月別アーカイブ: 1月 2013

ヴァイブレーション

1月30日 水曜日 雪 ここに居ると、僕の英語が拙いのもあるけれど、「ヴァイブレーション」って言葉を良く使います。そうとしか表現のしようがないのだけれど、それは確かに存在するし、五感、いや第六感も含めて感じとるものです。この場合、言葉が下手な方が敏感に感じとるのかもしれません。 英語。大切な場面では分からなかったら、分かったような顔をしません。「分からん、でも分かりたい」と顔に書いておきます。それしか方法がない。そうすると、相手は伝えようと努力してくれます。知らないことが恥ずかしいのではなく、知ろうとしないことが恥ずかしいのだと思います。 ヴァイブレーションに話を戻して。 店であれ、人であれ、山であれ、部屋であれ、動物であれ、交渉であれ、何にでもそれは存在します。この感覚は危機察知能力ともリンクしていて、これ以上突っ込むと(山でも、人でも、対象が何でも)ロクな結果をもたらさないっってことが本能的に理解できるようになってきます。稀に失敗するけど、それもまた学びの機会です。 パウダーだと思って突っ込んだら、実は表面だけで、下には岩や氷や根っこが隠れていた、なんてことも良くあります。そんなことを繰り返すうちに、自分の感覚が研ぎすまされていきます。僕の技術では常に真剣です。余裕はありません。神経を集中させているので、とても疲れます。でも、愉しい。ここに居るうちに、表情も、身体も心も、変わっていくのが分かります。 目覚めたらすぐにカーテンを開けて、山を見ます。今日はとってもヴァイブレーションが良くなかった。山の機嫌が悪い。以前だったら、それでも行ったと思います。でも、今日は大人しくしていることを選びました。そういうところが随分変わった(いや、山に教えてもらった)気がします。静かに得たものについて考える。そんな時間も大事です。 僕なりに山に真剣に向き合っているうちに、道具の大切さに気付かされます。重要な動作はまずブーツの中ですべて行われます(受け売り)。それゆえ、靴下ひとつで、まったく雪に伝わる感触が違います。今までいろんなものを買ったけれど、まだ「これだ」ってものに出会っていません。ヘルメットはちょっと重いだけで気になる。手袋は二重にするのですが、値段が高ければいいってものじゃない。手だけは死活問題なので、カイロを入れたり、いろんなことを試していますが、これもまだベストじゃない。達人によると、五本指よりミットの方が温かいらしい。僕は達人たちが長い時間をかけて身につけたノウハウを教えてもらえるので、ほんとうに助かってます。いわく、道具を大切にする人は上手いし、怪我もしない。どの道も同じだなぁ、と。 って、何のblogだ。今日はたくさん作りおきの料理をして、音楽に向かいたいと思います。それじゃ、また。 追伸 これを書いたあと、道の達人と話しました。曰く、滑っているときは、何も考えず「無」の境地なのだと。僕も音楽をやってるときはそうなんだけど。深いなぁ。

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Powder days

1月29日 火曜日 雪 「いつ帰ってくるんだ」ときびしーメールが多々寄せられております。ごめん。まだ帰りません。思いきり、何かが見えてくるまでは。 連日、パウダーに舞い上がり、そして翻弄され、筋肉が「もう止めておくんなはれ」と悲鳴を上げております。そして寒い。朝ダイヤモンド・ダストが舞っていたなら、根性入れて防寒対策をします。でも、マイナス20度、風が吹いて、体感気温がマイナス30度を超えると歯が立ちません。寒いと、本当に疲れる。集中力も持続しないし、思考が鈍るのです。だんだんいい加減になってくる。これが危ない。 でも何が面白いって、同じ状況は二度とないのです。ついさっき、いい感じを掴んだから、もう一度同じところに行って身体に入れておこう。なんて思っても、さっきとは状況がまるで違う。音が減衰していくのがはかないように、雪面もまた同じ。この瞬間に集中するしかありません。自然を僕がコントロールできるわけがなく、一方的に翻弄される。だから、面白いのです。次第に謙虚にならざるを得なくなる。 今日はオーロラなのか虹なのか、微妙なものを見ました。果たして寒さで幻覚か、と思ったので、アメリカ人に聞いてみました。彼曰く「見たことないなぁ」。何だったんだろ、あれ。でも写真にはきれいに映らないのが残念。僕の心の中には残ってるんだけどね。 僕の大好きな「神への領域」へのルートが金曜日に開通すると、パトロールの人が教えてくれました。嬉しい!!!!!! 追伸 昨日、書いたベンチのことなんだけど、その多くはこの山で遭難して亡くなった方を偲んで設置されたものです。あちこちにあります。それって素敵だなぁ、と。僕は墓なんか欲しくないけど、ベンチならいいなぁ。「この山に教えを乞いに毎年通ってたアホなジャパニーズ、大した技量もないのに崖が大好きだった。Life is beautiful」。それ誰?みたいな。  

