伝えたかったこと

9月26日 火曜日 曇り 

 仙台港から苫小牧に向かう船に乗っています。自分でも呆れるくらい死んだように寝ていました。でも、もう大丈夫です。笑。

 山形でライヴを終えて、みんなで飲んでいたとき、僕らの稲刈りがいかにガサツだったかってことを知り、志願して再度、田んぼに散らばっていたたくさんの稲穂を拾わせてもらいました。ミレーの絵みたいに。こうやって関わってみると、米粒のひとつたりとも無駄にしたくないって気持ちになります。

 伝えたかったことは。

 本来、お金をいただいてやっているライヴを無料でyoutubeで中継するってことは良くないと思っています。でも、どうしてそれをやったかというと。伝えたいことがあったからです。

 福島から避難せざるをえなかった人たちも、酒蔵を津波で失くしてしまった人たちも、それを受け入れて支えた人たちも。とてつもない経験をされているわけです。想像を絶するくらい。

 その上で、彼らは笑いを忘れることなく、前を向いて、支えあって生きている。そこにこの混迷の時代を生き抜くヒントが溢れていると思ったからです。岸田某が光のない目から放つ言葉にこころ動かされますか?少なくとも僕には1ミリも届かないです。

 酒や音楽は第一義的に生きていくことには必要がないものかもしれない。でも、人生を豊かにするためには不可欠。それがどうやって作られているのか。酒を作る人が音楽を愉しみ、音楽を作る人が酒を飲むとき。

 そこに豊かなスピリットと限りない情熱が溢れているのを感じます。

 僕は町の人(山と自然のスペシャリスト)から稲穂の話、ツキノワグマの話。たくさん聞きました。もっともっと聞いていたかった。

 山歩きをする人たちがスペシャリストにクマの話を聞くとき、二種類の人たちがいると。「クマ、出ますか?」と「クマ、いますか?」。これはまったく異なる文脈なのです。前者はあくまで自分中心。後者はクマがいるところにお邪魔させてもらっている、という考え。

 わずかな時間でしたが、稲に教えてもらっているうちに、こころの中には「クマ、いますか?」という考えが広がっていきます。あたりまえです。ニンゲンがえらいなんて、勘違いにもほどがある。

 報道を見てください。民家のエリアにクマが出たなら、一大事になる。その問題の本質はどこにあるのか?

 そういうことをブレイクスルーしたいって気持ちもありました。だから、仲間たちで力を合わせて配信しました。配信を担当した4人の若者は学生で起業し、社長は21歳。スタッフにはティーンが2人いて、彼らとは酒を飲めませんでした。笑。

 僕はマネージャーを連れていきません。むき身のエビみたいなもんです。でも、そうすることで仕事は増えるけど、余計なフィルターがひとつなくなるのです。「クマ、いますか?」に少しでも近づきたい。守られるとニンゲンは「クマ、出ますか?」って言うんだと思うのです。

 感受性の問題です。感受性を年齢のせいにしてるのが嫌いです。人のこころはいくつになってもみずみずしくいることができる。

 都合1700人の人が見てくれたそうです。正直、反応が少なくてがっかりはしています。でも、期待してはいけない。大事なのは結果ではなくプロセスなのだから。あの若者たちが緊張の中、ライヴを初めて体験したように、次に繋がるなにかが伝わっていたら嬉しいです。

 町の人たちにも、僕にも。よかったら感想を聞かせてください。それが励みになるのです。

 日々、全力。当たり前か。

 これから北海道の旅は天気と相談しながら進むことになりそうです。旅程はなにも決めていません。決められないのです。でも、それが旅かな、と。ライヴをやることだけは決まっているので、そこには何があってもたどり着きます。

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伝えたかったこと への10件のコメント

  1. タカ より:

