月別アーカイブ: 2月 2013

The Eagle and the hawk / 世界と繋がること

2月3日 日曜日 曇り 朝から何だかアメリカ人がおかしい。日曜日なのに人出も少ないし、心ここにあらずって感じがする。調べてみると、今日はスーパーボウルの日らしい。彼らにとって、このイベントは紅白歌合戦みたいなものなのかもね。僕はここに来て、テレビを観ていないけれど、少なくとも僕にはまったく必要ないってことが良く分かった。夜、作曲するときに、テレビがない方がすーっと自分の心の中に入っていける。 頂上にジョン・デンバーの歌碑を見つけた。このあたりの出身らしい。記憶が正しければ、彼はドイツ系だと思うのだが、ジョン・デンバーって芸名は鳥羽一郎的なものなのかもしれないね。僕はこの歌にはぐっと来ない(デンバーさん、すいません)が、アメリカ人にとっては、ある種演歌チックな要素もあるのかもしれないね。 リフトに乗っている間、ふと考えた。僕のスキーはイタリア・デザインでオーストリア製。買ったのは(正確にはアニキが買ってきてくれた)アメリカ国内。ブーツはイタリア製。ポールはチェコ製。ヘルメットはスウェーデン・デザインの中国製。ゴーグルは多分アメリカ製。ウェアはアメリカ・デザインのヴェトナム製。手袋は二つとも中国製。インナーのCWXは唯一の日本製。 世界と繋がっているってことは、例えばこういうことじゃないかと思ったのだ。ただ安いから買うのではなく、自分がお金を使うことで、どのように経済が動いて、還流しているのか想像すること。それって、とても大事だ。 閑話休題。 かつて杉並区の住民だった頃。公園の情景を歌にしたくて、日がな一日、善福寺公園で歌を書いていたことがある。ここで、夜中に曲を書いていると、何故か日本の公園の風景が見えてくる。こんな隔絶されたこの場所で、その光景を夢想する事の方がリアルなのはとても不思議だ。 ———————————– 魂は、何ものにも 影響されることはない。 初声から最後の息まで 不変の貧しさ、不変の豊かさ、 そのままなのだ。 あらゆる饒舌、あらゆる威嚇、 あらゆる魅惑、あらゆる詭弁が、 魂の扉の前で、尻込みし、 消散し、絶対に侵入することはない。 何ものも、魂を、 貧しくすることはできず、 豊かにすることはできない、 経験も、生命も、死もまた然り。 魂はやってきた時と同じように、 去っていくのだ。 われわれに何も求めず、 われわれから何を奪うこともなく。 (L・F・セリーヌ)  

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Fear is a man’s best friend

2月2日 土曜日 晴れ 一日中、ヴァン・モリソンばかり流れているその名も「Van the man」と云うラジオ局を発見しました。ゴキゲンです。名曲、「Wavelength」を聞きながら書いています。 ——————————————————- ところで、ジョン・ケイルの「Fear is a man’s best friend」って曲、知ってますか?読んで字の如し。そのようなことが歌われております。若い頃から、この曲が好きでした。ときどき脳味噌のジュークボックスから引っ張りだしてきて、頭の中でこの歌を流します。リトマス試験紙のようなものなのです。僕にとっては。 再び独りで Bowl に行ってきました。自分の修練や経験とともに、Fearは確実に減っていきます。増えていくのは敬意と謙虚さと、何よりも歓びです。ほんとうに、素晴らしい体験でした。人には勧めませんが。 この二年間、随分逡巡してきました。立ち向かうべきは、政府や国家や電力会社ではなく、まずは自分自身で作り出した「Fear」だと思っています。でなければ、何も始まらない。そのような人間で居たいし、そこから音楽を鳴らしたいと思います。 ——————————————————- 閑話休題。 スペイン語しか話せない、おそらく5歳くらいのガキんちょと、二人きりでリフトに乗りました。こちらは日本語と博多弁、そして壊れた英語しか話せない。目的地に辿りつくまで、奴の年齢も名前も何処から来たのかも(たぶん、アルゼンチンだと思うけど)分からなかったけれど、何だか妙に通じるものがある。途中から英語を諦めて、スペイン語と博多弁の会話。まったくかみ合ってないけど、かみ合ってる。「男同士だぜ」、覚えてくれて、ありがと。愉しかったっす。

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Beautiful day

2月1日 金曜日 晴れ 美しい一日。 僕が勝手に「神の領域」だと思っている場所がオープンした。久しぶりに散歩に連れていってもらったイヌみたいな気持ちでピークに行った。残念ながら、山頂付近は風が強くて、雪が吹き飛ばされ、例年に比べると神々しくはなかったけれど、嬉しかった。どうして、こんな木も生えないような場所が好きなんだろう? 砂漠だったり、絶壁の岬だったり、地の果てのような場所に立っていると、身体が震える。きっと、隔絶されて、自分の小ささを教えてくれるから、ほっとするんだと思う。僕は人間が嫌いで、好きだ。一番恐れているものは、人の口だ。 こんな風景の中に居ると、音楽も言葉も、何も必要ない。ただ存在させてもらっていることが嬉しい。自然は偉大だ。僕も内包している宇宙をもっと大きなものにしたい。 ほんとうに美しい一日だった。心の洗濯。さ、帰って洗濯しなきゃ、明日着るものがない。  

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油断禁物

1月31日 木曜日 雪 濃厚な日々を過ごしているせいか、時間が経過するのが「遅い」のです。初めての感覚です。いつだって、あっと云う間に時は過ぎていくけれど、今回ばかりはここに数ヶ月滞在している気がします。いったい、心や身体の中で、どんな変化が起きているのか、良く分かりません。 修練は積んだと判断したので、今日から、一番難しいエリアに入らせてもらうことにしました。崖、岩、巨大コブ、木々、パウダー、氷、エトセトラ。自然のままなので、何でもアリです。 午前中から崖に行って、慣れて、少しの慢心があったことは否めません。とある崖で岩の隅に追いつめられました。急斜面で戻ることもできず、その場であらゆるルートを考えたけれど、どう考えても、ここから飛ぶしかない。根性入れて飛びましたが、着地に失敗。そのまま滑落。幸い殆ど無傷で済みましたが、ただラッキーだっただけだと思います。気をつけます。元プロ・スキーヤーの友人が「怪我と弁当は自分持ち」と云う古い言葉を教えてくれました。いつも心に刻んでいます。 ところで、岩の上でずっと考えている僕を、遠くから見守ってくれている人が居ました。ここは入った以上、自分の責任なのです。彼は僕が下りてくるまで、立ち去りませんでした。初めて会った人だけれど、仲間の思いやりに心が熱くなりました。 ほんとうに、毎日学ぶことがたくさんあります。自分で諦めてしまわない限り、人間に伸びしろは残されていると思います。それだけは確かです。この日々が直接音楽に結びつくとは思いません。でも、人間として僕が求めていたことに近づいている気はしています。 さぁ、晩飯を喰って、音楽に向かいます。 追伸 今日、ぐっと来た言葉。「根本的な才能とは、自分にそれが出来ると信じることだ」。ジョン・レノン  

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