再読とコンプライアンス

4月22日 土曜日 曇り 

 コンプライアンスなんて企業や役所の「エクスキューズ」でしかないと思ってる。じわじわと生きづらい世界になっていく。ステージに立っていたって、コの最中には「あのお客さんを注意してください」的な紙がイベンターから回ってきたりする。そう思うなら、お前が言えよ!と思う。んなもん、オレが若い頃なんて、ステージにあり得ないものが飛んできてたりしてたわい。

 とかく生きづらい。でも、読者も、オレも、だけど。自分が自分であることを保ってほしいと切に思う。

 デビューした頃も、とっても生きづらかった。端的に書けば、居場所がなかった。音楽は自由を目指してやるものだと思ってたけれど、その真逆だった。

 オレを救ってくれたのはNYの街。たまらず逃げ出したあの頃のNYはすべての個性を受け入れてくれた。どんなに突飛なやつだって、認めてくれるだけの器があった。やっとこさ息ができた。今はもうTOKYOと変わらないだろうけどね。
 

 危惧してるのは今の子供たちについて。幼い頃からマスクと黙食を強要され。すごいストレスが溜まっているだろうと想像する。そんな時、広島市の教育委員会が「はだしのゲン」を平和教材から外した、と。

 嘘だろ、と思った。随分前に読んだけど、生きることの素晴らしさとタフさ、平和の尊さと失ってはいけない反骨心を教えてくれる名著だったさ。

 なにが問題なのか。ひょっとして、オレが記憶を捏造してる可能性があったから、全巻買って昨日、一気読みしてみた。

 不変で普遍で不偏の名著だったよ。

 何が問題なのかって、たとえば栄養失調で苦しんでる母親になにかを食べさせようと池の鯉を盗んだりするシーンがコンプライアンス的に、なんだってさ。苦笑。

 こんなやつらが教育委員会にいる時点で終わってると思う。しかも広島だよ。当時、どんな状況か、生きるか、死ぬかって状況の中で母親に鯉を食わせてやりたいって、その心象がこどもたちになにかを考えさせるわけじゃん。

 オレは広島にも長崎にも沖縄にも、たくさんともだちがいる。普段はアホだけど、やつらのこころの中にはしっかり戦争の記憶がある。それは親と周囲が素晴らしかったんだよ。語らずとも、脅迫せず、伝えたんだと思う。それが大人の役目だと思うんだよね、、。

 「はだしのゲン」。誰か子供に読ませたい人がいたら、全巻差し上げます。住所、名前、欲しい理由を書いて、hw.noregrets@gmail.com まで。

 じゃ、秩父に行ってきます。

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再読とコンプライアンス への6件のコメント

  1. かまを より:

    浪曲でお金を稼ぐ場面も削除されたとかで、、こっちは何で?という感じでした。
    けっこう達者でウケも良かったような?何も盗んでもいませんし。。

  2. 甲斐宣嗣 より:

    山口さん、自分も読み直してみようと思います。

    全巻差し上げるとの事ですが、お住まいになられている「児童養護施設」に寄贈するのはいかがでしょうか?

    多感な時期のお子さんに読んで頂き、【生きる】強さを与えてあげられるのではないかと思いました。

  3. 甲斐宣嗣 より:

    書き損じでしまいました。

    お住まいになられている地域の「児童養護施設」です。

  4. fujiiku より:

    私の小学校の学級文庫(今もあるのかな?)に「はだしのゲン」がありました。
    学校が提供したのかまたは級友がもち寄ったものか今となってはさだかではありませんが休み時間などに読んでいた記憶があります。今思うとよい環境だったのかもしれません。明日は私の住む区の選挙に行ってきます。少しでも良い世の中になるように一票したいと思います。

  5. ポレポレジャスミン より:

    恥ずかしながら、「はだしのゲン」の存在と大まかな内容は、大人になってから知りました…。なので、先ずは自分で購入して読んでみようと思います。
    私も若い頃、生きづらかった人間ですが、最近の世の中の流れは、根本的に自分と何か違うと感じることも多いです。
    日本の戦争体験者が少なくなってゆく中、こんな世の中で子どもたちに戦争の悲惨さ等々、どう伝えてゆくか…。
    私達、大人の責任でもありますね。
    便利さを追求するあまりに、大切なことも失われて行ってる気がします。

    秩父のイベント、素晴らしいものになりますように。

  6. ひとし より:

    誰かに強要されるでもなく学級文庫にあった「はだしのゲン」を
    僕も自然と手にしていました
    「読む」とは程遠い「見る」程度のものだった気もします
    にもかかわらず不思議な位「あの場面」や「この場面」が
    40年前(!)とは思えない程鮮明に記憶に残っています

    ”コンプライアンス的に問題アリ”は表向きの言い訳で
    「あの人達」の切望する「戦える国」にする上で
    「はだしのゲン」が邪魔だったので排除したという
    いかにも「あの人達」らしいそういう話なのではないかと▪▪▪

    そう思っていたのですが▪▪▪

    近頃の世相を見ていると
    本当に本気で「はだしのゲン」が盗みを助長すると考えて
    ヒステリーを起こしている人達が存在するのかも▪▪▪
    という空恐ろしさを感じずにはいられません

    ジェネレーションギャップとかそういったものではなく
    根本的に「何か」が違っていると思わされる人達を見ることが近年多くなった気がします

    気のせいだと良いのですが▪▪▪

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