    ツアーに家族で参加しました。

    山口さんが山形と縁して以来、自分自身が初めて山形に足を踏み入れるなら山口さんのライブがきっかけになるのではないか?というぼんやりした夢が現実となりました。

    山形は父の故郷なのです。

    数年前に母が亡くなり、離れて暮らしていた父と連絡するようになり再び付き合いが始まりました。適切な表現かわかりませんが順番が違ってたら話すこと無く終わっていたと思うと巡り合わせが何だか感慨深いのです。

    その日以来、父の日には鈴木酒造の日本酒「甦る」を贈るようになりました。

    それでも山形行きは遠いような気がしていました。

    流れが変わったのは「結婚記念日に温泉でもいかない?」という妻からの提案でした。探してもなかなか良いと思えるものが見つからないまま時は過ぎ、今回のツアーと出会うことになります。偶然にも十数年前の結婚式の次の日がHEATWAVEのLIVEだったという偶然の一致が決め手でした。

    山形は遠い場所でした。どこか避けていたところもありました。父との空白の時間がある分、不安でした。しかし観光局の方との親切で丁寧なやり取りや、現地での長井の方の温かさ、山口さんの存在、ツアー参加のみなさんの優しさと楽しさで、山形がどんどん良い印象となっていきました。遠くしていたのは自分自身だと気付きました。

    初めての稲刈り。稲を刈る姿が、クラッシュの「ロンドン・コーリング」のジャケ姿に見えてひとり勝手に痺れていました。

    そして稲刈り以来、ご飯茶碗を持つ度に「あの束、5本分だな」と唱え、感謝しながら食べるようになりました。長井の青空と皆さんの笑顔も浮かんできます。収穫作業としては手間をかけただけだと知り申し訳なく思います。しかし、本来人間はこうして作物を育て生きてきたという尊さを肌で感じることができました。

    長井での出会いの中で「旅は、人に会うことだよ」という会話をしました。この2日間が濃厚であったこそ染み込んだ言葉でした。山形と同時に福島も近くなりました。大切な出会いでした。

    実はツアー中に父に連絡をしました。子供が稲刈りをしている画像を添えて。返事は「ジィは稲刈り上手だよ」というものでした。遺伝子レベルでルーツを考えた瞬間でもありました。
    来年父に送る日本酒「甦る」は自分たちが収穫したお米から作られると思うと、とても嬉しいのです。我々の父と子関係も甦るのだと思います。

    ライブが終わって、長井フラワー号を待つ帰りの駅で息子が「なんだか、叫びたくなっちゃったな」と、日が暮れていく広大な田んぼめがけて「ありがとーーーっ」と叫んでいました。それは山口さん、長井の人々、そしてツアー参加の方々が優しく接してくれたことへの満たされた気持ちの表れだったと思います。
    騒がしく、ご迷惑もおかけしたと思います。この場をかりてお礼申し上げます。ありがとうございました。みなさんのおかげでまたひとつ大きくなれた気がします。(稲刈り中、新聞に取材されて掲載されたこと喜んでいました)
    息子はもうすぐ10歳。お酒が呑めるまであと10年。その時はみなさん長井で、夜汽車で(笑)、乾杯してやって下さい。どうぞ、お元気で。

    山口さん、いつまでも歌い続けて下さいね。応援し続けます。

    それでは、北海道への道中お気をつけ下さい。

  2. nagae katsumi より:

    有難うございました。現地で初めて山口さんを目撃しました。1曲目から涙が流れ、内心動揺しました。フラワー鉄道の帰りの車窓、あまりにも美しく、また瞼が熱くなりそうでした。

  3. 鳩さぶろう より:

    長井からの情熱いっぱいのライブyoutube配信ありがとうございました!!

    村田孝さんの詩、、ギターを弾く洋さんの表情と演奏
    会場の掛け声、これぞライブ、素晴らしくて胸に響きました。

    旅は、人に出会うことだよ。
    鼻水啜ってかみしめます。
    たくさん伝わりました!ありがとうございました!!
    上手く言えないし、上手く生きれないけど
    自分のエネルギー信じて歩いていきたいって、
    そんな風が吹いてきました。

    花笠音頭の和紙の歌詞カード、、手にしてみたい。
    色んなプロセスを見せてくださってありがたいです。
    ライブで聴かせてください。楽しみにしています!!

