日別アーカイブ: 2024年5月9日

人生最後の楽器車旅

5月9日 木曜日 晴れ x  コが多少マシになって、音楽業界は活況というのか、失ったものを取り戻してるというか、みんな生きるのに必死というか(その全部かも)。会場が取れない、ホテルが取れないのはまだいいとして、ローディー(という呼び方は彼らに失礼なので。正確には僕についてくれる人の場合はギター・テクニシャン、略して「テック」)チーム、引く手あまたで、彼らのスケジュールを確保するのが大変なことになっております。  一度うちのテックの手帳を見たことがあるんだけど、「あんた!アイドル歌手か!」みたいな。笑。  バンドも高齢化も止まらない中、テックの高齢化も止まらないのですが、外せない仕事でHWに来れないときはテック仲間の誰かが融通してきてくれるのです。近くで現場がある人は終わって手伝いに来てくれたりね。ほんとにテックに愛されてるバンドだなぁ、といつも感激しておるのです。  この機会に彼らの仕事をお伝えしておくと、古い楽器のメンテナンス、新しい楽器の紹介、おおよそ楽器に関することはなんでもやってくれます。どえらいスペシャリストです。先日もオーストラリアのギターが気になってたんだけど、楽器店に連絡してくれ、試奏の手筈を整えてくれたりします。  もうひとつ言うなら、うちのバンド、全員が違いの生音を聞いて反応しているので、ステージがどんな大きさであれ、絶妙な距離ってもんがあるんです。普通は見栄えを優先して、デカいステージだとメンバーは離れるんですが、うちの場合、それよりもメンバーの生音を認識できることを優先します。たとえ東京ドームでも(実話)。  それゆえ、その「黄金の距離感」を実測した黒カーペットがありまして、それに各楽器の置き場所が記されておるのです。その黒カーペットをステージに敷いたなら、設置が素早く行われるわけです。すごいでしょ?  あとはね。楽器車への積み込みなんて神業っす。僕らは「あっちに行っててください」って触らせてくれません。笑。  で、今回何が伝えたいかと言うと。  土曜日の磔磔の周年公演。土曜日ってこともあって、ついにテックが見つからない(本番はひとりいるけど)という緊急事態。HWには2人必要なんです。どうしても。しかも、トランポ(楽器車運搬)はマネージャーしかいないという。  わたくすも若い頃は楽器車に乗って日本中旅しました。でも、20代で卒業したんです。1ナンバーのワゴンの2列目のシートなんてくつろげたもんじゃないんです。おまけに背後に積まれた楽器の山。アンプとアンプの間にひとり眠れるスペースを確保してツアーしてましたが、よく事故らなかったなぁ、と。単にラッキーだっただけです。  わたくす。運転得意なんです。自動車教習所の教官もやってたし、トラックにも乗ってました。  なので、今回、「人生最後の楽器車移動の旅」をすることにしました。せっかくなのでインスタのストーリーズで中継します。明日(5/10)の昼前からマネージャー氏と移動を開始、夕方には到着予定。ライヴが終わったら、打ち上がるメンバーを残して、我々は深夜の高速を走ります。  普段見ることができない世界だと思うんで、愉しんでください。  てか、京都磔磔の50周年、祝いに来てください!  HW SESSIONS、通常のツアーとはまるで違います。  ぜんぜん話は変わるけど、オレが愛するブコウスキーのこと書いてくれた人がいたから。  ショーン・ペンの監督第二作「クロッシング・ガード」のラストシーン。LAを見渡す丘の上にあるブコウスキーの墓が映し出されるのです。そこに監督のコメント。「あなたがいなくなって寂しい」。  わたくす涙腺決壊。  この愛の深さをどう伝えたらいいのかな。オレの生き方を認めてもらったような、間違ってないと言われたような。オレもこんな風に人を励ましたいと思ったというか。生涯裏通りをまっすぐ歩こうと思ったというか。

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