「blog上地獄アワー、第十回、THE WATERBOYS来日記念プチ特集」

3月30日 日曜日 雨

ぱんぱかぱーん、ぱにゃにゃーん(ジングル)。blog上地獄アワー、十回目のオンエアです。放送2日前倒しアワーです。大半の原稿を某国からの帰国中、wifiが使える某空港で書いたので、内容が新鮮なうちにお届けしたく思ったのです。

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前回は標高3000メートルからディランの特集をお届けしましたが、愉しんでくれましたか?過去のアーカイヴスへはこのblogの右下からいつでも飛べるようになっています。

今回は某国からの帰りしな、飛行機が激しく遅れているので、空港のラウンジからお届けしております。帰れんのか、オレ? 自分が頑張ってもどうしようもないことは、なるようにしかならないしね。焦ってもしゃーないけど、僕が乗る飛行機が到着すらしていない状況です。でも、「お急ぎのところ、大変ご迷惑おかけしております」的なアナウンスは一切なく、「飛行機来ないのはオレのせいじゃないし」って感じが逆に気持ちいいです。はい。

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まずは僕の曲を聴いてください。もうすぐ盤が完成するというのに、未だ正式なリリース日が決まっていない、スーパーなりゆきレーベル、NO REGRETSからリリースされる山口洋ソロ・アルバム「Songs of Exeperience」。1曲目に収録されている「Don’t Look Back」と2曲目の「愛と希望と忍耐」を。この3年間の想いを音楽に込めたとです。

「Songs of Experience」。経験が僕を音楽へと向かわせてくれます。人々が音楽によって、内包する宇宙に旅をするときのリポビタンDになれば、と願っています。一般発売は4月中旬を目指してます。来月頭からのソロ・ツアー各公演ではみなさんに手にして頂けると思います。

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はてさて。空港に流れている音楽だけで、この待ち合い時間も何だか許せます。この国、好きじゃないことの方が多いんですが、音楽の土壌は芳醇です。たくさんの矛盾をはらんでますから。最高の音楽は良好な環境からだけ生まれてくるのではありません。僕がここで待っている間に流れた音楽を紹介してみようかな。こんなの日本じゃあり得ない。

まず、あまり好きではないタイプの音楽、スティーリー・ダン(すいません)。完璧すぎて好きじゃないんです。でも、さすがだ、と唸らざるを得ない曲も多々あります。じゃ、さっき流れてた「Reelin’ In the Years」。何というか、構築美です。ごいすー。

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続いてジミヘン。不滅の人気を誇ります。つって、この曲が空港で流れてるのがシブイ。Jimi Hendrix Experience で「The Wind Cries Mary」。

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スティーヴ・アールの「Galway Girl」。わお、今日はGALWAYにまつわる音楽を紹介しようと思ってところです。シンクロニシティー。じゃ、今日は彼のではないヴァージョンを。この曲がどれだけ浸透してるか、映像をご覧になれば分かるか、と。シャロン・シャノンは今日の特集にも関係してる人物ってことで。

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リクエストにTHE WATERBOYS、それにまつわるアーティストを、とありました。今年フジロックで来日するんです。あまりメディアに取り上げられないと思うんで、紹介しなきゃ。ただし、僕はあくまでも水先案内人。気に入ったら、ディープな道へ入っていくことはみなさんに任せたい。奥の細道への過程は人それぞれで、それこそ音楽の愉しみのひとつですから。なので、今日はプチ特集。彼らの音楽を聴いたことがない人たちに向けて、ちょー代表曲をお届けします。

この番組って、ほんとうに、何というか、営利目的ではないのです。育ててくれた音楽に感謝を込めて、みなさんに(特に若い世代に)紹介したいという気持ちなのです。でも、それがうまく伝わらず揶揄する輩も居ます。だったら、見なきゃいいじゃんって思うんですが、少しうんざりしているもの正直なところです。まぁそういう人たちはほんの一部だと思って、ネガティヴなところにはフォーカスせずにやっていくつもりではいますが。

youtubeというメディアは宣伝にはなりますが、ミュージシャンに実質的な報酬をもたらすことはありません。ですので、もし気に入ったなら、そのアーティストのCDを買ったり、正規に配信されたものを入手することによって、サポートしてくれると嬉しいです。今はネットで音楽が流通する黎明期ですが、できるだけいい環境を作る努力をしたいと思っています。

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大学生だったと思います。84年頃かな。もう30年も前のことになるのか(苦笑)。THE WATERBOYSの「The Whole Of the Moon」を聴いて、僕の中で「何か」が変わりました。ショックでした。何処までも伸びていくサウンドの中に、僕がロックンロールに求めていたもの「全て」が含まれていたからです。確かなヴィジョン、希望、夢、現実、焦燥、肉体性、永遠、不偏そして普遍性、文学性(リリカルさ)、サウンドの力、バンドマジック、未来を描くこと、エトセトラ。嗚呼。一瞬にして僕を虜にした「あの感じ」は今も変わることなく胸の中にあります。

この曲は身体の中に刻まれています。指標で、あの時代の若者たちの最高到達点で、いつだって脳内で再生が可能です。月の歌だけど、ポーラスター。それじゃ、盟友カール・ウォリンガーが在籍していた頃の初期THE WATERBOYS、「The Whole Of the Moon」を聴いてください。何かひとつでも言葉がひっかかった方は是非、歌詞を調べてみてください。この曲は「文学」でもあるんです。