  4. 青空 より:

    YouTube中継、本当にありがとうございました!
    目の前にある一瞬を共有させてもらえた事に感謝です。
    沢山の人達の情熱が溢れている長井の地で
    お酒と音楽が溶け込んだ
    12年目のMY LIFE IS MY MESSAGE。
    自分はこれから何をすべきかを、深く考えさせられました。

    「花笠音頭」は、小学生の頃、運動会で踊った記憶があり
    とても懐かしかったです。
    洋さんの無茶ぶりにも、真摯に向き合い歌詞を考え
    ライブでは、素晴らしい歌も披露してくれた
    村田さんにも感謝です。
    頂いた感動は、必ず何かのかたちで
    お返しさせて頂きます。

    洋さんも大変お疲れ様でした。
    これからの道中、気を付けて進んで下さい。
    ブログを読んで
    「クマいますか?」と、自然に言えるよう
    日々精進して、生きて行こうと思いました。
    ありがとうございました!

  5. taka より:

    全く話しは違うのですが、アイルランドでの人種差別の悲しいニュースがありましたね。
    山口さんを通じて好きになったアイルランドが、こんなことで話題になってしまったのが悲しいです。

  6. fujiiku より:

    遅ればせながらYouTube中継ありがとうございました。熱い思いはしっかり伝わってきました。僅かながらですが日本酒壽 ネットで注文いたしました。こちらも楽しみです。東北の出身で高校時代は下校時「熊に注意」などの連絡があったり高校のプールでかもしかが泳いだりするような環境で育ち自然と共存できているつもりでしたが知らないうちに私も「クマ、出ますか?」の考え方になっていたようです。とても心に響きました。
    あと本日12月のライブの当選のお知らせが届きました。物凄く楽しみにしています。
    お体に気をつけて旅してください。インスタはいつも楽しみにしています。ありがとうございます。

  7. autabi より:

    こんばんは!
    昨年の3.11ツアーよりファンを名乗っております。あうたびです。一年半の間に色々な曲を拝聴して、嫁さんも口ずさんでおります。
    今回も連夜のセントラルエクスタシーからの夜汽車。贅沢な時間。この街には、恐らくこの2軒しかお店がないのか?と錯覚。笑

    自分はふらふらと子供の頃から生きて来ました。ポリシーが無いことがポリシー?でした。今も。
    今回も短い時間でしたが、ご一緒させていただき「かっこいいー!」と目が覚めました。
    結果を気にしないで、プロセスを大切に生きて行こうと思います。勉強します。
    ヒロシさんと出会えて、色々と気付かせていただきました。また、夜汽車でご一緒させて下さい!
    ライブサイコーでした!ありがとうございました。
    もう少し少し痩せます。

  8. チャロ より:

    ライブ当日早目に会場に着いたのでぶらぶら歩いていたら、バイクから降り立つ人がいて、まさかと思いながら人の去ったバイクに近づいてみると、なんと~まさかのハーレー!!!、ピッカピカに磨きこまれた山口洋さんのハーレー!!!ずっとずっと生で見たいと思っていた憧れのバイク。まじまじと眺め回したら感動でいっぱいになって、もうこれで帰ってもいいな、と思ったほどでした。帰らなくて本当に良かった!!!

  9. yamaki より:

    配信観たかったんですよ。
    リアルタイムが共用出来ない状況。
    有料アーカイブって出来ないんですかね。
    web無知ですみません。

    • 鹿さん より:

      Yamakiさん、YouTubeでまだ観られますよ。
      山口さんのブログ 9月24日の文章最後にあります「ここのURLからどうぞ。」をポチッとしてみてください。観られるといいにゃあ。

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