レコーディング航海日誌#064~066

10月2日 木曜日 晴れ

去る9月30日、深夜。最後の曲のトラックダウンを終えた。ここで気を抜くと、一気に熱が出たりするのが分かりきっていたので、まったく気を抜かなかった。LIFEは学習だ。笑。

翌日は東京駅に隣接するホテル(昔は好きだったんだけどなぁ。リニューアルするとどうしてこうなるのか?)で打ち合わせがあり、何だか浦島太郎になったような気がした。オシャレだけど、ぜんぜんこころが動かない。何もかもがあるけど、何かがない。

トラックダウンが終わったと云っても、各曲に対してできることをすべてやり終えただけで、曲順を考え、並べてみると印象はがらりと変わってくるものだし、手直しも必要になる。

アルバムの曲順をすんなりと決められたことはかつて一度もなかったのだが、今回は速かった。過去最速。

理由は簡単。もはや自分の表現欲で作品を創ってはいないから。今までの作品でいちばん客観的に作業を進めてこれたし、実際そうでなければ、途中で頓挫していたと思う。好きなこととは云え、道程はかなりハードだった(終わってないけど)。見知らぬ誰かの日々でどう響くか。考えていたのはそれだけ。「見知らぬ誰か」はあまりに漠然としているので、仮想の人物を数人仕立てて、その人のこころにどう響くのか、ずっと考えていた。そのうち仮想の人物のこころが読めるようになってきてヤバかった。そして頼りになるのは自分、ただひとりだけだった。孤独だったが、それも良かった。わんわん。

とはいえ、主観と客観の行き来は、度を越すと脳味噌が麻痺してくる。そして、かなり度は越していた。なので、仕事場の机の上は「標語」だらけになっていった。その内容は夢がなくなるから秘密ってことで。でもその「標語」がなければ、迷子になっていたことは確実。

この3年間。スーツを着てスポンサーを獲得したり、子供たちのために外国との架け橋になろうとしたり、大きなイベントを開いてみたり、冊子を作ってみたり、エトセトラ。ミュージシャンである前に人間なのか、エトセトラ。

僕は気づいたのだ。自分が一番エネルギーを持ちうるのは音楽だ。だから、そこに没入する。そしてそれが許されるときが来たはずじゃないのかなぁ。

曲順を決め、ipodにミックスしたものを入れ、初めて外で音楽を聴いてみた。日常のなんでもない風景が愛おしく見える。ときどきぐっと来て泣けた。つまり作者本人のある日のサウンドトラックになっていた。作ってよかった。報われつつある。

そして、相当数の手直しが必要なことも分かった。もはや残された時間はわずか。耳も限界に近づいてる。でも、僕は楽天家なのか何なのか、ピンチになるといつもこう思う。いつも宇宙と会話しているから、偶然なんてないことは知ってる。この音楽が世界に必要とされているなら、僕は最後までやり抜けるし、そうなることになっている。はず。

さぁ、blogを書いている暇があったら、スタジオに戻ります。もうちょっとだから、待っててね。

今回はバンドの4人だけで創っています。デザインは渡辺圭一が、マスタリングは細海魚が。間違ってもケチったんじゃないです。そうやりたかったんです。圭一からデザインが送られてきます。もう30年以上の付き合いになる奴のデザインと、僕がまとめている音。そのフォーカスがだいぶ合ってきた感じです。

もう少し走ります。待っていてください。

ついしん

食事を作る時間がなくなり、近所で外食していたら、鼻に巨大なできものができました。明後日は大好きな横浜サムズアップでライヴなのですが、こりゃー治らないっす。てな訳で、期間限定、できものロッカーも観にきてね。わんわん。

遂に昼間に走る時間がなくなったので、合間を観て夜に。いつもの道は真っ暗で危険なので、最近はこういう風景です。

遂に昼間に走る時間がなくなったので、合間を観て夜に。いつもの道は真っ暗で危険なので、最近はこういう風景です。

これはこれで悪くないっす。

これはこれで悪くないっす。

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レコーディング航海日誌#064~066 への3件のコメント

  1. kan より:

    すべて時にかなって美しい、ですね。
    新しいアルバム、楽しみにしています。

  2. 玄武庵 より:

    山口で地獄の不滅アワーを聞いてからはや24年。カセットテープで録音して、擦り切れるまでラジオ放送を聞いておりました。夜中にふと思い出し、サイトを拝見させていただきました。今では音楽そのものをさっぱり聴かなくなりましたが、未だに「千の夜」などを時々口ずさんでおります。福岡の片隅で、御活躍をお祈り致します。

  3. まりぼう より:

    巨大なできもの…!残念ながら観に行くことはできませんが(泣)、くれぐれもお大事に。

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