限定復活、地獄アワー第三回

10月31日 木曜日 晴れ

みなさん、こんにちは。限定復活地獄アワー、山口洋がお届けするblog上の架空番組。今日は第三回。敬愛するルー・リードのソロキャリア中盤までをお届けします。番組、みんな愉しんでくれてるみたいで嬉しいです。

今日の1曲目は大病と共生しながら、最近新譜「CRIMSON /RED」をリリースしたばかりのPREFAB SPROUT。この曲からスタートです。日曜日の起きぬけに聴いたりすると、いい一日が始められるかもよ。じゃあ、「COWBOY DREAMS」。

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さぁ、ルーです。1983年にリリースされた「LEGENDARY HEART」。僕はこのアルバムをリアルタイムで(大学2年)聴いていましたが、な、なんと、30年も前のことなんですね(遠い目)。

名盤です。

名盤です。

 

僕はこのアルバムが一番好きです。「明かりを消してくれ」とか「仕事の話は止めてくれ」とか、日常の他愛のない風景が描かれます。大作はなく、料理で云うなら気の利いた小鉢が10個並んでるような感じ。ルーが描く日常(フツーの人にとっては非日常かもしれないけど)の短編集。おそらく人生で一番再生したアルバムです。ロバート・クワイン、フェルナンド・サンダース、フレッド・マー。ルー・リードバンド史上、オレ的に最強。1992年に「陽はまた昇る」を創るにあたって、僕らはこのアルバムを目標にしました。目指したのは「日常の中にある永遠」。

じゃあ、1曲目に収録されている表題曲を。

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ちなみにこの黄金期のメンバーでのライヴ「A NIGHT WITH LOU REED」は

一家に一枚ですよー。

一家に一枚ですよー。

youtubeで全編に渡って観ることができます。1983年NYのボトムラインでの演奏です。客席にはウォーホールの姿もあります。僕らはこの映像を血肉にして、ほんとうに裏返るまで演奏しました。未だに曲順通りにすべての曲を演奏することができます。たぶん。このライヴの中には僕がロックンロールに求めてきた「すべて」があります。時間のあるときに、是非観てください。でもって、この作品はDVD化されているので、ぐっと来たなら、是非、一家に一枚「「A NIGHT WITH LOU REED」。

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ここで寄り道です。ルーの課外活動。

「三文オペラ」のクルト・ワイルをカヴァーしています。これがね、素晴らしい。このギターソロはルーが弾いていますが、僕的には3本の指に入るソロです。

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オレ的三大ギターソロ
1. DOWN TOWN TRAIN / TOM WAITS におけるロバート・クワインのソロ
2. SWEET HEART LIKE YOU / BOB DYLAN におけるマーク・ノップラーのソロ
3. MIDNIGHT IN OASIS / MARIA MULDAUR におけるエイモス・ギャレットのソロ
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じゃ、4大やん!!!! って突っ込みはなしで。今、ふと浮かんだものを書いてみた感じで。

閑話休題。

クルト・ワイルをこのように解釈できることに、当時異様にコーフンしたことを覚えています。残念ながらこの曲が収録されているアルバム「クルト・ワイルの世界~星空に迷い込んだ男」は現在プレミアがついています。では、「SEPTEMBER SONG」を
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さて。1984年発売の「NEW SENSATIONS」。

これも80年代の名盤です。

これも80年代の名盤です。

僕は大学3年。当時乗っていた黄色いビートルの中には常にこのアルバムのテープが入っていました。だから、1984年の福岡の景色と共にこのアルバムは心に深く記憶されているのです。あの並木の風とか、海の照り返し、彼女の髪の匂いとか。イギー・ポップの「BLAH BLAH BLAH」と並んで、不毛と呼ばれた80年代の大人のロックンロールの見本のようなアルバムです。渇いていて、シンプルで、ゴージャスで、そして深い。

1曲目。「I LOVE YOU,SUZANNE」。シンプルで素晴らしい曲なんだけど、MTVに乗っかれなかったルー、このPVはファンとしてどうかと思うけど。でも、いい曲。
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表題曲、「NEW SENSATIONS」。
この曲はバイクで綴るロード・ムービーなのです。ルーはKAWASAKIの巨大なバイクに乗っていました。

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最後に「DOIN’ THE THINGS THAT WE WANT TO」
このblogで何度も紹介してきました。コードはDとGだけ。too much simple。でもそこで描かれるメッセージは30年経っても、まったく色褪せないのです。

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第三回、愉しんでくれましたか? この企画をやるのは結構大変なんだけど、読者と音楽でやり取りできるのは嬉しいです。

