日別アーカイブ: 2019年9月7日

善きことのために、Running on empty、根津にて。

9月6日 金曜日 曇り 長谷川博一さんを偲ぶ会。彼が愛した根津で行われる。 僕とて両親を含め、たくさんの命を見送ってきたはずなのに、彼の不在の意味が未だに理解できていない。今だって「どうですか?元気ですか?久しぶりに飲みませんか?」みたいなメールが来そうな気がする。 だから、敢えて車ででかけ、飲まないことにした。なんだか、酒でいろんなことをうやむやにしたくなかったから。 その前に、旧知の古本屋さんに立ち寄って、彼の「イズム」みたいなものを受け継ぐことをともだちと考える。僕はどっちかというと、そういうことを考えるタイプではないけれど、しっかりと半年分のプロットが頭の中に出来上がっている。これも「彼」がもたらしてくれたこと。遺志と呼ぶには大げさだけど、少なくとも仲間3人のこころの中にはほぼ同時に芽生えたこと。その古本屋さんはとある理由で移転を余儀なくされたのだけれど、新しい店舗はメインストリートから一本入ったところにあるいい感じのバックストリートにあって、もう、なんというか、素晴らしすぎて言葉がなかった。ここから、発信すること。 この話はまた追って。   結局ところ「彼」は多くの人を繋いでいた。その光景をシラフのまま見つめた。奥さんの挨拶があまりに素晴しかったから、彼が書き遺したものを、失礼だと思いながら、写真に撮らせてもらった。ひとことも忘れたくなかった。   善きことのために。   彼の字で綴られていたことは、すべて善きことのためだった。 古本屋店主と僕は言葉を失くして、しんみりとする。そして、彼が綴ったことは、そのまま僕らが彼を愛する理由でもあった。たくさん喧嘩もした。でも、いつも根底に流れていたのは、すべて善きことのためだった。 彼の音楽にまつわる著作や仕事のほとんどは知っていると思う。けれど、音楽と同じくらいの情熱を注いだプロレスのことはほとんど何も知らない。というか、僕は知ろうとすらしなかった。 プロレス団体からテーマ曲のオファーを受けたこともある。で、試合を見させてもらったのだけれど、どうしても好きになれなかった。 彼から「君と三沢は似ているんだ」と説得されて、全日本プロレスに連れていかれた。失礼だけれど、プロレスはやっぱり好きになれなかった。 昨日、有志のみなさんによって、プロレスに関する彼の著作が並んでいたから、大人買いした。帰って眠れないから三沢光晴さんの本を読んだ。僕がプロレスに拉致された日のことが書いてあった。プロレスには何も感じなかったけれど、確かに三沢さんには光と影を感じた。読み進めると、彼が三沢さんにジャクソン・ブラウンの「Running on empty」を聞かせるシーンがある。 そして、好きな人はどんな人ですか?と彼は尋ねる。 「人の痛みが分かる人」。 もうそれ以上、読み進めることはできなかった。 それが僕らをつないだ、すべてだから。善きことのために。   ——————————— HW、40th アニヴァーサリーツアー。今日から一般発売開始です。詳細はこちらを。 ——————————— ケヴィン・エアーズのこと、書かせてもらいました。    

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