Recording day #033

7月13日 水曜日 曇り

生きている間にやろうと、随分前から思っているのに、何がしかのきっかけがなければ、できないこと。そういうことをひとつづつやっていけばいいのかなぁ、と眠れない夜に。いろんなこと、朝まで考えたけれど、とうぜん応えなんかあるはずもなく。でも、そういうことがまた新しい出会いをもたらしてくれる気はする。

50代のto doリストは40代のそれとは異なる。

たとえば、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」。いつか読もうと思って、もう25年は経過したな。山の家に母親の形見として全巻持っていたから、いつかと思っていたら被災してダメになってしまった。

だから、さっき全巻買った。そうとう影響を受けるのか、途中で頓挫するのか、どちらでもいいけど、愉しみにしてる。

いろんな人が「凡骨の歌」を好きだと云ってくれて、嬉しい。今更ながら、逃げずに作って良かった。でも本人は未だに一度も聞き返したことがない。まだあの日々に向き合う勇気なし。笑。

フラッシュバック。

雪が降る日、河口湖のスタジオで「親父」って歌を一人でブースに入って歌ってた。あまりにオレがナーバスになってたので、アシスタントのM君がスタジオの中庭に雪かきをしてミステリーサークルを作ってくれた。なんだかなぁ。いろんな想いが急にこみ上げてきて、訳が分からなくなって、でもとにかく歌い終えて、コントロールルームに戻ったら、誰も目を合わせてくれない。いったいどうしたんだ?と思ったら、ディレクターもエンジニアもアシスタントもみんな泣いてた。ヒドくバツが悪かったけど、表現することにもっと真剣に向き合わなきゃだめだと。経験と誰かの思いやりがオレを育ててくれたことは間違いないよ。

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Recording day #033 への5件のコメント

  1. ゆか より:

    CDで聴いて私も泣きました。

    ライジング楽しみにしています!

  2. tsugoo より:

    アニキ!

    東区の星!

    LIFEってのは、各もアイロニック。

  3. taro より:

    わたしも20の時に父を喪いましたので、それ以来、「親父」は特別な歌として聞かせてもらってきました。

    数年前、自分の結婚式の2次会で友人が間違えながらも、この歌を弾き語ってくれたのを今、想い出しました。人が過去にしてくれたことを忘れてはいけないと思いました。

    人はどうであれ、他者に対する敬意を持って生活していきたいです。お会いする度に伝えていますが、山口さん、いつもありがとうございます。

  4. saw より:

    音楽雑誌なんかの創作秘話みたいのにはあまり興味がなく、ただ音楽とライヴにやられて聴き続けていまに至るのですが、
    このように山口さんの(音楽的)日々が綴られそれを読み慣らさせていただき、
    いま凡骨の歌の話をこうやってご本人から聴ける(読ませていただける)とは、
    (長く(といってたかだか45年ですが))生きてるってフシギ。
    思い出、聴かせていただいて、ありがとうございますm(_ _)m

  5. フラニー より:

    アルバムのお話、聞けてとっても嬉しいです。ありがとうございます。
    『凡骨の歌』、うまく言えないんですけど、「誰のことも見捨てない」音の波をすごくすごく感じます。

    昨日本屋さんで立ち読みをしていて、横尾忠則、スーザン・ソンタグで、(勝手に)山口さんに頭の中で話しかけました♪ 外国音楽雑誌でニール・ヤングが表紙のやつをパラパラッと捲っていたら見開きでカッコイイミュージシャンの写真があって「誰かなぁ?」とクレジットを見たらジェフ・ベックで、「あっ、山口さんのDIARYに最近出てた!」と思って、なんか当たりクジを引いた気分になりました(ジェフ・ベックの顔も知らなくてお恥ずかしいんですが…)。

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