プチ遭難 – 踏んだり蹴ったり

7月27日 土曜日 豪雨 

 尋常ではなかった。雨も雷も。夜通し降り続ける凄まじい雨の音を聞き、雷が漆黒の空をサーチライトのように照らし続けるのを眺めながら、「これは行きすぎとる」と思いつつも、圧倒的な自然の力の前ではなす術もなく。

 朝5時になり、周囲が見渡せるようになって、まず俺はここから脱出できるのかどうか確かめることにした。これだけ降ると、山へと至る道はいろんな箇所で寸断される。登りの道は崖崩れでアウト、下る道も同じくアウト。ザ・孤立。がっはっは。俺の人生みたいだ。上等だ。気に入ったぜ。両方を見比べて、道を開くのに容易な方を選んで朝から土木作業。自治体に救出してもらおうにも、おそらくいろんな箇所が寸断されているに違いなく、対応はままならないだろう。救われるのは好かん。save myself!スコップを持って、テコの原理で石をどけ、土砂を取り除き、何とか通行を可能にする。はぁ、これで雨さえ降らなければ、何とか帰れる。そう思ったが、今度はライフラインのうち水道がアウト。うちは天然水をポンプでくみ上げているのだが、水源に近づくと、アラームが巨大な音で鳴っている。どうやら落雷したらしい。自力でブレーカーを解除し、ヒューズを入れ替えたが、ポンプはウンともスンとも云わず。プロに任せるしかなくなった。俺は明日の早朝帰らなきゃならんのだが、水が出なければ、帰りの準備もままならず。

 続いて。ここに至って、クルマに違和感。タイヤはランフラット(スペアタイヤがなくても80km/hで200キロは走行できるタイヤ)なのだが、こいつが今までに起こした不具合、数知れず。おまけに在庫は少なく、殆どが関東からの取り寄せ。それじゃ、スペアタイヤを積んでいない意味がないのだよ、まったく。祈る気持ちでタイヤを観ると、やっぱりバースト寸前。ブルータス、お前もかーーーっ。この状態で明日東京への1200キロの道のりを走れる訳もなく。慌てて関東のディーラー氏に連絡すると、やっぱり九州に在庫なし。ディーラー氏、最終兵器として九州で1本だけ新品のランフラットではないラジアルタイヤを購入し、装着。それで何とか帰ってきて欲しいとのこと。ランフラットが万能のタイヤだと思ってるみなさん。あれは万全のタイヤではありません。特に255みたいな極太ものの在庫は関東にしかないので、旅先でイカれた場合、僕と同じ目に遭うと覚悟してつかーさい。「ヒ、ヒロシさん、ミュージシャンなんすか、走り屋なんすか?」。「ミュージシャンで走り屋なんだよ、ばかやろー」。このタイヤの不具合、覚えてるだけで5回目。九州だけでも2回目。おまけにとんでもなく高い。ディーラー価格1本8万円、オーマイガッ。フロントもそろそろ換えなきゃって感じだったんで、全部換えたら幾らなんだよ。みんなね、いろいろ云うけど、帰ったらすぐオレは長野に行かなきゃなんないのよ。仕方ないんだよ。アーメン。今回金額を書いたのも、好き勝手に生きる代償の一例ってことです。早い話が新幹線や航空機で移動すりゃ、こんなリスクはない訳だしね。でも、俺はこんな感じで面倒臭く生きるのが好きーーーっ。(八丈島チックに)

 いろんな意味でのエマージェンシー。にも関わらずこのblogを書いていられるのは、今ディーラーでソフトバンクにwifi代金490円を払って、タイヤを交換してるからです。今日は金にセコくてごめんねっ。どこまで続く、俺の不幸。今から山に戻って俺の運命はどうなるのか!!!!!!しかーし、こうなってくるとメラメラと燃えてくるのも俺。面倒くさっ。これから雨さえ降らなければ、何とかなる。強く生きれば、叶うのじゃー。

 はれひれふれほー。上記の原稿から8時間後。わたくすは今、中国地方某所のホテルに居ます。明日、早朝から関東を目指しマッスル。I’m alive.大して美味くもない焼き鳥と生ビール5杯飲んで、生き返ったぜーーーーーーーーっ。ヒーハーっ。(アイリッシュ風に) 

追伸
つーかよー。あんまり書かないけど、山から定期的に写真を交えてblogを更新するのは、やっぱり大変でした。僕んちに光ケーブルが来ていない以上、テザリングでテキストだけ更新して、麓に降りたとき写真をアップする、みたいな。ほんとうに面倒なんすよ。何にも云わないオレも悪いんだけど、都会から添付ファイルが送られるたび、俺っちは麓に降りて、金を払ってwifiに接続する、みたいな。だから今日はね、文章力だけで何とかしてみようと思ったんす。はい、あがいてますよー。でもさ、はっきり云うけど、オレ、blogって言葉がない頃からやってます。もうすぐ20年になるとは思う。でもね、大変なときは大変なんすよ。つまり、つ・づ・け・る・の・が、どれだけ難しいかってことです。オレが好きでやってることです。でもね、何となく分かって欲しいと思うときはあるかなー。イマジンしてくんないかなーと、思うときはある。距離感はいつだって難しい。そして大事。投げ出すのは簡単だから、嫌なのですよ。逃げないことによって得られるものは確実にあるとオレは思うのです。云ってること、分かる?

