アナログ、アゲイン

5月24日 水曜日 晴れ

某ソニーより、「柱」に続いてアルバムをアナログ化しないかとオファーが。

んなもん一気に5枚やればいじゃん、とこちらは思うわけですが、ソニーにも都合があるんでしょう。前回、たくさんの人が求めてくれて、それはとっても嬉しかったのですが、プレス枚数などに関して行き違いがあって、ユーザーを混乱に陥れたこともあり、わたすはやっぱり独立独歩で生きていくのが合っていると教えられた出来事でもありました。なにかやらかしたら、責任はすべて自分にあるっていう意味で。

でも32年ぶりにデビュー盤がアナログ化されたことは嬉しかったっす。

次はどの作品をって部分はアナログ化に意味があるってところから「陽はまた昇る」を選びました。あの作品はベーシックトラックを福岡で録音、ダビングを東京で行いました。僕は当時のデジタルサウンドが嫌いで(2枚目の「凡骨の歌」でレコード会社の意見を聞いて、デジタルで録音して懲りたので)、福岡の愛着のあるスタジオでアナログで録音し、当時日本でいちばん好きだったNeveの古いコンソールがあった信濃町と六本木のソニーのスタジオでダビングしました。

これは結果的にとっても素晴らしくて、今聞いてもまったく色褪せないサウンドになってます。あの古いNeveのコンソールはもうこの国にはありません。みんなこうやって時代の趨勢に負けて手放してしまうのです。どんなにコンピュータが発達したとしても、あのサウンドは「絶対に」出せないのです。

アルバムのインナーの写真を見てくれたらわかると思います。コンソールの横に山のように積んであるアウトボードはもちろん全部本物。キックには名機フェアチャイルド、僕の歌には古い1176と鉄板のリバーブ(本物)。エンジニアの森岡さんがソニーにあった名機を独り占め(笑)にしてふんだんに使ってくれました。

今や見かけることのない名機たちのそれぞれの音の個性を、本物で知ったってことはほんとうに財産だったし、当時のソニーの録音部には良い音を継承しようとする心意気がありました。メインテナンスも完璧だったしね。

正直に言って、今のソニーとは違う会社です。悪口ではなく、事実です。

で。「陽はまた昇る」。ソニーからのオファーは1枚でなんとか。無理難題。笑。

アナログでいい音質をキープしようとするなら、片面19分までなのです。なんとかがんばって23分入れたとしてもA面で2分、B面で1分削る必要があります。もともとアナログを前提に創られた作品ではないのでね、、、。

オリジナルを削ることには抵抗がありました。でもまぁ、ここでG.Yokoのアナログを作った経験が生きたというか。あの作品はCDとアナログでは曲順を変えました。同じ系列の違う作品と捉えたのです。

なので、この場合曲順は変えないけれど、アナログ化にあたっては、そのメディアに即した新しい作品を創るイメージで編集するポイントを探しています。でも、これが難しい。当たり前。だって、それで完成してるんだもん。

この作品もまた、31年の時を超えて、アナログでみなさんに届けられること。そこを第一の喜びのポイントに据えて作業しておりまする。このようなやんごとなき事情があることを理解してくれた上で楽しんでくださいまし。リリースはたぶん秋以降かな。

 

 

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アナログ、アゲイン への9件のコメント

  1. nobu より:

    あさイチからの朗報!!
    うれしいです!

    これで今日1日・・・
    イヤ、秋まで頑張れます!

    作品の完成形を知っているだけに収録時間の件はなかなかに悩ましいですが、一日千秋の思いで心待ちにしています。

  2. ys より:

    これは嬉しいお知らせ!楽しみです。生きてたら絶対買います。
    ただ次のアナログは大好きな「凡骨の歌」を期待していたのでちょっと複雑な気も…
    収録時間の問題があるのは気が付きませんでした。まあ言い出したら「NO FEAR」も是非ともお願いしたいですし、どの作品もとても楽しみです。なんならボーナストラック入れて2枚組とか嬉しいです。

  3. heath より:

    …嬉しい…本当に嬉しい
    「陽はまた昇る」は私がヒートウェイヴを知るきっかけになった大事な、そして大好きなアルバムです。
    アナログ盤で聴くとまた違った景色が見られるんじゃないかと思うとドキドキワクワクしかないです!
    嗚呼、秋が待ち遠しい…(⁠灬⁠º⁠‿⁠º⁠灬⁠)⁠♡

  4. 内山五月 より:

    楽しみです!!
    一気にやって欲しいですね。
    個人的にはNo fearをアナログで聴きたいです。

  5. しの より:

    朗報!アナログ決定ありがとうございます。
    このアルバムを聴いていたころは、青き人生の苦悩を患っていた時期で、ボロボロの愛車サニーで1人で当てもなく乗りながら、いつも聴いていました。思い入れいっぱいです。私小説的ながらシンプルな歌詞の雰囲気が全体的にあって、それぞれの曲を頭の中にストーリーを想像しながら楽しんでいました。代表曲も好きですが「さらば子守の唄よ」「静かな生活(日記より)」って続く感じが好きです。今日は久しぶりに聴いて帰ります。楽しみにしています!

  6. ndgydg より:

    嬉しい知らせをありがとうございます。
    当時、日の当たらない四畳半で聞いていました。
    音が流れる間は自分の中に陽が昇る光景が浮かんでいました。
    楽しみにしています。

  7. ふるけん より:

    heathさんと同じく、ヒートウェイヴを初めて聴いたアルバムです。聴いた瞬間に今まで味わったことのない心地よさを感じて、なんだこれは?と思ったのを覚えてます。
    アナログ盤楽しみに待っています。

  8. コレ より:

    あの名盤をオリジナルの流れと時間で聴けないのはなんだか残念すぎます!。そのような機材でアナログレコーディングされて完成したアルバムならなおさらです。二枚組で高くなっても僕とミヤは買いますww。一曲or二曲は7″として封入するとか?!。なんて勝手なことを言ってはいけませんね。編集が上手くいくことを期待してます!。

  9. ポレポレジャスミン より:

    「陽はまた昇る」のアナログ化、おめでとうございます。
    久しぶりにCD引っ張り出して聴いてみました。
    山口さんのボーカルは、まだ若くて拙いけど(失礼)すごく温かくて何か遠い昔に置き忘れた大切なものが詰まっているようで、涙が出て胸が締めつけられました。
    過去には戻れないけど、その置き忘れた大切なものは取り戻せるのだろうか…。と思いました。

    素敵なアルバム作ってくれてありがとうございます。

    完成楽しみにしています。

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