ラビッツ、ブレイクスルー。小倉にて。

6月26日 日曜日 雨

最初にお断りを。イベンター女史が素晴らしい写真をたくさん撮ってくれていたのだけれど、僕がコンピュータに移す際にフリーズ。gone! 跡形もなくなってしまった。ごめんね。でも、そういう事には多分理由がある。

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素晴らしいコンサートだった。云っておくけど、どの会場も手を抜いている訳じゃない。でも、物事には流れがあって、「運命のひとひねり」を繰り返して、たぐり寄せて、偶然は必然になって、何かの境界線を超えるときがある。
おおはた雄一のスライド・ギターはかつて聞いたことのないレベルに達していて、それを受け取ったときには、僕は既におかぴーに何かを送り返している。そういう交感レベルのやり取りが繰り返されて、ひどく達成感のあるライヴだった。来てくれて、ありがとう。生きてることがひどく愛おしかった。

実のところ、九州に帰ってから悶々としていた。誰も何も悪くないのだ。当たり前の日常があるだけなのに。九州の人たちだって、もちろん心を痛めている。いくつかのデモも観た。ただし、目に映る光景は同じ国だとは思えなかった。ひとことで云えば、平和だったのだ。これがフツーなのだ。でも、自分の中で何かが引き裂かれて、崩壊していく。僕はザッツ九州男だと思われているが、無意味にシリアスで、センシティヴすぎるところがある。人のエネルギーをまともに受けてしまって、流すことが出来なくなる。だから毎晩ステージに上がるためのテンションを調節するのが難しかった。おかぴーは何処か超然としているところがあって、そこに毎日救われていた。

ハードな日程で小倉にたどり着いて、北九州ならではのヤサクレ感にひどくほっとした。言葉が粗野で、気性が荒めで、僕らが育った頃の昭和の匂いがぷんぷんする。行きつけの「資さんうどん」でかまぼこに「資」と記されている文字を観て、僕は一気に立ち直った。どうでもいい事なんだろうけど、そこにひどく本質を感じたのだ。僕にとって大切なことはムードではなく、本質だ。何もかもあるところには何もない。

僕は前夜、福岡で先輩諸氏と飲んでいた。そこで、こう云われたのだ。コテコテの博多弁で。「お前、あの歌を今歌うのがお前の役目たい。大事な役目たい。忘れやんなよ。明日歌わんかったら、博多湾におもりば付けて、沈めるぞ、きさん」。まぁ、相変わらずヒドい口調なのだが、その言葉はすんなりと腑に落ちて、心がエネルギーで満ちていくのを感じた。ひとことで云えば、愛なのだ。

ルースターズがこの街に居た頃から、音楽に力を注いできたEさんのPAは素晴らしかった。共に音楽を奏でてるみたいだった。ギャラリーsoapの相変わらずのいかがわしさも最高だ。おかぴーと超絶な演奏を繰り広げて、最後にその歌を歌った。何だか、ものすごいエネルギーが自分から出ていくのでびっくりした。それは僕の力じゃないのだ。九州で出会った人たち、足を運んでくれた人たち、相変わらずサポートし続けてくれるイベンターの愛、被災地の人たち、友人たち、おかぴー。それらがぐしゃぐしゃになって、全員の祈りの音楽に昇華したんだと思う。

おかぴーが楽屋で写真を見せてくれた。先日訪れた福島県郡山市の写真だった。美しすぎて、ちょっと泣けた。「それ、俺にくれ」。自分でも珍しいこと云うなぁと思った。そうか、今日コンピュータがフリーズしたのは、この写真をみんなに観てもらうためだったのか。

おかぴー、ありがとう。そして九州でたどり着いた言葉はこれだった。

「共に未来を創ろう」。愛と感謝を込めて。

福島県郡山市。美しい。撮影、おおはた雄一。

福島県郡山市。美しい。撮影、おおはた雄一。

その2。撮影、おおはた雄一。

その2。撮影、おおはた雄一。

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ラビッツ、ブレイクスルー。小倉にて。 への8件のコメント

  1. だりあ より:

    素晴らしかった。
    観るだけで、声を聴くだけで涙が溢れます。
    これでしばらく頑張れそうです。
    溢れるたくさんの愛をありがとう。

    終演後握手していただき、感激でした。
    また逢いに行きます。

  2. pinboke より:

    不思議なのは、魔界小倉からのギフト?でヒロシさんのギターの弦が切れた後、おかぴーと会場とヒロシさんと、妙なハイテンションと一体感で、笑顔で歌いきったシャンゼリーゼ。

    ライブはLifeの教室だと教えてくれたのは、確かザ・バンド。
    会場にいたボクラもそうだと感じる事が出来た。

    ラビッツのアルバムが欲しいと真面目に言ってた子供の声が嬉しかった。

  3. min より:

    コメントを読んで、境界線越えた感。伝わりました!そういうことですよね!わたしは、行けませんでしたが、ライブ会場で購入したおおはた雄一さんのすばらしいCDを聴きながら、想いに耽っています。音楽を通じて、これからも支援活動がんばってください。わたしたちにできること教えてください。鉄砲玉のように、突走る山口!これからも、応援します!

  4. 自転車乗り より:

    素晴らしい夜をありがとうございました!帰って「オカピ-」検索しちゃいました
    脚はシマウマですね(笑)
    山口さんのあまりにも力強い唄とおおはたさんの柔らかい唄・・・はじめての生「穏やかな暮らし」にウルウルきてしまいました~シャンゼリゼもあんないい歌だったとは!?ふたりでアルバムも作ってほしいなあ~これでまたしばらくがんばれます!
    また二人で小倉にきてください!待ってます!次はグルメ情報も書きますね!

  5. つくし より:

    突然南へツアー♫
    おつかれサンマでした。

    この写真…何故でしょう?
    しぜんと落涙です…。
    美しすぎるからでしょうか??

    被災地の夏はどうなるのでしょう…。
    福島の子供達は数日でも疎開させたい
    食べ物が足りない人の所へは食べ物を送りたい
    着る物(履物等々)日用品がない人の所へは必要な物を送りたい。。。
    一人でできることは僅かだなぁ…と時々折れそうになりながらも、それでも『何かしたい人』は多勢いる、きっと日本は大丈夫!!
    古き良き日本。忘れかけてた良いモノ(方法)が沢山あるようです☆

    MY LIFE IS MY MESSAGE.
    (遅ればせながら、渋谷ホントに最高でした!パワー沢山もらいました♫)
    ガンバロ〜自分!な日々です。

  6. saw より:

    その最後の曲、聴けずに帰らざる得なかった〜(涙)
    やっぱ神戸は遠いね。
    猫たちはそうほっとけないね。
    またどっかの地で、よろしくです!

  7. Dr.Martin より:

    郡山では住宅展示場の横に仮設住宅が建てられてたんだよな。
    あの光景は切なかった。
    友部正人さんが東北に歌いに行くってんで
    いわきでの公演に行ってきたけど
    前座を務めたのが店の店長。
    彼の歌がとても響いた夜だった。
    club sonic、良い店だった。

  8. さく太陽 より:

    博多の諸先輩の圧力により謳われた唄。失礼ながら途中退席せざるをえなかったです。でも二人の残像が残っています。あの時弦が切れたのは、私にあの残像を与えてくれるためだったと勝手に思っています。
    つくすの美しいスタッフの方。あり得ないタイミングで帰る私に声をかけていただき、また外まで見送り頂きありがとうございました。
    貴女のおかげでより残像が鮮明になっています。感謝感謝です。

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