明日(山形までの移動日なんだけど、更新できるのか、オレ?)は最終回の予定です。お楽しみに。みんなのリアクションありがとう。励みになります。

じゃ、お別れの曲は「明日のために靴を磨こう」。1992年にこの曲を書いたときは達成感がありました。4小節でループする同じコード進行を延々繰りかえすだけで、曲が成り立っていたからです。「サークルソング」と呼ばれたその手法をずっと目指していたのです。シンプルな曲って、ほんとうに書くのが難しい。ルーの曲はほとんどサークルソングとして成り立っています。今日は2006年に「脱力・バージョン」でセルフカヴァーしたものを聴いてください。こういった意味でもルーは僕の怖い先生だったって訳ですたい。

明日のために靴を磨こう

じゃ、また明日。ENJOY YOURSELF! オレは海沿いを走ってくるぜー。

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限定復活、地獄アワー第三回 への13件のコメント

  1. ヨシコ より:

    最終日はガーランドジェフリー、ジムキャロル、ジャズブッチャーetc ルーを囲んだ仲間たち.ルーリードが切り開いた地平とか…

  2. うっちゃん より:

    Lou Reedの曲は、オリジナルアルバムで聞かないとダメだよ…。
    Bob Dylanやneil young然り。そこには、絶対的な構成があるのよ。
    1曲、2曲のバラで買っちゃダメ…。

  3. Froggy II より:

    きゃー PREFAB SPROUT、胸きゅん!ずいぶん前のアルバムだけど「JORDAN:THE COMEBACK」は今でも繰り返しきいてます。にしてもLou Reedの曲って、やっぱり水中で聞いてるような感覚になります。脱力の「明日のために靴を磨こう」はまったく違う曲に聞こえて。歌じゃなくて会話みたいで、手紙みたい。

  4. のり より:

    この企画は最高ですね!
    昔FMを聴いていた頃を思い出します。とても面白い!!
    今日の中では「SEPTEMBER SONG」が凄く良かった。
    でもアルバムはプレミアがついているって事は手には入らないって事ですよね・・・
    残念!
    そしてルーリードでもやはり80年代はそれなりに80年代って感じだったんだな~と思いました。
    今日(明日?)も楽しみにしてます!

  5. 林檎 より:

    地獄アワーとっても楽しく聴かせていただいております(^^♪
    こんな故人への偲び方、私がルーさんだったら最高に嬉しい!
    また長距離の移動ですが、どうぞお気をつけて!!!!!!(^^)

  6. kumiko より:

    セルフカバーした明日のために靴を磨こうは、
    この季節にシックリくるカントリーな感じで凄くイイですね。とっても好き♪!このバージョンでライブで聴いてみたいな。

  7. nagatsuyu より:

    隠れファンですから・・・「地獄アワー」は生活の中で楽しみの時間でした。喋りが文字に変わっても、なんら違和感ないっす。(あまり喋る方ではなかったかと)でも、紹介してくれる音楽は素晴らしくて・・・時々こんな企画をやってくれると嬉しいです!

    NEW SENSATIONS・・・狭いスタジオで体育座りしながら、多分、ヒートウェイヴがカバーしたのを聞いたのは友人Oと僕が初かと・・・「LPと一緒やん!」と感動したのを覚えております!

  8. toshie, tokyo より:

    血肉となったLou Reedの作品の影響という興味とオープニング、エンディングの曲も、とても気になりました。こちらも励まされます。特にラジオは大好きなので何度も繰り返して聴きたくなります。

    岩手の方々との時間が素晴らしいものとなりますように。どうかお気を付けていってらっしゃいませ。

  9. ふみこけんきち より:

    すばらしい、「血肉にして、ほんとうに裏返るまで演奏し」た人からしか出てこない、リアリティのある紹介です。読めてよかった、ありがとうございます。

  10. Kokopelli より:

    久々にメタルマシーンミュージックを聴いたら歯医者で治療を受けている気分に。。

  11. なおみ より:

    私がルーリードの音楽と出会ったのも地獄ラジオ。
    まだまだ知らないアルバムがある!
    じっくりとまたお気に入りのアルバム、増やしたいと思います。(^^)

  12. memory man より:

    山口さんへ
    Down town trainのソロは、僕もロバート・クワインだとずっと思っていたのですが、数年前にNYの楽器店でG.E Smithにたまたま会った時に聞いてみたら、あのソロは、クワインではないそうです。クワインはあの曲ではリズムギターなんだそうです。

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