久住に登る

9月3日 火曜日 晴れ

早起きして、峰からまるで水墨画のような雲海を見て、久住へと向かう。

父親がフィジカルに元気だった最後の頃、オレは10歳で、無言のうちに星一徹的な教育を受けていた(感謝してる)のです。それは学者だった彼が学問を教えるではまったくなくて、多くは後に「こういうことを伝えたかったのか」と理解できるようなある種アホな哲学的なこと。たとえば、庭にマウンドとピッチャーズプレートを作って、自分はキャッチャーになり、真ん中ではなく常に内角低めに構える、とか。

それは「内角低めに全力で投げ込んで、ホームランを打たれたのなら、それは仕方がない」という彼の哲学に基づいていて。笑。そんなこんなて、弱かったライオンズの救世主となるべく、オレは本気でピッチングに打ち込んだ、とか。笑。

そんな彼が最後に連れていってくれたのが久住だった。もう半世紀も前の話。山ならきっとそんなに変わっていないはず。で、変わったとしたらオレが変わったのだから、どうしてももう一回登ってみたかった。

アメリカの標高4000メートルをスノーボードを抱えて登っていたから、標高1700メートル、10歳のオレが登ったんだし、初心者向きって書いてあるし、大したことないだろう、と。毎月、山形から山に関する冊子を送ってくださるマエストロに学んで、山を舐めちゃいかんと思っていたから、数ヶ月前からギアなどをツアー中の各地で周到に用意してたし。

はっきり言ってね、割ととんでもなかったっす。どこが初心者向きなんって。オレが道を間違えて違うロッキーな山に登ってしまったのもあるけど、これ、リポビタンDのCMやん、みたいなシーンがたくさんあった。てか、10歳のオレに登山靴も与えずここに連れてくる親父って幼児虐待!笑。

登山の「と」の字もわからないから、ひたすら猛進。6時間かかるところを4時間で帰ってきた模様。そっか、もっとゆっくり登るものなのね、、、。

でも、楽しかったんで、ゼロからやり直します。で、親父が60歳のオレに伝えたかったことは「お前はなんもわかっとらん」でした。笑。近々マスターに弟子入りします。でも、還暦すぎてもゼロからやれることがあるってことです。

九州はクマがいないだけ、だいぶ安心します。で、頂上で食べたおにぎり、美味かったなぁ。あと装備を1gでも軽くしたくなる気持ちがよくわかりました。なんで、みんな杖ついてんだろ?って、あれもあったらきっと楽だ。でも、見た目が苦手なんで、まだ買わない、とか。

てかね。ゴミひとつ落ちてないんですよ。九州人、素晴らしい。そしてなによりもあんなところに登山道を整備してくれている人たちに大感謝です。だって、彼らの道標なかったら、遭難するってば。オレ、しんどさにヒーヒー言いながら、黙って道標を作る人になりたいと思いました。

それもまた親父の教えなのね。笑。

閑話休題。

昨日のblog見てくれたかな?

モーガンが窮地に陥っています。これは明日の自分の姿でもあります。生活設計がなってないって、モーガンはぜんぜんオレよりしっかりしてたし、懐だってオレよりぜんぜん豊かだった。外国人ゆえ、コのダメージにおけるサポートも受けられなかったのでは、と想像しています。

でも、こうやって伝えてくれたから、できるサポートをしようと思います。いちばんいいのは彼のサロンで、「スウィンギング・ロンドン」の話を聞いて演奏する、ようなことかな、と。だって、ほんとうに目撃者だもんね。あの時代、ジミヘンやフーやツェッペリンやキンクスやストーンズやヤードバーズ、エトセトラ。そんな話はオレが聞きたいし、財産そのものだもんね。

彼はいろんな形で日本の音楽に貢献してくれたんです。イアン・ハンター、アル・クーパーをはじめ、いろんなミュージシャンとオレを繋いでくれました。聞いたことないけど、たぶん流浪の最後は日本に骨を埋める覚悟なのかな、と。それって、同じく流浪の後輩としてはすごい覚悟だなぁ、と思うのです。

 

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久住に登る への8件のコメント

  1. しの より:

    モーガンへのドネーションしました。
    モーガン在籍時のヒートウェイヴは、私にとって、最も重要な瞬間でした。感謝でいっぱいです。

    まだまだサロンやイベントで、モーガンの話を聞きたいです!金曜日のピーターバラカンさんのイベントにも行きますし、引き続きいろいろ参加させていただければ、と思います。

  2. 青森のロマンティック・ダンディ より:

    「雨の後、路は輝く」のクレイジーな雄叫びに励まされて20数年(そんな人他にいるか?)、喜んで寄付しますとも。で、昨日の段階で目標金額まであと少しだったと思ったが、今日見たら、あれ?目標金額上がってる?・・・まあいいじゃないですか。それにしてもさすが世界的ミュージシャン、外国人からの寄付が多いですね。願はくは、再びサロンでの共演を。その時こそは我も馳せ参じたいと思います。

  3. しの より:

    あれっ?
    思ったより全然、モーガンさん救済の話題が膨らんでいませんね…みんな知らないのかな…

    でも書き込みが無いだけで、皆さんドネーションしてくれているといいな。

    一夜開けて、達成して目標更新したのに合わせて、モーガンさんがコメントをとても明るい雰囲気の内容に更新していて、とりあえずほっとしています。良かった…

  4. 万友美 より:

    今、モーガンにドネーションしました。
    モーガンサロンで山口さんとモーガンの演奏を聴けたのは私にとって宝です!
    モーガンサロンに伺えたこと…私にとっての気づきのきっかけでした。
    宇宙って…言ってもいいかと思います。あの(何とも言えない)気持ちよさ・心が溶けていく感じを…日常でどう活かせるかが私の課題だと思っています。
    山口さん、知らせてくれてありがとうございました!

  5. ナカムラ より:

    モーガン・フィッシャー氏が居た頃のHWも楽しいLIVEだった記憶があります。
    山川さん、伴さん・・盛り上がっていたなぁ。
    私も当時、とても元気をいただいていました。

    久住山・・私は来月、紅葉見つつの登山で行こうかと思っています。
    山登りはあまり好きではないと思っていたけども、いざ、この年になってみると、気力・体力も含め、観察する力も備わって??楽しいものですね。
    きついけど(笑)
    そのあと、温泉入るとか、最高です。

  6. 中澤 美穂 より:

    山口さん、こんばんは。

    モーガンさんへのドネーション、少ない額ではありますが、MLIMMの口座に振り込ませていただきました。

    ドネーションのサイトでの支払いがどうやっても上手くいかずエラーになってしまい、諦めました。

    イギリス£への換算など、ひと手間お掛けしてしまうと思うのですが、ご活用いただければと思います。

  7. ひではる より:

    モーガン氏のクラウドファウンディングに30ポンド課金したのですが上手くいったかよく分かりません。
    PCから作業して携帯で決済の認証したので大丈夫かなとは思うのですが…
    英語が全然分からないので仕組みがよく分かってないので不手際があったら、すいません。
    モーガンさんの居た時のH Wも最高でしたよね。
    観客にうるさいガキ!とい言いつつ自分達の楽器をうるさい楽器とジョークを飛ばされてたのが印象的です。

    久住山、登頂おめでとうございます!
    色々なルートがあるのですが星生山から久住山のコースは開けていて気分がいいですよね!
    また是非登ってみてください!

  8. ハートロッカー より:

    山口さん伴さん、山川君、そしてモーガンの時のヒートウェイヴは
    僕にとって何より音楽って楽しいってのを沢山教えて貰いました。

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