もうひとつ。この曲でエンジニアを担当したミック・グロソップと僕は2枚のアルバムを作りました。スタジオに居る間、彼とよくこの曲とロックンロールの未来について話しました。

何とこの曲は何と8chでレコーディングされていたのです。って、録音に興味のない人にはどうでもいい話でしょうけど。簡単に書けば、そう聴こえないほどサウンドに革新性があるってことです。

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ジェニファー・ウォーンズによってカヴァーされた同曲を。この2つのヴァージョンから浮かび上がってくるものがあると思います。「僕が三日月を観ていたとき、君は満月を観ていた」。

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1988年、マイク・スコットがアイルランドのGALWAYでセッションを繰り返して作りあげた傑作アルバム「FISHERMAN’S BLUES」から「fisherman’s blues」を。

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THE WATERBOYSは上記の2曲を聴いて「ビビビ」と来るかどうかだと思っています。ですから、そこから先は自分で探検してください。この2曲はきっとフジロックでも演奏してくれるでしょう。このバンド(マイク・スコット)を聴いていくことは、一人の創作者の人生を音楽で辿ることです。同じ時代を生きている彼の感性は僕にとってはとてもプレシャスなものです。曲を書くときで、彼ならこの状況をどう表現するだろう、と考えることが良くあります。

もうひとつ。ライヴに於いて、欠かせないのが唯一無二のフィドラーの存在です。バンドを支えるスティーヴ・ウィッカムはダブリン出身のアイリッシュ。彼のようなイケてるフィドラーを僕もどれだけ探したことか。じゃ、「fisherman’s blues」の近年のライヴヴァージョンを。こんなライヴ、観れるといいね。

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マイク・スコットとカール・ウォリンガーは僕にとってはジョンとポールみたいなものでもあります。カールがバンドを脱退して結成したWORLDPARTY。素晴らしい曲がたくさんあります。代表的なものをいくつか紹介しますから、これまた「ビビビ」と来た人は自分で探索してみてください。

90年の名盤「GOODBYE JUMBO」から「Way Down Now」。このアルバムも僕の血肉です。

 

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もう1曲、「Put The Message In The Box」。

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最後に1997年リリースの名盤「Egyptology 」から名曲「She’s the One」を。

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愉しんでくれましたか?ディープな音楽ファンにはちょっと退屈だったかもしれませんが。意図を汲んで頂けると嬉しいっす。みなさんもその素晴らしい「知識」や「経験」を是非「シェア」してください。若い世代に何かを伝えることは、自分をもう一度「研磨」することでもあると、つくづく思うこの頃です。それでは、また来月。

そして飛行機はまだ来ない。アーメン(苦笑)。

ついしん

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。 肝心なことは、目には見えないんだよ」 by サン・テグジュベリが描いたキツネ

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「blog上地獄アワー、第十回、THE WATERBOYS来日記念プチ特集」 への5件のコメント

  1. Kumiko より:

    洋先生に宿題を頂いたので調べてみました。
    1番心に引っかかる詩
    I saw the crescent
    you saw the whole of the moon!

    物事は一方向だけ見てはいけないですね。違う方向から見たら同じ物事は違う見え方をする。
    自分の足元から変えていくこと…。でしょうか。

    洋さんはTHE WATERBOYSと出会いアイルランド音楽に繋がっていったのですか?FISHERMAN’S BLUESアルバム購入します。
    今回もとても愉しかったです。有難うございました。

  2. たんろん より:

    当時 渋谷陽一さんがラジオで訳詩を読んだ上でThe Whole Of The Moon をかけてくれました。とても感動しましたが、近所にWater Boysを置いているレコード屋など無く取り寄せてもらいました。もうそれは一生の出会いです。地獄アワーでもそういう事がおきるといいですね!

  3. kokopelli より:

    whole of the moonのカバー、初めて聴きましたが素晴らしいです。16歳の頃真夜中に佐野さんのラジオでこの曲を聴いて、次の日街に一軒だけあった輸入盤屋に走った事を思い出しました。もう何年も聴いてませんでしたが色褪せない名曲。

  4. hayato より:

    「風の中のマリー」大好きなギターソロです。
    ミック・グロソップ UPしてくれた動画の女性のコーラスが凄く良くて耳がいきます。しかもべっぴん。
    Jennifer warnes いい曲ですね!ベースの音が好みです。
    CDで聞いたらもっと耳を沈めそうで盤で欲しくなりました。
    the water boysはまったく知らなかったのですが
    フィドルが良いなぁと思ったら、ちゃんとそこにフォーカスをあてて
    紹介してくれて感謝です。
    いつもいつも山口さんの音楽への愛情が伝わってきます。
    新譜を抱え また沖縄まで来てくれる日を楽しみにしています。

  5. のり より:

    今回はコメント少ないですね^^;
    THE WATERBOYS??て感じで読み(聴き)進めればWORLDPARTYに繋がるのですね。
    勉強になります。
    WORLDPARTYは改めて良いなぁ~と思いました。
    実家にCDがあったと思うので探してみようと思います。

    あと、今月29日のライブに行ける事になりました♪
    アルバムは会場で買うとして・・・予習が出来ませんね(笑)
    ライブで新しい曲を聴くのを楽しみにしてます^^

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