人生最後の楽器車旅

5月9日 木曜日 晴れ x

 コが多少マシになって、音楽業界は活況というのか、失ったものを取り戻してるというか、みんな生きるのに必死というか(その全部かも)。会場が取れない、ホテルが取れないのはまだいいとして、ローディー(という呼び方は彼らに失礼なので。正確には僕についてくれる人の場合はギター・テクニシャン、略して「テック」)チーム、引く手あまたで、彼らのスケジュールを確保するのが大変なことになっております。

 一度うちのテックの手帳を見たことがあるんだけど、「あんた!アイドル歌手か!」みたいな。笑。

 バンドも高齢化も止まらない中、テックの高齢化も止まらないのですが、外せない仕事でHWに来れないときはテック仲間の誰かが融通してきてくれるのです。近くで現場がある人は終わって手伝いに来てくれたりね。ほんとにテックに愛されてるバンドだなぁ、といつも感激しておるのです。

 この機会に彼らの仕事をお伝えしておくと、古い楽器のメンテナンス、新しい楽器の紹介、おおよそ楽器に関することはなんでもやってくれます。どえらいスペシャリストです。先日もオーストラリアのギターが気になってたんだけど、楽器店に連絡してくれ、試奏の手筈を整えてくれたりします。

 もうひとつ言うなら、うちのバンド、全員が違いの生音を聞いて反応しているので、ステージがどんな大きさであれ、絶妙な距離ってもんがあるんです。普通は見栄えを優先して、デカいステージだとメンバーは離れるんですが、うちの場合、それよりもメンバーの生音を認識できることを優先します。たとえ東京ドームでも(実話)。

 それゆえ、その「黄金の距離感」を実測した黒カーペットがありまして、それに各楽器の置き場所が記されておるのです。その黒カーペットをステージに敷いたなら、設置が素早く行われるわけです。すごいでしょ?

 あとはね。楽器車への積み込みなんて神業っす。僕らは「あっちに行っててください」って触らせてくれません。笑。

 で、今回何が伝えたいかと言うと。

 土曜日の磔磔の周年公演。土曜日ってこともあって、ついにテックが見つからない(本番はひとりいるけど)という緊急事態。HWには2人必要なんです。どうしても。しかも、トランポ(楽器車運搬)はマネージャーしかいないという。

 わたくすも若い頃は楽器車に乗って日本中旅しました。でも、20代で卒業したんです。1ナンバーのワゴンの2列目のシートなんてくつろげたもんじゃないんです。おまけに背後に積まれた楽器の山。アンプとアンプの間にひとり眠れるスペースを確保してツアーしてましたが、よく事故らなかったなぁ、と。単にラッキーだっただけです。

 わたくす。運転得意なんです。自動車教習所の教官もやってたし、トラックにも乗ってました。

 なので、今回、「人生最後の楽器車移動の旅」をすることにしました。せっかくなのでインスタのストーリーズで中継します。明日(5/10)の昼前からマネージャー氏と移動を開始、夕方には到着予定。ライヴが終わったら、打ち上がるメンバーを残して、我々は深夜の高速を走ります。

 普段見ることができない世界だと思うんで、愉しんでください。

 てか、京都磔磔の50周年、祝いに来てください!

 HW SESSIONS、通常のツアーとはまるで違います。

 ぜんぜん話は変わるけど、オレが愛するブコウスキーのこと書いてくれた人がいたから。

 ショーン・ペンの監督第二作「クロッシング・ガード」のラストシーン。LAを見渡す丘の上にあるブコウスキーの墓が映し出されるのです。そこに監督のコメント。「あなたがいなくなって寂しい」。

 わたくす涙腺決壊。

 この愛の深さをどう伝えたらいいのかな。オレの生き方を認めてもらったような、間違ってないと言われたような。オレもこんな風に人を励ましたいと思ったというか。生涯裏通りをまっすぐ歩こうと思ったというか。

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人生最後の楽器車旅 への4件のコメント

  1. りゅういち(59) より:

    九州アイランドから、ぶっ飛んで行きます。昨年末の麗蘭以来の磔磔。なんたって「HW SESSIONS、通常のツアーとはまるで違います。」って、凄いワクワク。最高なバンドをたっぷり味わいたいと思いますけん、よろすくです。

  2. fujiiku より:

    「人生最後の楽器車移動の旅」のインスタ楽しみにしています!

    ギターテックさんの仕事など教えてくださりありがとうございます。こういう事もっと知りたいです。チームHWの仕事にはいつも感謝しております。先日のサムズ テックさん達の側でしたのでテックさん達の仕事ぶりに本当に感嘆しました。

    お二人でチューニングの確認など(決して盗み聞きしたわけではありません)耳にし本当にすごいなと思いました。私知人のバンドのローディー(私の仕事ぶりはテックでなくローディーでした)してた事あるので 大変さは少しは理解しているつもりです。(1曲目でギターのチューニングが正しかった時の安堵感などいまでも時々思いだします。)

    ブコウスキー繋がりで先日やっとジョン・ファンテ の「塵に訊け」読む事できました。

    プレイリスト 本とは関係ないかも知れませんがネオアコ/ニューウェイブ編など作成いただきたく思います。ストーンズ編聞きながらの投稿です。ありがとうございます!

  3. Masako より:

    眼の方は大丈夫でしょうか?今日、運転免許証の更新に行って、視力検査しまして、ふと思いました。道中、お気をつけて。今朝は渋滞30分、車の運転はとても疲れました。さすがに深夜は渋滞はないと思いますが…。
    磔磔、楽しみにしています。

  4. 新井太 より:

    楽しみにしてます。
    くれぐれも腰には気を付けて下さいね。

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