日々雑感、そして黙っていられないノイズ問題。

5月20日 日曜日 晴れ

長くなるけど、読んでくれると嬉しいっす。たいせつなことを書くので。

午前中、地元でいちばんイケてそうな花屋をリサーチして、2つの花束を作ってもらう。ガサツな俺にしては丁寧に2つの状況を説明して。最近花が好きだから、初対面の花屋さんと花束を作っていくのはとってもクリエティヴな作業で愉しかった。

 

あまりにもイケすぎてないところが自分の街のクオリティーで好きだったなぁ。

 

ともだちの家族がいらっしゃるホスピスのような施設を訪ねる。病院にいいイメージなんてまったくなかったけれど、この施設を一目見ただけで、「本来」の目的のために運営されているのがわかる。てか、ほんとうに人の命の終わりについて考えぬかれていることにこころが動いた。

庭園にはいろとりどりの季節の花が咲いている。その中を親子が状況に合わせた車椅子を押しながら歩いていく。陽射しがキツかったから、僕はレイバンのデカ長グラサンをかけたまま、歩いてくる親子に「こんにちは!」と挨拶をする。ガラ悪くてごめんなさい。その親子たちの佇まいが美しくて、泣けた。きっといままでにいろんなことがあって、5月の陽射しの中、最後になるかもしれない散歩をする。美しい風景。人があんなに柔和な顔をしているのを久しぶりに見たし、車椅子に乗っている親の多くは透明な顔をしていた。実のところ、殺伐とした世界に生きていて、癒されたのは僕の方だった。愛のある仕事ってほんとうに素晴らしい。

 

天国みたいな光景だった。

でも、俺は野の花が好き。

 

 

大好きな国立へ。名だたるロック・ミュージシャンの衣装を創ってきたルゥさんの展覧会。国立の街が僕を彼女に会わせてくれた。彼女はぜんぜん僕よりミュージシャンみたい。笑。

彼女にはあんな風に世界が見えてたんだね。僕だってもちろん見えているけど、いつもモノトーン。あんまり色が好きじゃないんだ。彼女の色彩は派手なんだけど、まったくいやらしくない。てか、美しい。彼女が女性にスタイリングしてあげたあと、その女性が輝きを放つ瞬間を見て、洋服は暑さや寒さをしのぐ以外にもレッキとした目的があることを教えられる。てか、素晴らしいアートだよ。

会場はさながらルゥさんの脳の中。すごい刺激を受けたなぁ。ルゥさん、誘ってくれて、ありがとう!

 

ぶっ飛んだなぁ。

これがいちばん好きだったなぁ。俺は一生着れないなぁ。笑。

彼女の頭の中、すごい!

ルゥさんと花束。まじ、リスペクト。素敵な女性です。

 

閑話休題

 

伝えておきたいことがいくつか。

HWは5/18から新しいスタートを切りました。長年バンドを支えたベーシストの脱退に際して、続けるためには通常は誰かを入れる(サポートでもいいわけだし)のが普通でしょう。

でも、「敢えて」その方法を選ばなかったことが、バンドを継続する3人からの応えのすべてです。もう一回書きます。「敢えて」その方法を選ばなかったことが、3人からの応えのすべて。

これ以上の説明は野暮だと思います。ぜひ、一度ライヴに足を運んでみてください。僕らは地球上にこれまでになかったバンドを目指します。本気っす。そして、道が二つに分かれたなら、険しい方を選びます。たいていの場合、それがアーティストとして行くべき道だからです。

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最近のHW作品における「ノイズ」と言われている問題について。

音を生業にして、誇りを持って仕事をしてきた以上、これは黙っていることはできません。

「ノイズ」と云われているものは僕の古いギターアンプ、フェンダー・デラックスリバーブとアンペッグVT-40から出ている音です。僕はこのアンプをデビュー前から使っています。もう30年以上同じアンプで、同じギター。もっと云うならツマミの位置まで同じです。そんな人、僕以外に見たことないです。

古さゆえ、トラブルは多々あります。だから、定期的なメインテナンスは欠かせません。運搬、保管にも気を使います。会場やスタジオの電源から「ノイズ」が乗ってしまうこともあります。

あまりに扱いが難しく面倒なので、ある時フェンダー社に行って、現存するすべてのモデルを試奏しました。けれど、僕が愛してきたアンプを超えるものはひとつもありませんでした。一応スペアとして、その日一番良かったものを買いましたが、未だにサブ扱いです。