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プチ遭難 – 踏んだり蹴ったり への18件のコメント

  1. うっちゃん より:

    fighting Man!! don’t look back!!
    追い込まれるほどに、二律の魂が狼煙上げるのよー!!
    きっと、試みの谷は次につながるはずだぜー!!

    • うっちゃん より:

      今のHEATWAVE fanは、分かってる人が多いと思いますよ…
      二律背反のような中で、作品を生み出そうとするヒロシさんを…
      素直に言ったことばは、素直に聞こえますよ。今夜は…

  2. こびど より:

    人に何と言われようとも、ちょっと面倒臭く生きてみるのは、それはそれで結構楽しいッスよね(笑)。
    都心でも気まぐれ豪雨が続いてますので、道中お気を付けて‼

  3. ヒロキチワワ より:

    死なない程度に、ね
    大好きですから、ね

  4. りん より:

    生きて下界に戻られてひとまず安心しました!今は生ビール5杯で気持ち良く過ごしてるのかな?明日に備えてゆっくり休んでください♪
    面倒臭く生きるのも山で不便に生活するのも洋さんの言葉からは楽しさが伝わりますねって言ったら怒られそう(*´艸`)そんなブログを16年間続けてこれるなんて凄い!!愚痴や不満や怒りも含めて正直な洋さんのその時の気持ちをこれからも綴ってくれたら嬉しいです♪
    ただ…危機回避出来ずにライブの予定を吹っ飛ばしたら「死刑!」(こまわり君チックに)ですよ〜(∟`◇´)∟悲しすぎまーす!!

  5. りん より:

    あっ!ごめんなさい!ブログ20年ですね。凄いです本当に!!洋さんの気持ちのままに。

  6. 青空 より:

    「踏んだり蹴ったり」・・お疲れ様でした。
    長く生きてるとこんな事の繰り返しですよね。
    でも、面倒臭く生きてる洋さんを尊敬しています。

    「継続は力なり」
    いろいろ苦労しながらもブログで素敵な写真をUPしてくれて
    ありがとうございます。

    云ってる事・・すごくわかります。

  7. なおみ より:

    ちょっとした出来事に腹を立てたりへこんだりしておりましたが
    まだまだですね(笑)って人と比べる事じゃないけど。
    バーストする前にタイヤの不具合分かって良かったですね!
    道中まだまだ気をつけて~。

  8. 野崎洋子 より:

    洋,なんだか楽しそう!!!! 気をつけてお帰りくださいー!

  9. Froggy II より:

    サバイバルな日でしたね!そのあがきっぷりに、世界が終わっても原始人さんだけは生き残るような気がしました(笑) とにもかくにもご無事で良かった。
    自分が好きでやってることに文句は言えないから、ときどき辛くなりますよね。でも「辛い」「大変」っていう正直な気持ちを外に向かって言うのはすごく大事なことで(人間だから)、また言わないと伝わらないものです。(たまに察してくれる人もいるけどさ)自分に正直であるってことは、他人にも誠実であるってことじゃないかな、と。だから時々あがいて、ぶーたれる今日みたいな内容のblogは素敵だと思います。
    大変な思いをして更新してきた山での写真、ありがとうございます!

  10. 愛ぴょん より:

    すまぬ、イマジンできぬ、ばかやろーで。
    逃げない、投げ出さないことによって得られるものを蓄えて、たくましくならなければ!そう感じました。

  11. kumiko より:

    どんな逆境にも立ち向かう姿に必ず光の道 は出来ますね。そして意味のない事は起こらない。
    そう感じています。洋さん本当にご無事で良かったです。明日からの道中も気おつけて下さいませ。いつも有難う(^_-)

  12. 萩原晋也 より:

    分かる。

    そこが山口さんの長所であり、
    僕が信用足るとこだと思います。

    いつも、勇気をありがとう。

  13. きょーこ より:

    大変だったですね。でも生き生きしてるなぁ、って感じます。越えられない事柄はあたえられないともいいますしね。20年はすごい。いつもありがとうございます。山口さんの文章、好きです。

  14. まりぼう より:

    ご無事で何よりです。ブログ、もうそんなになるんですね!私もいつから読み始めたか忘れてしまいましたが、確かに昔はブログなんて言葉もなかったですね。続けることの難しさ、時々「わかって〜!」と思う気持ち、分かります。これからも毎日読ませてもらいたいと思ってますが、くれぐれも身体と気持ちにご無理のないように♪

  15. 甲斐 より:

    生きる事とは足掻きまくる事だと思った!

    アニキDon’t look back♪

  16. Yumiko Omori より:

    泣きっ面にくまんばち、って感じですね。(失礼)
    ご無事で何より。
    車での移動にこだわる洋アニキ、やっぱりかっこいいです!!

  17. 愛ぴょん より:

    無事にカエルことができたケロ?
    ヒロシさんが少しでも穏やかにすごされますように☆

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