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Appreciate Life, It’s a wonderful journey

1月27日 日曜日 粉雪 朝起きたら、雪が積もっていた。心が踊る。誰よりも早く山に登って、パウダー・スノーの虜になる。何というか、その。パウダーを滑るには技量も必要なのだけれど、まるで雲の上を移動しているような気分。最高。パウダー・ジャンキーと呼ばれる人たちの気持ちが分かる。 話は変わるけれど、成田の本屋で数冊本を買った。僕より一回り上の作家が、50代から60代を主人公として、この生きづらい時代をどうサバイブするか描いた中編集を読んだ。 現代に於ける中年、いや壮年の葛藤をこれだけリアルに描いた小説は読んだことがない。おそらく作者も身につまされながら、自らを投影させつつ、苦悶の中で描いていったのだろう。ストーリーも決して明るくはない。明るくなるはずもない。けれど、僕はそこに奇妙な「希望」を感じたのだ。創作の可能性を。こんな励まされ方もあるのか、と不思議な気分で僕はパウダーの雲の上に居た。 膨れ上がった風船は針の一差しで破裂する。僕らはそんなことを嫌と云うほど経験したのだと思う。その風船に送り込まれた空気は「傲慢」や「怠慢」。なのに、学ばない。 僕は走らされるのではなく、走りたいだけだ。どんなに最悪な体験をしても、何も起こらない退屈な日々よりは、豊かなときを生きさせてもらったのではないか、と作者と同じことを思う。 疲れて、ふと座ったベンチに粋な言葉が書いてあった。 Appreciate Life, It’s a wonderful journey (人生に感謝しなさい。それは素敵な旅だよ)    

