2月22日 水曜日 雪
出会えたすべての存在に心から感謝しています。人に山に峰に崖にコブに、ありがとう、と云って廻る英語が下手なヘンな日本人。でも、それをどうしても伝えたかったとです。
ありがとう。心はエネルギーで満ちています。
2月22日 水曜日 雪
出会えたすべての存在に心から感謝しています。人に山に峰に崖にコブに、ありがとう、と云って廻る英語が下手なヘンな日本人。でも、それをどうしても伝えたかったとです。
ありがとう。心はエネルギーで満ちています。
このダラクサなミュージシャンの僕が朝の6時には起きる。ベランダに出て、山を見上げ、今日のご機嫌を伺う。それからコーヒーを淹れて、バナナを無理やり一本食べ、ストレッチをして、バスに乗り、山へと向かう。リフトを乗り継いで頂上を目指す。標高は4000メートルに近くなる。一日に一回は息を切らしながら、スキーをかついでプチ登山をすることになる。はじめは休まないと登れなかったけれど、もう慣れた。とある頂上はもはやこの世とは思えない。行ったことないけど、火星ってこんなところなんだろう、と思う。エクストリームのサインをくぐる前に、深呼吸をする。山、そして会えなくなった人たちと会話をする。一人だけれど、まったく寂しくない。こんな世界の果てみたいな美しい場所に居て、廻りに誰も居ないのに、ちっとも寂しくなんかない。
切り立った崖を見て、武者震いをする。こんなところ滑ろうとするなんて、イカれてると思う。でも、もう戻る術はない。ターンを一回失敗したら、僕は奈落の底に落ちていくだけ。だいいち僕は経験3年のビギナーだし。骨の一本くらいで済めばいいけど。昨日できたことが、今日できる保証なんてどこにもない。って云うか、同じ状況は二度とない。昨日はパウダー、今日はガリガリの氷。技術はぎりぎり。でも勇気を出して、エッジを立てて突っ込んでいく。この瞬間が好き。しびれる。生きてる、と思う。
ここに来たときは、グルーム(圧雪)された場所しか滑れなかった。でも、今は自然のままの場所が好き。木々や岩や斜面やコブや、無茶苦茶な自然に翻弄されながら、直感と敬意と運動神経と考えることと、考えないことと。とにかく自分の持っているものを総動員して、謙虚さを忘れず、滑っているのが好き。俺は生きてるぜー、ありがとーと大声で叫びたくなる。
山はほんとうに素晴らしい。分かれば分かるほど、何も分からなくなってた。ほんとうに言葉も失ってた。でも、世界と関わるほど、人は一人になる。それでいいんだ。
2月18日 土曜日 晴れ
ともだちから昨年のひばりさん@東京ドームの映像、YouTubeで観たぜ、とのメール。な訳で、僕も観てみる。何つーか、その。確かに彼女に対して、僕らの敬意を感じたから、それでいい。魚先生があれだけ丁寧にスコアを書いてくれたのに、疾走する(暴走する、とも云う)バンドの熱とオーケストラがまったく融合していないところもリアルで好きだ。幾つになっても甚だ不完全。完全なことに、僕は意味を感じない。完全を目指しているのだけど。
一年前にまったく歯が立たなかった「ひょっとすると死ぬかもよ – それはあなたの責任です」と云うトレイルにスキーで入った。去年はケネディー家の人がここで死んだと聞いた。遭難したら、ヘリで捜索され、ベラボウに高い救出費用を払うことになるらしい。で、今年もまったく歯が立たなかった。怪我をせず、帰ってきたのが不思議なくらいに。自然のままの無茶苦茶な(それが自然のほんとうの意味だけれど)コース(いや、あれはコースじゃないな、自然のままだから)に翻弄され、木や岩に激突する前に何とかそれをかわして、溶けかけたパウダーの海に沈む。「ちくしょー」。自分の声が谷に響く。自分に腹を立てたって仕方がない。お前が小さいだけなのだから。そんなことを学ぶ日々。甚だ不完全。
あまりに厳しいこと。それが僕にとっては愛だった。ほんとだよ。悔しかったけどね。
2月17日 金曜日 晴れ
2月16日 木曜日 雪のち晴れ