日別アーカイブ: 2023年11月27日

グレイブヤード

11月27日 月曜日 晴れ 思いたって、その昔世話になった人物の墓参りに。 この生業、親の死に目とか、誰かの葬儀とか、立ち会えないのがあたりまえ。でも、時間をあらためて、誰にも告げず一人でバイクででかけるのも、それはそれで悪くない。 小高い丘の上にその人(たち)は眠っていて。空と風を感じながら、いろんな会話をした。だから、その場所を教えてくれた人だけに「いい時間でした」って連絡した。 生前にモニュメントは建立されていて、そんな周到なことをする人物には見えなかったから、驚いた。 人間たるもの、明日生きている保証なんてどこにもないわけで、オレが明日死んだらいろんな人の手を煩わせるんだってことを、彼らに教えられた次第。 それは良くないなぁ。 決してネガティヴな話じゃなくて、オレが今死んだら、先祖のみなさんを全員無縁仏にしてしまうわけで、、、。父親が死んだとき、残されたアンビリーバブルな量の学術書、、、。意味がわからないオレにはタダのゴミ。母親が死んだとき、残されたきらびやかな洋服の数々、、、。オレが着たらタダのヘンタイ。同じように、楽器だ機材だ本だCDだ、、、。嗚呼。 気高かった祖母は、死んだとき箪笥の中に白装束一枚しかなかったって。それ、どえらい覚悟だよね。確かにそんな人だった。 そういうこと、考えた上で独立して生きていかなきゃ、と。 彼らもきっと、今日のオレと同じ想いに至って、建立したんだろう、と。空を見ながら思った次第。 で、墓は必要なのか?と考えたときに。自分自身はまったく必要だと思っていなくて。人の記憶から消えてしまったときが本当の死なのだ、と。自分の両親のこと振り返っても思う。 そう考えると。誰かが自分が書いた歌を歌い継いでくれる、とか。それは願って叶うことではないけれど、詠み人知らずになったとしても、その歌を誰かが口づさんでくれていたなら、そこに命は宿るわけで。オレはそこを目指すのがいい。 歌人たるもの、いい歌をできるだけ書き遺すことが使命だと思い至ったなら、晩年の故人はそれを伝えることをやっていた人だから、今日の墓参りも思し召しだったのね、と苦笑しながら理解した次第。さすがのプロデューサーなのだった。 安らかに。

カテゴリー: 未分類 | 1件のコメント