負け戦に挑むこと = Last POLARSTAR

3月2日 日曜日 晴れ

2025年。なんでこんなに慌ただしいのかというと。負け戦に挑んでいるからである。笑。どの道、勝ち目はない。でも、忙しいとは書きたくない。こちらにも意地があるから。

新しいアルバムを制作するってことは、時代が変わってそんなことになってしまった。考えてもみてほしい。プレイヤーはPCにとって代わり、今やPCにCDのスロットはない。サブスクの時代になって、音楽はほぼタダで聴けると思われている。おまけに動画までプロモーションと称して無料で見ることができるとな。

アホなのか。

制作費はどんなにがんばっても全盛期の20分の1くらいしかかけられない。でもクオリティーは上げなければならない。んなもん最初からどう考えても無理なのだ。

いつだって、一握りのニンゲンの思う壺。儲かってるのは誰かって?トランプににじり寄ってるような連中だよ。でもね。こちらもただ殴られ続けているわけにはいかない。おととい、とあるレーベルの長にあったなら、若いミュージシャンが「アルバムなんて出したって誰も聞かないじゃないですか」とのたもうところを、なだめてすかして、「プロモーションのために」と説得してだしていただくのだ、と。ははは。

ままよ。時代が変わるのはよかろう。それは否定しない。でもね、いつだってそう思うんだけど、右向け右の世の中が怖い。世界はいろんな考えに満ちているべきで、多様性こそが文化なのに。

だから、ロートルと言われようが、それに屈したりはしない。最後の一匹になっても、あいつらの言うことはきかない。

ツアーもライヴもいつもそう思ってステージに立っているけれど、バンドでの新しいアルバムの制作もたぶんこれが最後になると思う。気づいていないかもしれないが、あなたが応援しているあのバンドも、もう新譜を出すのは難しいと思う。それでも出しているならば、相当の覚悟を持ってリリースしていることを知ってもらいたい。それは「アルバム」という概念に育てられた我々の世代の音楽に対する恩義で、意地でもあるということを。

あの老舗の名店がひっそりと時代に押されて消えていくのを、あなたもたくさん目にしてきたと思う。失ったなら二度と戻らないことも。今や、「バンド」もそういう存在なのだ。

むろん、新しい曲を書くことはできる。でも、リリースの形態はオレの弾き語り作品になるかもしれないし、新譜はライヴ盤のみって形に変化せざるを得ない。スタジオは次々とつぶれ、世界はコンピュータで作られた人口的な音で埋め尽くされる。でも、それを選んだのはニンゲンだから、仕方ないのだ。

たとえば我ら零細NO REGRETS社、DIY、インディー精神でやれることをマキシマムにやる。正月にアホみたいなセールをやるのも、年末のツアーのライヴ盤を最速でリリースするのも、ウルトラ自転車操業の資金を確保し、循環させてアルバムを創るため。それが回っているうちはなんとかなるから、最後まで諦めはしない。

2004年だったか。クラウドファウンディングという言葉がない頃から、やがてこうなるのはわかっていたから、「ニューアルバム・プロジェクト」というやつを立ち上げて、クラファンのようなことをやってみた。実際それは割とうまく行ったのだが、やってみた結果、自己資金がないのであればアルバムは創るべきではないという結論に達した。だから、クラファンのようなものをオレは好まない。他力すぎる。

風前の灯。だからといって悲壮感が漂っているか、と聞かれたら、そんなこともない。

どうしてって、HWのバンド人生はいつだってそうだったから。常に崖っぷちの45年。よくやったと自分でも思う。「死して尸」とうに覚悟はできているから、こんなことでビビりはしない。ただ、バンドの新譜をレコーディング作品としてリリースするのは限界に近いのではなく、限界だ。

いつだったか、アマゾンの素人レビューで我らの新譜が高すぎるって匿名のものを見た。高いと思うなら、買わなきゃいいだろって、マジで頭に血が昇った。お前になにがわかる?でも、こういう無責任な発言も力に換えるのだ。

名曲を書こうなんて思ってもいない。たくさんいい曲を書いてきたよ。死ぬまでそれを順繰りに演奏したって、別にそれでいいじゃん。でも、この混迷の時代をともに生きる人が元気になってほしいとこころから思うから。新しい曲を送り出したい。最後のアルバムはシンプルなやつがいいと思ってる。それは音楽を愛したオレたちからの応えだよ。

負け戦に挑むこと = Last POLARSTAR

希望をもって、そこに進め。

今月は遂にソロツアー、リハーサル、HW SESSIONS、レコーディングと動きだす。あなたの声援は風になって背中を押してくれる。いけるところまで行くから、よろしくね。

まずは昨日アナウンスされた

HEATWAVE OFFICIAL BOOTLEG SERIES #012 / 20241226
“Looking for the POLARSTAR”

をゲットしてくれたら嬉しい。ほんとにこころを込めて創ったよ。

 

 

なんだか、ずっと伝えるかどうか考えてたけど、伝えてよかった。とってもすっきりした。明日からバンドのリハーサルなんだ。思いきりやってみるさ。(沖縄風に)決して悲壮感なんて漂ってないから、ご安心を。逆境の中からしか、いいものなんて生まれないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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負け戦に挑むこと = Last POLARSTAR への11件のコメント

  1. 萩原晋也 より:

    山口さん
    おはようございます。

    決意受け止めました。
    最後のアルバムなんて言わないで欲しい。
    リスナーをもっと信じて欲しい。
    HWを必要としている人は多いと思います。
    今の山口さんの流れは音楽制作の賛同者を
    産み出すと思います。