細海魚。彼も僕と同じく、すべて本物の楽器を使っています。いまどき、サンプリングされた優秀な楽器もあります。軽くて、壊れなくて、運搬が簡単で。それでもあの小さな体で、どんな現場にも、リハーサルのスタジオにもすべて本物の楽器を運んできます。

なぜなら。そこがHWのHWたるこだわりだからです。音は空気の振動によって伝達されます。どこに行っても同じ音がするなんてことはありえないのです。その微妙な差異から僕は「今日の」彼のメンタルの状態やヴィジョンを受け取るのです。それらが複雑に絡み合って、トータルとしてHWのサウンドが表現されるってことです。

僕や魚のスピーカーの震え。音を愛する人間として、僕ら固有の音を「ノイズ」と云われるのはとっても心外なのです。みんな、無味無臭の漂白されたサウンドに慣れすぎてませんか?

あれらの「ノイズ」も含めて僕ら固有の音なのです。作品を完成させるまでに100回以上、ミックス時に聞きます。どこにどんな音があるのか僕は熟知しています。音に命を賭けてきた者として「ノイズ」と思っているものを作品にするなんてことはあり得ないのです。

道を歩いていて、野生の花にこころを動かされるのは雑然としているように見えるけれど、そこに生きる意志を感じるからです。手入れされた庭よりも遥かに切なくて美しいと思います。

なにがいい音なのか、なんてことに応えはないのです。僕らは僕らにとってのいい音をこれからも追求します。作品として昇華されたものはHW印の誇りを込めた良品です。理解してもらえると嬉しいです。

あまりblogには書きませんでしたが、この作品2018年1月。ひとつきまるまるかけて、気持ちを込めてミックスしました。

OFFICIAL BOOTLEG#005、通販開始です

HW印誇りを持って良品です。

Recorded Live at shibuya duo MUSIC EXCHANGE,
Tokyo on 22 December 2017

NO REGRETS / HWNR-014

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6月から始まるソロ・ツアー「YOUR SONGS 2」のリクエストを受け付け中。来週一週間受けつけます。締め切りは27日にします。

このblogのコメント欄に
1. 参加する会場名
2. お住まいの地域
3. 氏名(ニックネーム可)、年齢(サバ読み可)、性別
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を書いてください。最新のコメント欄に書いてください。古いものだと見落とす可能性があります。
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日々雑感、そして黙っていられないノイズ問題。 への8件のコメント

  1. にゃあにゃあ。 より:

    「閑話休題」以降、まるでライブの時のような“something”が伝わってくる文章で、どきどきしました。
    音の世界って、深淵ですね。

    音楽に詳しくない者にとって、ライブハウスという場所は、必ずしも気易くは入れない世界。
    でもHWのライブでは、音楽を知らなくても、解らなくても、音楽という専門性を超越した something を必ず受け取れる。
    だから、音楽やライブに縁のない、でも絶対に“受け取れそう”なヒトを見ると、つい誘いたくなります。

    音楽を解らない自分にも、新生HWが比類ないstageに向かいはじめたこと、解りましたヨ。

    と。どんなふうに状況を説明したら、そんなに用途ピッタリの花束を作ってもらえるんだろう。

    ホスピスにいるかたに、華麗な白い花を贈るって、真実で素敵なメッセージですね。

  2. そばや より:

    休日出勤で疲れ果て、久しぶりにキース・ジャレットのザ・ケルン・コンサートを聴いていました。ピアノの音以外にキースの声や足踏みの音など、その場の空気感が含まれ、より一層リアルな魅力的な音を醸し出している。研ぎ澄ます演奏者。それを確実に捉える録音エンジニア氏。並大抵の人間には出来ませんね。
    OFFICIAL BOOTLEG SERIES #005 171222・・・私は磔磔で、HWの真骨頂の音に聞き惚れましたが、渋谷の音も愉しみです。

  3. ながわ より:

    ボクは未だライブ盤入手してませんが・・ノイズ気になりませんね。
    ノイズ(空間の震え含めて)が入ったり声が上ずったりリズムがズレたり
    人間がやってるんだから、そんなのあって当然。それも含めて作品か、と。

    スタジオワークでノイズを徹底して除去するのもプロの技だし否定しません。
    全部プログラミングで造った完璧・綺麗なサウンドも否定しません。
    でも、やっぱりアーティスト自身の揺れや震えを感じさせる音楽が一番好き。
    HWは巧いだけのバンドで無くそういう揺れをリアルに感じさせてくれる
    バンドだと思います。

    ワケの分からんこと書いてスミマセン(笑)
    山口さんの説明聴いてライブ盤聴くのが益々楽しみになりました。

  4. rie より:

    今日、父の一周忌でした。
    一年前、看護士さんはとても良くしてくださって感謝しているけれど、殺風景な病室にいるしかなかった父はどう感じてたかと思います。花も飾れなかったので、お見舞いに行けない猫たちの写真だけ。

    日差しとか風とか欲しかったかなと、今日のブログを読んで思いました。

    人それぞれの聴こえ方、感じ方があるのだと思いますが、音楽は耳だけで聴くものではないと思います。
    言葉は難しいです…。上手く言えません…。

  5. はらた より:

    歌の宅配便時代から山口さんのソロライブに足を運び続けて、20年以上…先日、念願叶ってようやくHeatwave のライブに初めて参加することができました。

    以前、山口さんは、ソロライブを精力的に続ける理由として、バンド形態では集客や会場の都合上行けない町にも、歌を届け、いつかその町にもバンドで訪れるためだとおっしゃっていたように記憶しています。

    事実、山口さんのソロライブには、それぞれの町に対するリスペクトと、ライブに足を運ぶオーディエンスに対するホスピタリティがあふれていると感じています。

    あくまでも、どこまでも個人的な所感ですが、初めて参加したバンドサウンド、夢にまでみたHeatwave のライブでは、それを受け取ることができませんでした。どこか、突き放されたような孤独感を感じ、悲しい気持ちでライブ会場を後にしました。

    ノイズ問題しかりですが、山口さんのソロライブにあってHeatwave のバンドライブにはないものがあると感じています。こうして欲しい、ああして欲しいと個人の意見を言うのは不毛に感じています。ぜひこれから先もバンドを続けて行くために、初めてHeatwave のライブに足を運ぶ人が、私のように失望してさることのないよう、残った3人のHeatwave のメンバーには、ギャップを感じているオーディエンスがいることも心に留めて、走り続けて行っていただきたいと願います。

    • まこと より:

      はらたさん、こんばんは。
      私は先日のHEATWAVEのライブに残念ながら行けませんでした。だからどんなライブだったのかなと思っています。はらたさんがそのライブをご覧になって孤独感を感じ、悲しい気持ちになられたのはどうしてかな。よろしければ教えてください。
      ノイズのお話もそうですが、ちゃんと伝え合うことで、いろいろ気づけたり、確認できると思うのです。

  6. のり より:

    ノイズ?
    何の事なんだろうとここ数日のコメント欄を読んで、え?そうなの?って思いました。
    改めて聴いてみたんですが、耳が悪いのか全然気になりませんでした(笑)
    コレは得をしているのか損をしているのか…^_^;

    >無味無臭の漂白されたサウンドに慣れすぎてませんか?
    さっきカミさんにノイズの話をしたらコレと同じ事を言ってました。
    やはりクリアーな音が多いんでしょうね。
    その辺に関しても鈍感な僕にはあまり関係ないようですけど。。

    ライブのCD、すぐにでも買うつもりだったんだけど、ダメ親父の僕はなけなしの小遣いを競馬ですってしまいました(;^_^A
    絶対来月買います!
    もし千葉に行けたら千葉で買いたいと思います。

    それでは、これからもHWは我が道を突き進んでいって下さい。
    その姿勢、音楽(音)に惚れ込んでいるのでついて行きますから!

  7. Masako より:

    色彩も音もからだの視覚や聴覚から伝わる。小さな音を聞く繊細な耳の持ち主もいれば、毎日大きな機械音の中で仕事している人たちもいる。機器によっては聞こえ方も違う。ライヴハウスでも場所によっては音の聞こえ方も異なります。デジタルの世界。クオリティを追求し過ぎだと思います。昔のアナログ盤聞くと、癒される。ブチブチする音も、昔からの時代をさかのぼる感じがいいと思う。
    私がHEATWAVEを好きなのは音の素晴らしさ。それは、山口洋さんがずっと大切に楽器やアンプを扱っていて、そこから発するクオリティの高さだと思います。そして、何よりも演奏の素晴らしさ。これからの世の中は、AIが正確な演奏して、感動を呼ぶ?なんてことに。そんなのは絶対に嫌です。頭で考えないで、からだに音楽を浸透させて欲しいなぁと思いました。せっかく音楽を楽しんでいるのですから。魚さん、たくましいなぁ。

    昨日、THE BANDの『ラスト・ワルツ』を観に行ってきました。スクリーンを観てこんなに感動したのは久しぶりです。40年の歳月を感じさせませんでした。残念ですが上映会場が少ないです。最後の最後の曲。私が指弾きを練習している曲が流れました。なんだか不思議なものを感じました。

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