛するルー・リードのソロキャリア前半をお届けします。
まずは一曲、ロニー・レインの「Roll on babe」を聞いてください。この曲が車のipodからシャッフルで流れると空気が変わるんです。「おーい、何を急いでるんだい?」。ロニーは僕にとって、いつもそういう人です。スリムチャンス(彼のバンド)に入りたかったなぁ。世界中どこで流れてもロニーの空気に変わります。今、この世界に必要なものはロニーの空気感じゃないかなぁ。人を信じる力じゃないかなぁ。じゃ、この曲で日々や仕事の疲れやストレスを取ってくれるとうれしーです。
はい。ロニーでした。ゆるみましたか?
まずはお願いから。
もしこの番組でルーを好きになったら、アルバムを買って聞いてください。そしたら、多分響いてくるものがyoutubeとは違うと思います。僕らもね、若い時分、LPを買えないので、ラジオで育ててもらいました。カセットテープに(DJの喋りをcutして)たくさん録音して、血肉になりました。でもね、気に入ったら、自分のお金で買いました。それってとても大切なことだと思うんです。
じゃ、ルーに戻ります。
1972年にリリースされた彼のソロ2作目「TRANSFORMER」。このジャケットに見覚えのある人も多いでしょう。
プロデューサーにDAVID BOWIEを迎え、並々ならぬ決意が音楽に込められています。一昨日、お届けした名曲「WALK ON THE WILD SIDE」はこのアルバムに収録されています。
20年くらい前。(僕が居候を繰り返していた)当時のNYには、毎夕方、この曲が流れるラジオ局がありました。まるでリトマス試験紙のように、この曲を聴くことで自分の一日を振り返るのです。「街と音楽」のあり方に深い感銘を受けました。この事にインスパイアされて、僕が書いたのが「TOKYO CITY HIERARCHY」です。この曲は「WALK ON THE WILD SIDE」の短編映画のような手法(登場人物5人)と、AL KOOPERの「NEW YORK CITY, YOU’RE A WOMAN」が転調を繰り返すことで摩天楼を表現した手法。このふたつのアイデアを織り込んでいます。
では、ルーと同じくらい見事にNYを描く、AL KOOPERの「NEW YORK CITY, YOU’RE A WOMAN」。
そして僕が1996年にリリースした「TOKYO CITY HIERARCHY」を。こうやって、受け継がれていきます。
続いて、1973年リリースのコンセプト・アルバム。「BERLIN」。
完成度高いです。アルバム一枚が一冊の濃厚な本であり、映画です。今日お届けするヴァージョンはジュリアン・シュナーベルを監督に迎え、近年再演されたものです。「BERLIN」は一冊の本を読むように聴くことができるアルバムです。ちょっと胃もたれするところも素晴らしい。
実はこの映像を観て、ルーが自分のレクイエムを歌ってるみたいでちょっと泣きました。素晴らしい。
さて。1975年にリリースされたアルバム「METAL MACHINE MUSIC」。このアルバムの素晴らしさについては敢えて触れません。ご自分で聴き進んでいくうちに辿りついた方が美しいと僕は思います。どうして、ルーはこのアルバムを創らなければならなかったのか?随分前に「ミュージック・ステーション」に出演したTHE BOOMの宮沢君がタモリ氏に「最近、どんな音楽聞いてるの?」と問われてこのアルバムを挙げたときに、「おーいえーーっ」と思ったことがあります。僕はこのアルバムを聞いて、「孤独は誰も一人にはしない」と思いました。高潔な断絶。それもありなん。
殺人兵器のように美しいノイズ・アルバム「METAL MACHINE MUSIC」をリリースした直後にルーは「CONEY ISLAND BABY」という内省的な作品を出します。表現者としての振り幅。NYではなく、近くにある保養地、うらぶれたコニーアイランド。彼の心のひだが描かれます。美しき痛さとともに。
さぁ。1982年リリースの傑作「THE BLUE MASK」までたどり着きました。
ルーはこのアルバムでギターにロバート・クワイン、ベースにフェルナンド・サンダースと巡り会います。1曲目の「MY HOUSE」のエンディング部分を除いて、一切のオーバーダブは行われていません。何も足さない、何も引かない。人力による「生」の奇蹟の音楽。このアルバムは「聴く」という行為ではなく、スピーカーの前に座って、マイルスのある種のアルバムを聴くときのように、「魂で観賞する」アルバムです。息をするのもはばかられるような。そうやって聴き進んでいくと、最後の曲が終わった頃に自分の心のひだ、あるいはトラウマがあぶり出しのように中空に浮かび上がってくるのです。
