ツアー16日目、青森県弘前市にて

7月1日 火曜日 曇り

昨夜、弘前でのライヴを終えて、東京へひた走る新幹線の中でこれを書いています。やっぱり新幹線は速過ぎるなぁ。隣でCHABOせんぱいはたぶん、サム・クックのDVDを観賞中。横顔が永遠の少年、年下ながら微笑ましいっす。

このツアー、あと一本、福島県相馬市での最終公演を残すだけになって、ようやく言葉を記したくなったので、残しておきます。

青森県弘前市。思い返せば、2011年の3月下旬。もともと弘前学園大学でのライヴが決まっていたのです。震災直後、殆どのコンサートが中止になる中、僕は滞在中のアメリカから、ライヴの主催者斎藤浩に電話しました。そのとき、彼はこう云ったのです。「オレたちが信じてきた音楽を今鳴らさなくて、いつ鳴らすんだ」。そのコンサートは急遽無料に切り替えて行われ、日本中から志のある友人たちが駆けつけ、自分が居るべきポジションにつき(能動的に)、たったひとつのiphoneで世界に向けて生中継されました。「募金箱」と漢字で書けなかった浩と洋たちが設置した「ぼきんばこ」に入っていた多額のお金の使い道を考えているとき、相馬からの電話が鳴ったのです。その男はCHABOさんと浩と洋の共通の友人で、同時にそれはMY LIFE IS MY MESSAGEが生まれた瞬間でもありました。

今回、弘前入りしたライヴ前日、映像の林さんから斎藤浩のアジト「ASYLUM」でインタビューを受け、先ほどホテルのロビーで、はるばる沖縄からやってきてくれた野田隆司くんのインタビューを受け、僕の頭の中は整理されていきました。人に語るって大事なプロセス。果たして、この3年、いったい自分は何をやろうとしていたのか?

世界と関わるほどに、僕はひとりになっていきました。それは孤独だけを意味するのではありません。具象としては独りだけれど、こころは独りではない、と云うか。たいせつなものはすべてこころの中にありました。うまく表現できないけれど。僕には批判しかしない人間を批判する罠にはまっている時間はなかったし、繋がりを求める人間と繋がった気持ちになっている暇はなかった。立ち向かうべき最強の敵は、たとえば安倍某ではなく、自分が作り出した恐怖であることは分かっていました。

僕とCHABOさんはたぶん、理不尽の向こう側にあるものを探しています。あと一本コンサートをやったら、それで何かが終わるわけでも何でもないけれど。まずは今回の完走を目指します。そして、いつもと同じように、溢れる情熱を持って、今日を生きようと思います。

身を削って我々をサポートしてくれたスタッフのみなさん。こころから感謝。足を運んでくれたすべての人に。こころから感謝。昨日、サインをしていたら「生まれてきてくれてありがとう」と云ってくれた人が居て、僕のその言葉をみなさんに返したい。この世界はほんとうは、みずみずしさと奇蹟に満ちているはずなのです。僕には21歳のメル友が居て、みずみずしい感性で日々のことを伝えてくれます。そんな彼女が世界を憂いているのを観て、まだまだ自分にはやれることがあると、奮い立つのです。

ありがとう。今日は自分のベッドで少し休みます。

今日、ぐっと来た言葉。

「世界はあなた自身の延長であり、世界は複製され、増幅されたあなた自身なのです。」

弘前入りしたライヴ前日、悪友、斎藤浩と彼のアジト、ASYLUMで。

弘前入りしたライヴ前日、悪友、斎藤浩と彼のアジト、ASYLUMで。

タテ・タカコと我々の主張をする。

タテ・タカコと我々の主張をする。

浩がヒロシのファイヤー・バードを弾く。

浩がヒロシのファイヤー・バードを弾く。

弘前の楽屋にて。

弘前の楽屋にて。

13本!

13本!