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夕食ばんざい in USA

1月26日 土曜日 雪 山での生活は極めて規則正しいのです。誰に命令された訳じゃないけど、自然には逆らえないので、おのずとそうなる。朝6時には目を覚まして、夕方まで山に居て、晩飯を作って、音楽を作って、寝る。以上。色気ゼロ。もう少し若ければ、バーにでも出没するんだろうけど、運動だけでヘトヘト。そんな事をしたら、翌日怪我すること間違いなし。 いきおい、愉しみは晩に何を食べるかってことだけです。とかくアメリカの食い物は口に合わないので、昨年は食材を送るという反則行為を犯したのですが、今年は住む場所も決まらないまま日本を出たので、それも叶わず。スーパーにある食材で、不足しがちな栄養も補給しつつ、美味しいものを作らねばなりません。 ところが、ここは標高が高い。沸点が低い。沸騰しているように見えるけど、お湯の中に指を入れることが出来るし、ジャガイモなんて何時間煮ても柔らかくならない。ほんとだよ。パスタをアルデンテに、なんて夢のまた夢。おまけに、居候中のこの家には電気コンロ(簡易なもの)しかないのです。 でも人間は生きる = 喰うためなら、どんな努力だってします。どうにか工夫して、美味いものを作ろうとする。面倒くさいけど、面白い。先日アジア料理屋で、食事のあと割り箸を失敬しました。(すいません、許してください)そこから料理と食事が激変。この割り箸、洗って何度も使います。貴重極まりないのです。ある日、ペンネを箸とフォークで食べ比べてみたんだけれど、箸の方が美味い。ほんとだよ。ビバ、日本文化。普段、在日九州人とかウソぶいてるけど、オレはお箸の国の人で、おふとんの国の国王です。大泣。 今、喰いたいもの。しらすおろし、ちゃんと出汁のとれた味噌汁、だし巻き、きんぴら、おから、もずく、がめ煮(筑前煮のことね)、ひじき、あじの開き、んがーーーーっ。夢はしらすおろしの風呂に入って、自分にポン酢をかけて、はふはふいいながら、しらすと大根おろしにまみれること。嗚呼。 イエスタディ。 ハードな運動を続けて、ほんとうに疲れていたのです。そこに「ヒロシ、鮨喰いにいかない?」と悪魔の誘い。もう遠い街まで行く元気もないけど「鮨、寿司、スシ」。よっしゃー、行く。 まごうことなき日本料理人Sさんが握る鮨。ネタは築地から取り寄せたもの。普段はアメリカナイズされた鮨(カリフォルニアロールとかね)が中心だと思うのですが、ブラジル、アメリカ、日本混合軍のために本物の鮨を握ってくれました。シャリうまっ、ヒラメうまっ、シメサバうまっ、アナゴうまっ、イカうまっ、タコうまっ、うまいーーーーーっ。 異国に於いても一切の妥協のない職人魂に、深い感謝とともに店を出るときには、驚くなかれ、すっかり元気になってました。おそるべし、鮨。離れていると、日本の素晴らしさが身にしみて分かります。いつまでも魚が食べられるように、次の世代に残さにゃいかんよ。 以上、夕食ばんざい in USAでした。スタジオにお返しします。  

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剥離

1月25日 金曜日 雪

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songs of experience / 経験の歌

1月24日 木曜日 曇り/雪 久しぶりに雪が降っています。 突然ですが、ウイリアム・ブレイクの「songs of experience」って知ってますか?山の中で、一心不乱に「無」になっていると(ヘンな表現ですが、そうとしか云いようがない精神状態なのです)、とつぜん頭の中に音楽が流れだしたり、今の日本人(僕も含む)に欠けているメンタリティーに気がついたり、ブレイクの詩が流れてきたりするのです。それはまったく無作為なので、自分にとっては今切実に必要なもので、本質的なことなんだろう、と思います。大切な時間です。 確かにときどき僕は新しいものを生みだしたのかも「かも」しれません。でも、こうやって無作為の中で、ふっと湧いてくるものを「edit」して、人に届けるのが自分の役目かもしれない、とも思います。出典を明らかにした上で、フレーズをサンプリングするのではなく、スピリットをサンプリングすると、云うか。たとえば、ブレイクのその詩は今こそ有効だと、山が僕に教えてくれるのです。 前述のbowlに行きました。理由は、えっと、直感です。 実のところ、修学旅行の前日のガキみたいに、昨夜は緊張してよく眠れませんでした。結果、思考が辿りついた場所はシンプルで、単独行ゆえ、人様に迷惑をかけることなく、怪我をせずに生きて帰ってくること(大げさだけど、僕にとってそのくらいの覚悟は要るのです)。その上で、チャレンジできるならば、逃げることなく、山の神に感謝しながら、昨年できなかったことを達成してくること。 頼みの雪上車が運休していたり(その分自力で登るはめになりました)、途中で酸素不足のため頭痛に襲われたりしましたが、今年の僕の目には、壁は垂直には見えませんでした。いくつになっても、人には伸びしろがあるってことを山に教えてもらいました。愉しかったか、と聞かれると、正直なところ、20%は怖かったです。でも、今年はチキンになることなく、雄大かつ危険な世界を存分に「滑らせて」もらい、帰ってきました。得難い経験でした。プレシャス。 大事なことは、そこを滑ったことよりも、副産物のように「無」のなかで何かがもたらされることです。こうでもしないと湧いてこない発想は確かにあります。日常から切り離さないと見えない日常があります。そして、このような馬鹿げたことを安易に人に勧める気はありません。 ある脚本家の言葉ですが、登るのであれば、海抜ゼロからでなければ登ったとは云えないし、今日の行動だって、バスに乗って、エトセトラ。本当に危険であれば、閉鎖されるのだし。文明の恩恵は充分に受けている訳です。 その上で、自分がマイノリティーだと嘆くのではなく、絶望的に遠い他人に、通じる言葉、そしてメロディーを探しています。それは相手や自分に迎合して可能になるとは思いません。 麓に辿りついて飲んだコーヒーの美味かったこと。多分、3日ぶんくらいのエネルギーを使いました。ヘトヘトです。 それではまた。Life goes on !  