「今宵、僕の家は美しい」。そう淡々と歌われます。1曲目の「MY HOUSE」を。
師であるデルモア・シュワルツに捧げられています。敢えて記しませんが、歌詞が素晴らしい。辞書に載っていない言葉も多々あると思いますが、興味のある方はご自分で、是非。僕はルーの曲で一番好きかも。「THE BLUE MASK」を。爆音で聞いてね。
この曲はライヴ・ヴァージョンで。ドラムにフレッド・マーを加えた、僕的には最強のバンドです。ロバート・クワインの唯一無比のギターを堪能してください。「WAVES OF FEAR」。初めてタイトルを観たときにやられました。1982年、大学一年のことです。録音レベルが低いので、ヴォリューム上げてね。
明日は一番好きなアルバム「LEGENDARY HEART」からです。お楽しみに。
この企画、弔いながらも、楽しんでいますが、みんな楽しんでくれていますか?気軽にコメントくれると嬉しいです。やる気でます。じゃ、また明日。海沿いを走ってきます。最近少し太ったので、今日は20キロかな。
ルーの訃報を聞いて最初に聴きたくなったのがmy houseでした。legendary heartsは1989年にHWのライブ(冒頭の山口ソロコーナー)で聴いたのをハッキリ覚えています。次回も楽しみです。
もし俺がロックンロールをラジオで聴いていなかったら、この星の上に人生なんてものがあるかどうかわからなかっただろう。ルーリード。
「BERLIN」は、5.5畳のアパートでレコード盤で聞いていました。
退廃的とかイメージで言われるが「SAD SONG」は美しくて泣けるっす…
ありがとう。楽しんでいますよ。泣けてきますけどね…。「彼の曲が消えてなくなることはない」。そうですね、本当に。ずっと鳴り続けます。
ラジオから流れる聴いたこともない音楽。イントロでしびれた頃が懐かしいです!いろいろな音楽を聴かせてください!!
訃報を聞き、私も「my house」を最初に聴きました。
“詩人の姿がそよ風の中にある” という1行目の歌詞が胸を打ちますね。
ルーのアルバムでは「THE BLUE MASK」と「live in italy」が愛聴盤です。
「SAD SONG」の動画、やはり泣けますね。
ルーの音楽からはとても深遠なバイブレーションを感じます。
明日の地獄アワーも楽しみにしてます。
ルーリードさんが小倉にお越しになったときピッタリ7時に始まってピッタリ9時にライブは終了これがNYスタイルですか・・? なんて想ったことを懐かしいくおもいだします。あらためてハマってしまいそうです。しまいましょう!
地獄アワー企画面白いです。限定じゃなくて時々やってほしいです。
一番初めのロニーもラジオっぽい流れでいいですよね。楽しい。
僕とHeatwaveとの出会いは地獄アワーのRadio。
そしてLouの音楽との出会いも地獄アワーで聴いた『Waves of fear』だった。
そのバンドマジックに体にに稲妻が落ちて、翌日レコード屋に走ったのを今でも覚えている。
Louにそして繋いでくれた山口さんに感謝。
限定ですが地獄アワー復活うれしい!
R.I.P Lou Reed
地獄アワー とっても愉スィ〜‼︎
アナログ盤で音を聴いてみたくなりました。
こんな日が来るとは思わずに…
私の心にビシバシ響いてます。
限定と言わずこの企画続けて欲しいです。
切なる希望!
今から20年前の高校生の頃コニーアイランドベイビーが聴きたくて田舎のCD屋に注文したら一ヶ月半後に入荷した事を今思い出しました。今思うと考えられませんが首を長くして待ってた記憶が。。HWのニューアルバムもお待ちしております。
「トーキョーシティ~」の元ネタはアレだったのですか~
なるほど・・・
ルーリードのライブは1度だけ
たしか九段会館だったような・・・
あれからもう20年以上経っているんだなあ・・・
今は亡き友に誘われて行きました。
振り返るためではなく
前に進むために聞きなおしてみる良い機会となりました。
全くの偶然ですが、日曜日、ひさしぶりにトランスフォーマーを聞いて寝たら、月曜日、ルーの訃報。本当に驚きました。きっとこのサイトで何かやってくれるだろうと思っていたら、やっぱりやってくれてました。昨夜からかぶりつきです。なんと! 1日目Loaded、2日目Blue Mask。私にとっては完ぺきな選曲。しかも見たことのない映像、そして聞いたことのないHeatwaveの演奏まで! ありがとうルー。ありがとうヒロシ。明日も地獄アワー、待ってます。
「Roll on babe」は自転車で散歩したくなるし、「CONEY ISLAND BABY」は自分が水の中にいるような気分になる不思議な印象。どちらも初めて聞きました。
洋さんの原点の音楽知れて嬉しいです(^_^)☆
後でじっくり聞きます〜
またちょくちょく紹介して欲しい!