    自己資金に拘らなくてもいいじゃないですか。
    みんなが音楽を求めているのなら。

    僕はHWを死ぬまで
    応援します。

  2. Sayumi より:

    価値観は人それぞれだから仕方ないですけど、山口さんの歌に出会えてその魅力を知ってる私はなんて幸せなんだろうと、CDを聴くたびに思います。
    苦学生だったので昔はCD1枚買うのがなかなか勇気いりましたが、あの時バイト代でCDを買って毎日聴いていたのもいい思い出です。今なら安すぎると感じられるほどになったのも自分の成長を感じます!笑

  3. ひではる より:

    たった今、ブートレッグ#12を予約注文しました。
    高校生の頃の方がお金がなかったのに今より沢山、レコードやCDを買ってたのが不思議です。田舎の子供だったので服よりもレコードを買うことに心血を注いでたのもあるのかもしれませんが大人になると水道光熱費に家賃と支払いも多く弱小企業に勤めてると生活保護のよりも質素な暮らしをしてる人も多いと思います。多分…
    そんな爪に火をともす暮らしをしてる人が暮らしの彩りにとレコードやCDを買ってるのだとしたらミュージシャンとして何よりも嬉しいでしょうね。

    シグマの新しいカメラが発売されます。
    フルサイズとはいえ高いです。その値段出すなら他のキャノンやソニーの方を買った方が安心でしょうし、何より品質を落とせばもう少し安く出来るのになと思いましたが、そこは良いもの、革新的な物を作るぞと言う心意気で妥協出来なかったんだろうなと思います。
    流石にそれをわかってても買いたいと思いつつカメラは買えないですがCDは多少高くても良い物だと思えば買うので値段はそんなに気にしないで頑張って下さい!

    街を歩くと幼い頃に慣れ親しんだ建物が次々に消えてます。
    立て替えるのは持ち主の自由ですけどね、なんだか知らない無個性な街になっていくのが寂しいです。
    今の子供たちが大人になった時、街を眺めてふっと子供の頃を思い出したりするのかなと…

    最近は若い子の作るアルバムもCDとして購入したりしてます。アルバムという形態はずっと残って欲しいですよね。
    なんだかあちらこちらに話が飛んで、すいません。

  4. のり より:

    今朝注文しました。
    全然ライブに行けない身としてはとても楽しみな作品です。
    HWのアルバムは絶対買ってます。
    小遣いも減って苦しいけどお互い踏ん張りましょう!(笑)
    絶対買うマンはいつも応援してます♪

  5. ハートロッカー より:

    俺とヒートウェイヴの歴史なのだ。ん?

    皆んなイラチっす。気軽に手に入りやすくなった?違うね。
    そう見えるだけ。映画は倍速で観て。音楽はどんどんスキップ。皆んな洗脳の様に同じ様な曲ばっかり聴く事になる。

    そんな聴き方したらヒートウェイヴに出会え無い。ふっん!ざぁまあみろってんだ!
    俺に取ってはもうヒートウェイヴはビートルズなの。名もなきバンドとしても。

    ずっと残って来てる。継続ってのは凄いんよ。それには時には我慢が必要なんよ。我慢の先にある何かの為に‥‥
    演者と消費者との信頼がガッツリと強固そこはプライドやけん。

    そんなヒートウェイヴをこれからも‥‥よろしくよん。
    新譜は会場でゲットするかんね。

  6. ファンタグレープ より:

    馬鹿だなぁーって思われるでしょうけど、お気に入りのアーティストさんの新しいアルバムを買ったら(誰も見てないところで)一度そっと抱きしめるのが昔からの癖でして、お気に入りのアルバムは部屋に飾ってるし、たまに手に取って見つめるし、そういうことを当たり前にしてきたので、アルバムがリリースされなくなるととても寂しいです… とはいえ僕が思ってるよりずっとそういうのが厳しい時代になって来てるのですね… 今の若者がどんな風に音楽を聴いてるのか知らなかったのでびっくりしてます… あと気持ち悪いコメントてごめんなさい…

  7. fujiiku より:

    3/12会場で購入します。私もいけるところまでHWを応援いたします!

  8. sanemoto1979 より:

    HEATWAVE同い年の45歳【今年46歳】です。
    山口さんの覚悟見ました、最後の作品待ってます。
    そして、娘と一緒にライブ行くのが私の夢です。まだ10歳と5歳の娘2人ですが、いつかHEATWAVEをライブでと思ってます。
    HEATWAVEの新作を親と娘で一緒に聴けること本当に楽しみにしています。

  9. さだ より:

    デザインやパッケージも含めての作品を楽しみたいのでいわゆるサブスクや配信というものはよくわかりません。時代の流れなんでしょうけど…
    山口さんから「最後」という言葉はやはりショックを受けましたが、引き続き新しい曲やライブなどでインスピレーションや元気や勇気を貰えることを期待し、聴き続けて応援し続けます。
    Still Burning_Liveありがとうございます!
    リクエスト受け付けてないとは思いますが、ソロツアーで爆音で聴けたら嬉しいです♪(ネオンホールに行く予定です)

  10. 耕太郎 より:

    読んでいて涙が出てきた。
    趣味で音楽を作っています。10曲できたらタイトルをつけてアルバムにします。友人に5枚くらい配って終わりだし、誰も待っているわけでもないけれど、おそらく身体が動かなくなるまでやめないのだろう。先日も書きましたが、シーケンサーにMTRの宅録なので、いつかは生の音でアルバムを作りたいなぁなんて思っています。
    時代に抗うのがロック。時代に寄り添うのもロック。
    ニューアルバム、正座して待ちます笑

  11. tatsuo より:

    今日のブログに返事する言葉が見つからない。まとまらない、、でもこれだけは言う。聴くために買います。

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