弘前、今夜もありがとう。

弘前、今夜もありがとう。

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ツアー16日目、青森県弘前市にて への7件のコメント

  1. こびど より:

    MY LIFE〜誕生前夜。
    居ても立っても居られず、そして余震に恐れおののきながら、東京から弘前公演を観に行った3年前の3月を思い出します。

    相馬までの道筋、どうか御自愛下さいませ。

  2. star cruiser より:

    楽しみにしていた弘前でのライブの当日。現地に住む友人と会い、切なくてやりきれない話を聞きました。でも、そんな気持ちもライブへ行ったらポジなエナジーに還元できる・そう思っていたのですが、私の好きなあの曲は朝食会場の歌になり(笑)、ちょっと残念でした。楽しいのは大好きなんだけれど、その時の私は朝食ぬきの、素の歌詞のままで聞きたかったのです。とっても。勝手だけれど。ユーモアを受け入れる気持ちの余裕がほとんど無かったんですね。
    今さらながらに気づいたことは聞き手のコンディションもけっこう大事なんだな、ということ。それと、自分はこれまでアーティストから何かを受けとることばかり考えてたから、オーディエンスとして傲慢だったなと反省しました。
    とはいえ、志ひとつにして突き進むお二人の姿には鼓舞されましたし、弘前から宇宙へとワープしたとき日常を忘れてハレの時間を体験することができました。そしてMLIMM誕生のエピソードに人の道や美しい底力を感じたりも。
    人は誰かの背中を見て成長します。音楽とそこに関わる真剣な一匹狼達の姿は、おそらく無意識に沢山の子狼を育んでいるはずです。またライブ行きます。心からありがとう。次の相馬でのライブに愛があふれますように。

  3. 松山 貴紀 より:

    素敵な夜、ありがとうございました。
    東日本大震災、身元確認作業のための登録をしたのですが私までまわってきませでした。何も出来ないやるせない日々を悶々と過ごし、それでも家族を取る自分がいて・・。昨年発生2年後にしてようやく現地に足を踏み入れました。名取市ゆりあげから北上し、石巻、南三陸、気仙沼、陸前高田・・1日車で走り続けました。震災直後に身元確認作業で現地入りした仲間の話やスライドを見、愕然とした思いを胸に、2年経った現地は・・瓦礫こそ片付いてはいたものの、全部消えてしまった町を見て、立ち尽くすだけでした。そんな時に震災後の女川を舞台にしたNHKのドラマ「ラジオ」というドラマの中で流れた曲が「満月の夕」でした。これが”山口洋”との出会いでした。目の前でじっくり歌った弘前でのライブ。忘れません。ありがとうございました。

  4. Y より:

    愛あふれる、チャボさんと洋さんの深遠なる魂の共演を観させていただいたように感じています。私の魂も震えました。音の持つ力、それを奏でる人のスピリッツを肌で感じられる最高のライブでした。また弘前にきてくださいね☆
    ありがとうございます。

  5. 長谷理恵子 より:

    アルバム毎日聴き続けて、繰り返し襲ってくる怖れに向き合う。本当にありがとう。こんなに臆病なまま 年老いていくだけだなんて、考えたこともなかった
    泣いてしまう、これが今の私そのもの。この臆病さ、ここからしか始まらない。
    命綱のアルバム、ありがとう。

  6. ジャスミン より:

    朝食会場、行きました。
    本当に素晴らしい時間でした。
    MY LIFE・・・のはじまりを直接山口さんから聞くことができたのは、とてもうれしかった。
    心が震えました。
    最近忙しくて、文字通り「心を亡くす」になってました。
    魂で奏でるメロディーを聴いて、山口さんに握手してもらって、自分が今生きてることの手触りを久しぶりに感じました。
    私は変わることができる、だからわたしの周りの世界を変えることもできるはず。
    自分の心を裏切ってはいけない。
    頑張ろうと、思いました。
    ありがとうございます。

  7. 愛ぴょん より:

    わたくすも臆病なくせに、傲慢で、手がつけられんー!でも、それをサクッとすくってくれる音楽がある ♪ ありがとう。

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