Blood Moon、光の道

7月11日 土曜日 晴れ

アナログ盤に今一度巡りあって、その可能性を探っているときに、佐野元春さんから2015年の新譜が「アナログ盤」で届けられた。まったく、何というタイミング。最新の音楽を最古かつ最良の方法で聴く歓び。

知らない土地を旅するときには、まずは地図を手に入れる。自分がどこに位置しているのか、またその街がどのようなところなのか、知らないとひどく居心地が悪い、というより、旅を続けることができない。外国でgoogle mapを使ったとしても、そんな使い方しかしない。

新作「Blood Moon」は僕にとって、地図のようなアルバムだった。これからどうなっていくのか、まったく予想のできない音楽を取り巻く世界。そこを独りで歩いていくための地図。音楽というより、この時代を生きる「ある種」の人間には必要不可欠な地図。ナビゲーションはないから、行き先を決めるのは自分の意志。聴き手である僕は勝手に叱咤され、そして励まされ、未来へと創造力を飛ばす。

発売前だから、内容を語るのは野暮だし、ルール違反だと思う。かつて、僕は彼に「境界線」について質問したことがある。応えは「それは越えるんじゃないんだ、ぼかすんだ」だった。ひどく納得したのを覚えてる。でも、あれから20年経過して、彼がそのことについて歌っていることに、ひどく打たれる。まるで夏の夕立のように。内容はひみつ。

聞き終えて、居ても立ってもいられなくなって、海沿いを走った。アナログだから、iPhoneに簡単に入れられないのがまたいい。まるで高校の授業中のように、頭の中の残像を反芻しながら、夕陽を観る。Blood Moon、それは光の道。音楽って凄い。そして、素晴らしい。

この作品はいろんな形態でリリースされる。それぞれに合った方法を選べるのはユーザーにとっては素晴らしい経験だと思う。個人的には、レコードをひっくり返す瞬間。それはレコーディングでテープを巻き戻す時間(もうないけど)のように、プレシャスなものだったことを思い出させてくれた。

佐野さん。深く感謝です。オレも新しい曲に向かいます。生きてるうちに書かなければ。

フォーマットがデカいとヴィジュアルで喚起される。

フォーマットがデカいとヴィジュアルで喚起される。

こうやって聴いていると、まるでバンドが演奏してるみたいだ。

こうやって聴いていると、まるでバンドが演奏してるみたいだ。CD だとこうはいかない。

ランニングから帰ってきて、また聴いた。さっきより深くこころに入ってくる。

ランニングから帰ってきて、また聴いた。さっきより深くこころに入ってくる。

現在にないものは永久にない、というのが私の哲学です。逆に言えば、将来あるものならばかならず現在ある。だからこそ私は将来のことでも、現在に全責任をもつのです。

by 岡本太郎

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Blood Moon、光の道 への6件のコメント

  1. blue より:

    佐野さんが言った
    「それは越えるんじゃないんだ、ぼかすんだ」。
    ずいぶん前にヒロシさんがラジオでその事を語っていたのを覚えています。
    たしか20年位前。
    「またいい事いうなぁ」とヒロシさんがコメントしていたような。
    時を超えてまためぐり合いました。
    当時ラジオをリアルタイムで聞けず、妻がMDに録音したものを聞いていたので、もしかしたらまだ残っているかも。

  2. プリティクロ より:

    アナログ盤は音が良いこともさることながら、迫力あるアートワークは他にはマネのできない大きな魅力ですよね。昔、良い音に包まれながらアルバムジャケットをボーッと眺めるのが至福の時間でした(笑)
    CDを予約してますが、アナログ盤も欲しくなってきました^_^

  3. saw より:

    そういえば、レコードジャケットいっぱいに写るヒートウェイヴの姿てないですよね。
    過去のレコードのアートワークもイカすけど、
    イカす現在のヒートウェイヴ4人のお姿を、レコードサイズのジャケットで拝みたいなあ!^^

  4. 焚き火 より:

    今日のダイアリーを読んで胸の奥からグッと来るものが何度もありました。
    同じく、居ても立ってもいられない。
    そう思いました。

  5. スロウライダー より:

    思えば、アルバム『1995』で佐野さんが2曲をプロデュース、という情報からヒートウェイヴを知りファンになり、未だ両者を聴き続けています(きっとそういう方多いと思います)。丁度20年なんですね。
    Moonといえばヒートウェイヴにも『howling At The Moon』がありました。『Blood Moon』が出るまで聴き直してみます。

  6. ちゃしろ より:

    二人の生き方、いつも、心の支えになっています。

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