レコーディング航海日誌#053

9月15日 月曜日 晴れ

月曜日の朝。

僕の一週間は、ツアーに出ていない限り、ピーター・バラカンさんのラジオを聴くことから始まる。夢うつつのとき、二日酔いの朝、珍しく目覚めのよい朝、エトセトラ、エトセトラ。これまで、どれだけ一日の始まりにひかりを与えてくれたことか。音楽の素晴らしさを、その力をあらためて教えてくれたことか。

ピーターさんの選曲は云うに及ばず、MCの女性、稲葉さんの声の響きがとても好きだ。決して出しゃばらず、絶妙に番組を支えている。音楽と相まって、今日もいい一日にしようと思わせてくれる。

今朝の放送で、今月限りで番組が打ち切られると聞いて、一瞬我が耳を疑った。毎日、素晴らしい音楽を、情熱を込めて流してくれ、それが当たり前だとは思っていなかったけれど、これだけの番組が、こうも簡単に終わるとは思っていなかった。そのくらいにはこの局のポリシーを信じていたのだと思う。

けれど、実状はそうではなかったことが、決して特定の誰かを傷つけることのないように細心の注意を払いながら、蜂のひと刺しのようにピーターさんが放った言葉からうがかい知れた。そして彼はジョニー・ウインターの「It’s my own fault」をかけた。きっとあなたのfaultではないだろうに。

民放なのだから、聴取率にこだわることが理解できない訳ではない。けれど、その上で。失ってはいけないたいせつなものがあるはずだ。誠実さだったり、音楽への愛だったり、人を信じることだったり、多様性だったり。

もらってばかりじゃ嫌だ。嘆く暇があったら、自分の現場でベストを尽くそうと思う。より世界が多様性で満ちるように。あの番組から勝手に受け取っているメッセージは、僕にとってはそういうことなのだから。

今朝のことがなければ。今日録音されたトラックとは違う演奏をしたことだろう。そんな風に人と人は影響しあって生きている。

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自由とは心の状態である。それは何かから自由であるということではなく、自分が今自由であると感じ、すべてを疑い追求し、徹底的に積極的に、そしてたくましく生き、あらゆる形の依存心や隷属状態、服従、受容をかなぐり捨てて生きようとすることである。 by クリムシュナムルティー

鳥瞰の写真が欲しいとデザイナーに云われ、探してみた。

鳥瞰の写真が欲しいとデザイナーに云われ、探してみた。

これは日本ではないな。

これは日本ではないな。

確かにこんな気分ではある。

確かにこんな気分ではある。

画架のような窓のある部屋でご飯を食べた。

画架のような窓のある部屋でご飯を食べていた。

 

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レコーディング航海日誌#053 への1件のコメント

  1. 奥村徹志 より:

    闘志を抱く人って
    決して、
    とんがっていない
    のかもしれない

    山口さんの
    闘争に感じます

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