day#014、沙流川から二風谷へ

7月20日 土曜日 晴れ 

 控えめに言ってもバイクの旅は危険極まりない。コケたら、タダでは済まない。自分に落ち度がなくても、センターラインを超えてくるクルマだってあるし、北海道は信じがたい運転をするドライバーがいたりもする。

 装備も面倒くさい。間違えたら地獄のように暑かったり、寒かったり。ちょうどいい装備を身につけるのが難しい。荷崩れしないように積むのも面倒くさい。鹿アタックもキツネアタックも、なによりクマアタックが怖いけど、今日は虫アタックの怖さを思い知った。あれはほぼ弾丸。痛いなんてもんじゃないし、ぶつかった瞬間に破裂するし。

 今回、ソロツアーもやっていたので、楽器や本を2セット用意して、交互に会場に送っていた。それもまたなかなかの手間だった。楽器がなかったら、アカペラだしね。

 それでもバイクで旅をするのは、好きだから、としか言いようがない。簡便ではないその全てのプロセスが好き。すべて自分の責任だし。うちの奥さんには「事故ったら離婚」と言い渡されてる。そりゃ、そうだよね。

 昨日、小樽ですごい光景を見た。アジア系外国人の女性がホテルの駐車場の係員にアンビリーバブルにキレている。母国語と英語とカタコトの日本語で。オレ、人生であんなにキレている人を見たことがない。聞けば、機械式駐車場の順番を一組間違えただけ。係員はもはや青ざめている。なのに、彼女は攻撃をやめない。さすがに許し難かった。英語でやんわりと「郷に入りては従いなさい」と伝えたら、彼女は日本語で「このクソ野郎!」と言った。

 こういうのが嫌なんだよね。言っとくけど人種差別ではないからね。この人物が酷すぎるだけ。なので、午前中ずっと気分が悪かったよ。

 バイク乗ってる人にもひどいのはいるけど、みんな危険を感じてるから、すれ違うときに挨拶をする。そういうの、いいね。函館までのフェリーで一緒だった岩手のおじさん、岩内でばったり会った。定年して、一人で旅してるんだって。いい顔してたな。十勝岳温泉ではセローに乗ってる女性とともだちになった。北海道を一周するのが夢だったんだって。

 クルマと違って、全方位的にいろんなことを感じる。谷やトンネルで空気が一瞬にして変わるのはクルマじゃわからない。農薬が散布されてる畑もすぐにわかる。

 いつも思う。プロセスが大事だって。プロセスを大事にしたなら、結果はおのずとついてくる。いつ、バイクを降りるのかわからないけれど、夏の間は北海道にいたい。でも、地球の温暖化は思ったよりも進んでると思う。蒸し暑い北海道なんて、これまで経験したことすらなかったんだけれど。

 今日は雨だから、世話になったやもめのトミーにご飯を作る。笑。ほんとうに、ともだちがオレの財産だと思う。

 明日はずっと行きたかった沙流川から二風谷に行くつもり。萱野茂さんは中村晢さんと同じくらいリスペクトしてる。

 トミーが帰ってきて30年前にオレたちが知り合った映像を見せてもらった、普段振り返ったりしないから、懸命に生きてる若者が映ってて感動したよ。これはみんなに見てもらった方がいいね。

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day#014、沙流川から二風谷へ への5件のコメント

  1. ポレポレジャスミン より:

    私も、北海道の大自然を満喫するのが夢の一つです。
    今はいろんな事情で難しいのですが、おばあちゃんになっても実現出来るといいなあと思います。
    なので、山口さんのインスタグラムで夏の北海道を楽しませてもらっています。
    ありがとうございます。
    道中くれぐれもお気を付けください。

  2. カドジュン@五島 より:

    バイクに乗ってて眉間にカナブンらしきやつがぶつかった時は
    狙撃された?!と思いました
    こけなくて良かったです

  3. ナカムラ より:

    やはり萱野茂さんの名前が出てくるとは・・
    私も中村哲さん同様、リスペクトしています。
    二風谷の報告が楽しみでなりません。

  4. マサポン より:

    先日、再放送していた六角精児さんの 呑み鉄本線⚫︎日本旅「夏⚫︎釧網本線!」を録画していたので、本日見ました。
    洋さんが、パンキッシュなハーレー極まりない旅なら、六角さんのは、レイドバックしまくり鉄旅 といったところでしょうか。改めて、旅(タビ)、良い響きな言葉ですね(私だけかもしれませんが…)
    ありえないかもしれませんが、洋さんのハーレー旅が、テレビ放送となったら、ナレーターは壇 蜜さんに対抗し、チャボさん繋がりで夏木マリさんだと。激シブな番組になるかもしれません…

  5. 中澤 美穂 より:

    山口さん、おはようございます。

    ファンのひとりとして、山口さんらしさ全開のバイク旅を応援していますが、今日は送り出すご家族の気持ちにも思いを馳せました。

    冒険家の植村直己さんの奥さまが「送り出す時はいつも、これが最後になるかもしれないと覚悟していた」と仰っていました。

    猫の保護活動で地域猫への餌やりをされているかたが、屋外の過酷な環境と猫自身がどこまで足を延ばすか把握できないことを踏まえ「いつの間にか姿を見せなくなってしまう子いる。会えたらもちろん嬉しいが、同時にこの子に会えるのはこれが最後かもしれないと覚悟して餌を与えている」と仰っていました。

    確かに私も、うちに通って来てくれる茶白男子に「今日も一日無事でいてね。夕方必ずまた来てね」と言い聞かせて出勤します。

    植村さんの奥さま、猫の保護活動されているかたが使う「覚悟」という言葉。その裏にある愛情は深く、胸を引きちぎられるような想いがあるに違いない。

    山口さんのご家族の想いも同様です。山口さんご自身は運転で決して無茶をしないかたであることを重々承知したうえで、何せバイクは丸腰です。「事故ったら離婚」とは最も望まない選択肢を提示することによって、山口さんを送り出す覚悟を決めている、ということに他ならないと思います。

    ご無事のご到着をお祈りし、これからも旅の安全、音楽の旅が続いていくことを願っております。

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