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崖に恋する

1月23日 水曜日 晴れ 長かったコソ練を終えて、今シーズン初めて崖に行ってきました。 去年までは心の中の殆どを「恐怖」が占めてましたが、何つーか、その、愉しい!!!!!! むっちゃくちゃ愉しい!!!!!!! 生きてるぜー、オレって感じです。こんなに集中させてくれて、ありがとう、と云うか、LIFEと崖と山の神に心から感謝です。  

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今年の目標

おじさんを駆り立てるものについての話です。 眠たいけど、洗濯してるので眠れないのです。新しい曲も生まれてるんで、楽しみにしてて下さいまし。山で無になってると、とつぜん何かが湧いてくるのです。音楽の全体像が見えているときは、ドラムパターンとベースとギターとメロディーを口でiphoneに録音します。帰ってきたら、言葉を書いていきます。山中での作曲は楽器がない分だけ無駄がないのです。これ、面白い。 さて、今年の目標です。近くのとある山に、bowlと呼ばれる場所があります。これがその山の頂上部分の地図で、 これがbowlです。   リフトで登り、雪上車で登り、最後はスキーを担いで尾根を自力で登って、滑り下りてきます。ネットに著作権のない写真があったので、お借りします。こんな感じです。 去年はアニキに連れられて行きました。でも、滑ったと云うよりは、ただ「落ちた」に等しかったのです。まったくどうにもならなかった。調べてみると斜度は40度を超えています。上から覗き込むと、殆ど垂直に感じます。で、僕には技術が足りず、そして恐怖に負けたのです。その想いを一年間引きずってました。そりゃーもう、超がつくくらい悔しかった。無茶すれば怪我します。当たり前です。だからスキーをコントロールするために毎日黙々とコブを滑り、スキーを担いで山を登って心臓を鍛え、もっと云うならば、一年前にできなかったことをやるために、毎日日本で走ってきました。だって、人生は一回しかないんだよ。 アホかお前はって、アホで結構。今年は独りで行ってきます。このところ、気温が高くて雪が降らないので、岩がガリガリに露出していると思います。でも、この状態で急に雪が降ったら、雪崩の危険があるので、閉鎖されるんだそうです。行くなら今しかない。きっと、もっと上手くなれば、何を大げさなっちゅー話なんでしょうが、スキー5年目の僕には結構な試練なのです。でも、意味もなくドキドキするこの感じが好きです。 てな訳で、尾根を歩くためにスキーを背中に背負うための道具を買ってきました。はたして、どうなることやら。さっき、いちおうマネージャーには「死んだらごめんね」とメールを書きました。返信は「僕にとっては想像を絶する世界なので、楽しいのか何なのかよくわかりませんが、ミュージシャンとして帰ってきて下さいね~」でした。 あーどきどきする。それが愉しいんだよ!!!!!  

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山頂よりvideo blog

1月22日 火曜日 晴れ すいません。伝えたいこと山ほどあれど、文章を書く元気が残っておりません。今日は山頂より映像でお届けします。かんにんなー。 IMG_1386 IMG_1351 IMG_1352

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翻弄

1月20日 月曜日 晴れ

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