day #021 Beautiful Powder Days

2月2日 火曜日 雪

3日に渡る大雪警報は去った。新しく積もった1メートルあまりの雪とともに、3日間であらゆるパウダーの局面を経験させてもらった。ときに天上人になったようで、ときに(ときに、じゃないな、何度も)見えない地形に吹っ飛ばされ、ときにエクストリームのバックカントリーで、パウダーに埋まったまま一生抜け出せないかもという恐怖を味わった。単独行はリスクがデカい。スーパー愉しく、そして怖かった。でも、充実感と極度の疲労と空腹。部屋とYシャツと私じゃなくて。笑。

「あそこで骨なんか折って、雪に埋まった日にゃ、一晩で凍死して、発見されるのは春だな、あはは」みたいな。まったく「あはは」じゃないよ。人間の手が入っていない自然のままの森では何でもあり得る。見えないけど岩はあちこちにあるし、ひっかかったらTHE END。でも、意を決して、スピードを出して進まないと、スタックして自分を掘り起こす目に遭う。掘り起こすのは相当なエネルギーを消耗する。ちょいとコントロールを間違えたら、木に激突したり、滑落したり、骨の一本は覚悟しなきゃならん。骨を折るってことは、森から戻れない可能性があるってことで、スキーパトロールも発見してくれないかもってことで、すべてはオウンリスクにて、上記の如く、それは死を意味したりもするのだった。

で、「細心の注意を払ってんですよ」とのたもうたなら、マスターが何と云ったか。「ダメだね、考えちゃ。脳で進んじゃダメだ。自由になったら、筋肉が勝手に反応するから、道が見えてくるから」。目が覚めたね。120%考えてたもんね。次のラインをどう進めばいいのか。確かに反応は遅れる。

音楽もまるで同じ。考えたら反応できない。昔、KILAのローナンがステージで僕にこう云った。「ヒロシ、考えるな、感じるんだ」。そのとき、奴らはオレの知らない曲をおっぱじめていた。あの瞬間から僕は変わった。知らない曲を演奏しているときほど、冷静で、それでいてコーフンしていることはない。それと同じ。もう一言云うなら、LIFEも同じかもね。スポンテニアスに生きるってことはね。

誤解しないで欲しいんだけど、僕は危険なことを勧めてるわけじゃない。誰にも勧めない。でもね、その向こうにはきっと何かがある。自由もある。あるんだよ、きっと。だから、焦がれるんだろうね。オレにはまだ分からないことだらけだけどね。音楽だけじゃ見えない世界が確かにあるんだよ。そんな訳で、写真なんか撮れる訳がなく。余裕もないし。てか、写らない。ここまで来ると。

更にマスターは語る。「これだけパウダーがあるならBOWLは最高だよ。上から下まであの角度でも、直滑降で行ける。ただし、コケたら肩の一本は折れるけどね」。嗚呼。まったく。

清原 ! オレと一緒に、山でスノーボードしよう。煩悩は分からないけど、たいせつなものは見えてくると思うな。

普段の部屋からのview。

それがこうなって。

こうなった。

ワンダフルな3日間だった。

素晴らしかったよ。いろんな意味で。

これは埋まってんじゃないよ。休んでるだけ。

今日は特集、木。

森林限界、ギリギリのとこなんだ。

逞しいし、凛々しいよ

彼らは

 

運命を受け入れてるその姿もね。

 

 

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day #021 Beautiful Powder Days への3件のコメント

  1. 桃子 より:

    私がデヴィッド・ボウイを聴いていた頃の曲はあまり好きではなくて、そのうち聴かなくなったけど、ずっと存在感が薄れないのは不思議。何故か今でも「Under Pressure」がもの凄く好き。ふたりともいなくなってしまった。洋さんがベルリンの壁崩壊を思い浮かべたと思われる作品の1作「HEROES」と新譜からまた聴いてみます。モーガンのトリビュートも聴きたい。素敵な参加者たち!
    ムツゴロウさんの事故は今なら放送は無理でしょうけれど、当時テレビで見ました。だからイメージは王国と指先の人でしたが、インタビュー衝撃的!人間も動物も環境で優劣を付けず、ひたむきな生命を愛する人ですね。エロさは洋さんの課題(笑)!雪に埋まって深刻な状況になったらエロパワーで脱出試みて下さい。きっと帰れるから大丈夫。パウダー楽しんで。
    追悼良かったです。異国のラジオもDJの心を映しているよう。今月もありがとうございました。全曲視聴出来ましたよ。白飯・お味噌汁の国の桃子より(虚栄FBへのリンクに抗うためこちらにコメントしました)

  2. PL顆粒 より:

    残念でSHOW

  3. スズキコウイチ より:

    僕はバイクを20年以上、乗ってました。ただ、運が良かっただけで死んでいてもおかしくない場合に何度か遭遇したこともあります。だから、なんとなく山口さんの感覚が分かるような気がするのです。なんのリスクもない遊びはつまらない、リスクがあるから遊びは楽しいとも言えます(山口さんの場合、遊びとはまた違うのかもですが)。
    バイクも一緒です、体が自然に反応する感じ。でも、それと同時に自己との対話もしている。相反することを同時に行なうみたいな。
    ソロツーリングがメインでツーリングを楽しんでいたのですが、他のバイク乗りに、こう言われたことがあります、一人で走って何が楽しいの?群れてしか遊べないのなら、車でいいじゃん、バイクの必然あるの?とこちらが言いたい気分でした。
    カヌーで川下りをしながらエッセイを書いている、カヌーイストの野田知佑さんが本の中でこう言っていました。孤独が寂しいと思いこむのは間違いだ、一人なら何をしても自由だ、一人で川を下っているとき自分が物語りの主人公になれると。20代の時、野田さんの考え方に多大な影響を受けたせいで協調性に難ありになってしまいました。山口さんも今、物語りの主人公になっているのかもしれませんね。

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