迷宮

9月24日 月曜日 雨 

 突然、知らない街に引っ越したくなる衝動に駆られる。たぶん、何処に行っても何かが劇的に変わる訳じゃないし、現実として、それは可能なのだけれど、引っ越しにまつわる煩雑さを思うと吐きそうになるので、それが僕を引き止めているだけのことで。いつでも何処にでも行けるように、シンプルに暮らそうとは思う。モノは出来るだけ捨ててしまおう。流されるのは嫌だけど、流れてはいたい。自分の意志で。信号がなくて、往復20キロ走って帰ってこられる環境さえあれば、何処でも生きていけるはずだ。この国じゃなくても。雪山ならなおいい。

 若い頃はこの齢にもなれば、ヴィジョンはしっかりと定まって、確かに死に向かって一歩づつポジティヴに進んでいくものだと勘違いしていた。実際のところは、いつまでたっても迷宮の中で翻弄されていて、タチが悪いのは、そいつは巨大かつ複雑になっていくだけで、進んでるのか、後退してるのか、上がってんだか、下がってんだが、自分でもよう分からぬところにある。フィジカルに目眩がする。残念ながら。

 たぶん、生きてる間はそうなんだろうね。「達観」なんて言葉とは無縁。目の前に道があったためしがないし、本能が「行け!」と命令するのはいつだって、同じ壁でも険しい方だ。道じゃないよ、崖だよ。良くて「薮」だよ。面倒くさい。でも、最悪なことに、そのとき確かに生きてる感じはする。

 才人は才能によってつまづき、聡明な人は自分の馬鹿に気づかない。その通りだね。迷宮を生きるのに、不要なものはFEARだと、あらためて。

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