Recording day #002

5月26日 金曜日 雨

新しいアルバムが出たばかりで、ほんとうは心血注いで創ったアルバムをプロモーションしてたくさんの人に聞いて欲しいんだけれど、時間は待ってはくれない。そして身体とこころはひとつづつしかない。悔しい。

みんなのアンテナに引っかかったら、ゲットしてちょー。よろしくね。

いわゆるCDが売れないってのはほんとうの話で、アメリカに行ってみればよく分かるけど、CDなんて売っていない。まして、アップル製品にCDのスロットはないのだから、ユーザーが買う訳がない。

そんなこんなで、アルバムを創る予算はいちばん潤沢に資金があった時代の20分の1くらいに圧縮された。で、なおかつクオリティーは上げるという離れ技をやってのけなければ、バンドは継続できないってのが現実。かなり厳しい。マトモに頭が働く奴なら、こんな稼業からは撤退した方がいい。

でもね、こうなってくると燃えるんだね。こんなことに左右されてたまるかって「意地」もロックンロールだとオレは思うんだよね。この状況で夢を語れるのがロッカーだよ。暗い顔してんのは嫌いだ。ぜんぜん負ける気しねーし、気高くありたい。いや、マジで。

劇的に少ないテイクで「ピーク」をつかまえる。それがオレの仕事。バンドは個性的な人間が揃っていて、バラバラなベクトルだから、あの音が出るんだけど、そのピークをつまかえるのはほんとうに難しい。狙ってできることじゃない。でもやらなきゃいけない。だから、密かにいつだってスナイパーみたいにオレは狙ってるよ。みんなの動向見てるよ。そりゃね、自然に任せてるのが一番だけど、そんなことしてたら、このバジェットでいいものなんて100%できないんだから仕方ないさ。

スタジオに来る道の渋滞にも、気候にも、気圧にも、誰かが彼女と喧嘩したことも、ありとあらゆることが音楽に作用する。タイミング悪く誰かにかかってきた電話とか、さ。だからオレはスタジオに居るときはiPhoneなんて一切見ない。かかってきてもシカトする。この瞬間に賭けてるんだ。

まぁ、そんなこんなで、昨日はミラクルだったけれど、今日はそうでもなかった。ちょっと追い込まれた。厳しい闘いだけど、まだ勝負は終わってない。オレは必ずピークをつかまえる。それが仕事だからね。とっても疲れたけど、生きてるって感じがするよ。

すごいんだよ。

としか言いようがないんだよね。ドラマーはエンジンで魂の柱。

それをこのマイク一本で狙うエンジニアの気持ち。

ピークを狙ってるわたしの居る場所。

仲間を信じるってのもたいせつな仕事。

あんた携帯捨てたらって云いそうになるけど、それも彼の個性。そこからのピークだよ。

 

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Recording day #002 への5件のコメント

  1. ファンタグレープ より:

    ライブでの写真も良いんだけど、なんかこういうHEATWAVEの新しい写真が見れるのが嬉しいですっ

  2. Masako より:

    カッコいい雰囲気、そのままHEATWAVE。
    レコーディング、頑張ってください!

  3. 駒形 より:

    今日、店(飲食店)でcarpe diem かけた。お客さんの反応良かった。この音楽、誰?って普段は聞かれないけれど今日は複数名に聞かれた。この音楽、本当に素晴らしい。この世のものと思えないほど、キラキラと輝いている音の粒、繊細で美しい、この音の粒を山口洋の汗で繋ぎあわせる音楽。だから男臭い。(褒めてます)そして唯一無二。陽光がこの作品のハイライト、この曲 続life goes on 、凄いカッコいいね。ありがとう山口さん

  4. まこと より:

    「今を生きる」心身を解き放ってくれています。
    日によって響いてくる曲は違いますが、飛んでいきたい気分の時は「Blind Pilot 」、ロックに揺れたい時は「Street Wise」みたいに。
    歌詩を読んでいると、気持ちがスッとする言葉にたくさん出会えます。うん、そうだよねって。ありがとう、山口さん。

  5. エビヌマタイスケ a.k.a BlindboyT より:

    遅ればせながら、やっとニューアルバム、聴けました。
    山口洋が 音楽的影響を受けた先人に向けた、
    永遠に 終わらない謝辞を 弁当箱に、ぱつんぱつんに てんこもりに 詰め込んだ”street wise”が ベストトラックです!

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