日常と云う深遠、あるいは宇宙

10月26日 金曜日 晴れ

何度も書いてきたけれど、14歳の誕生日に僕にギターを教えてくれた親友は画家だ。それまで絵を描いていた僕と互いの才能が交錯して、僕はミュージシャンに、奴は絵描きになった。

僕らは一年に一回くらいしか会わない。それで充分。会わなかった時間は互いの作品が埋めてくれる。

銀座の画廊に、個展を観にいく。彼は日常の中にある永遠をずっと描いてきた、と僕は思っている。ここ数年、彼はアトリエの裏にある雑木林を木炭で描いている。一枚を完成させるのにかかった日数、120日。絶句。「ときどき宇宙に行くやろ?」との僕の問いに、彼は「うん。ときどき葉っぱの上に乗っかってたりするよ」と平然と応える。もはや、それ以上の会話は必要なかった。どの道も突き詰めると同じところに繋がっている。見つめすぎると、ときどき、ほんとうに反対側に突き抜ける。戻ってくるのにはひどく体力が必要で、なおかつ危険だ。でも、描くことは彼にとって生きることで、切実で、切なくて、静かに熱い情熱でもあり、社会とコミットするための唯一の方法なのだろう。そのような人を僕は心から尊敬する。

初めて会ってから、34年の月日が過った。互いの才能を交錯させるときが来たと、両方が感じているようだった。不思議なものだね。年内の再会を約束して、別れた。いい時間だったよ。

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お互い、将来何者になるかってことが、分かってない。その感じが良かった。あはは。

入り口からすでにただならぬ気配を感じた。

入り口からすでにただならぬ気配を感じた。

写真じゃそのタッチが伝わらないけど、その全景。

写真じゃそのタッチが伝わらないけど、その全景。

近寄っていくと、宇宙が見えてくる。

近寄っていくと、宇宙が見えてくる。

言葉がなくなる。つーか必要ない。

言葉がなくなる。つーか必要ない。

失礼ながら、僕の口から出た一言目は「イカれてるね」だった。

失礼ながら、僕の口から出た一言目は「イカれてるね」だった。

彼は「うん」と云った。

彼は「うん」と云った。

銅版。

銅版。

たくさんエネルギーもらったぜ。ありがとう。

たくさんエネルギーもらったぜ。ありがとう。

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日常と云う深遠、あるいは宇宙 への1件のコメント

  1. Koike より:

    今、34歳。何だか良い年に生まれた気分!
    絵の才能はないが木ばっかり見て育ったから、
    匂いとか風とか音とか、感じた。

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