日別アーカイブ: 2012年2月26日

続・陽はまた昇る

2月26日 日曜日 晴れ 「陽はまた昇る」はコロラドに始まり、コロラドに終わります。 大まかに云って、僕は誰かのようになりたいとは思いません。自分で居たいのです。だから、感じる力が弱ったなら、それで終わりです。そんな意味で、山はいろんなことを教えてくれます。自分の持っている能力すべてを使わなければ、僕のような技術で、怪我をせずに帰ってくることは難しい。決して無鉄砲なのではありません。突っ込むことと、撤退することは、同じくらい勇気を必要とします。それは実生活に於いても同じです。五感を研ぎすませて、その日の状況を感じようとします。新しい雪は重心を後ろにしなければ乗れません。氷の崖にはエッジを入れなければ、滑落するだけです。足から伝わってくる情報は大切です。ときどき雪の下には岩や木の根が隠れています。気を抜いたら終わりです。指は凍傷になりそうになります。決して濡らしてはいけません。自分に適した本物の道具を選ぶことも、大切なことなのだと教えられました。驚いたことに、値段が高ければベストだと云うことでもありませんでした。 ほんとうは、僕らが生きている世界も同じような場所だと思うのです。そんな感覚で世界を眺めてみると、いかにイカれているのかが見えてきます。一見、危険がない分だけ、山より遥かに危険です。これは僕に向けた言葉でもありますが、自分のことしか考えない人間、何となく時間がうやむやに解決してくれることを待っている人間、そして誰かに引っ張ってもらおうとする人間がどれだけ多いことか。威勢の良い市長が出てきたなら、政治家までなびこうとする。でも、ほんとうにそれでいいのですか?彼の心が何処を向いているのか、彼らはそれを見抜こうとしません。結局は私利私欲に動かされている。暗澹とします。 世界がつまらないと嘆くことは、自分が退屈な人間であることの証明です。政府が腐っていると罵ることは、ある種の自分の腐臭をまき散らしています。未来を創ることを阻んでいるのは、放射能にまみれた瓦礫だけではなく、この国にはびこる瓦礫化した精神です。 未来を創ることとは、ほんとうの自分を生きることだと、山は教えてくれました。自分を良くすることは、世界を良くする。その逆もまたしかりです。それが唯一、今の僕に云えることです。 3/12のライヴは混迷を深める「相馬の今」を伝えたいと思っています。決して、何も楽観できません。けれど、創造力で、人を信じて突破しようとする。そのような希望を描きたいと思っています。是非、来てください。

カテゴリー: 未分類 | コメントをどうぞ