日別アーカイブ: 2020年10月20日

音の記憶

10月20日 火曜日 晴れ ビル・フリーゼルを聴いていて、この揺らぎ感、ぜったいに随分前に聴いたことがある、と。彼の音楽は好きでしょっちゅう聴いてるけど、ふと確信をもってそう思った。 記憶の細い糸をたどる。えーっと、なんだっけ、この揺らぎ。 そうだ、あのアルバムだ! 88年ごろのマリアンヌ・フェイスフルの名盤「STRANGE WEATHER」。それがハル・ウィルナーの名プロデュースであることは知っていたけれど。32年も前に毎日のようにアナログで聴いていた音。そこに入っていた揺らぐギターのその人は。 やっぱりビル・フリーゼルだった。 す、すごいな、彼も俺の耳も。 うちにはたいていアメリカのゴキゲンなネットラジオが流れてる。お、このギターいいなと思うと、95%の確率でデヴィット・ギルモアが弾いてる。ほんとにその確率に笑っちゃうくらいね。 音の記憶ってすごい。 うちのおかんが死んで、なんだったか忘れたけど、手続きのために彼女が幼少期を過ごした町に行くことになった。僕は初めての訪問。 未だ母の旧姓の家が並んでいたりしてね。 ふとした瞬間。 その角を曲がると水車があると思った。 果たして、曲がったら、ほんとにイメージ通りのものがあった。 記憶も遺伝って形でプリントされることもあるんだね。 話は中国に飛ぶんだけど。 父親の運命を決定的に変えた日中戦争。その発端とも言える盧溝橋にどうしても行ってみたかった。 もちろん中国語は話せないので「盧溝橋」と書いたプラカードだけを持って、北京の街に立った。まぁ、ほんとうにそのプラカードだけで行けるもんなんだよね。 行ったこともないのに妙な凝視感があった。 傍に抗日記念館みたいなものがあって、むろんそこは日本軍のいろんな蛮行が展示されているわけで。 老人に話しかけられた。日本人なのに、来てくれてありがとう、みたいなことを伝えられた(んだと思う)。 親父がずっと胸の中に抱えていたに違いない感情が空から降ってきたような気持ちになった。 川辺に行って「ハピネス」を歌って帰ってきた。なんだかすこしだけ、ほんのすこしだけ、彼の気持ちも昇華したんじゃないかな。 僕らは記憶を捏造じゃなくて、創造することがある。 名の通ったアーティストと話していると、たいてい過去の話が周囲と食い違ってる。 「オレはジプシーのヴァイオリン弾きと交際してた」って。同じ時代を共に過ごしたミュージシャンが「ぜったいにそんなことはない」って。 ははは。 正直なところ、オレもよくわからないことが多い。果たして事実だったのか、自分が創造したのか、それともデフォルメしたのか。 でも、それでいいし、それがいいんじゃんって思う。 ある曲の成り立ちについて、原稿を書いたら、「事実と違う!」みたいな専門家からのツッコミがあって、ちょっと震えたんだよね。 とっても苦手だった。この手の発想。 人生はファンタジーの方がいいと思う。なにもかも説明するのではなく、あえて曖昧な部分が残ってる方がいい。 さぁ、今日はバイクに乗れるかな。 ついしん そうそう。 今週末の10/24,25の水戸公演。聞きたい曲があったら、コメント欄にどしどしどうぞ! 1. 名前(ニックネームで構いません) 2. … 続きを読む

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