確かな未来と希望、熊本県大津北中学校にて

12月11日 日曜日 曇り

あの日から1年と8ヶ月。僕は阿蘇にほど近い、熊本県大津町にある大津北中学校に居た。まったく、受けとったものが凄すぎて、何から書き始めればいいのか。でも、これだけは最初に伝えておきたい。

僕は本気の中学生たちに、確かに未来と希望を見た。ほんとうに見た。ダメなのは我々大人だ、ほんとだぜ。

彼らがここまで本気を見せてくれたのだから、僕もそれに応える。このblog史上最大に長くてクドいものになったとしても、許してくれ。そして、遠く離れた九州の中学生たちが、福島の人たちを本気で思いやっていることが伝わったなら、それを誰かに伝えてくれ。

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事の次第を手短かに。

今年、数ヶ月かけて、MY LIFE IS MY MESSAGE TOURを独りで全国37カ所廻った。それは福島県相馬市の今を伝えるためのものだった。熊本公演。この学校の先生と福島から避難してきているお母さんが見に来てくれた。お子さんはこの中学に通っていた。

先生とお母さんは僕のライヴで受けとったものを子供たちに伝えた。生徒会長であるコウヘイを中心に「相馬に何が出来るのか」話し合って、全校集会で僕を呼ぶことを決めた。それからは給食の時間に「満月の夕」が校内放送で流れ、その曲は全校生徒が知るところとなった。

コウヘイは僕に熱いメールを書いてきた。おそらく極度の緊張をしながら。僕は偉そうにこう書き戻した。「たぶん、このコンサートを実現させるのは、君たちにとって途方もないことだと思う。ひとつだけ約束して欲しいのだけれど、ぜったいに諦めないで欲しい。そして出来るだけ大人の力を借りずに、自分たちで力を尽くして欲しい」。まったく大人って云うことだけは偉そうだぜ。反省。

彼らはその約束を果たしたどころか、こちらが腰を抜かすくらいの情熱でそれに応えてくれた。僕も元不良の手前、彼らの前で涙を見せずに居るのが精一杯だった。

彼らは行ったこともない福島県相馬市のことを本気で思いやっていた。自分のこととして心を痛めていた。信じられる?自分が中学生だった頃に、そんなことが出来たとは到底思えない。
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だいたい。今日は日曜日だよ。なのに、どうして全校生徒、すべての教職員の皆さん、おまけに親御さんたちまでが揃っているのか。僕はこのプロジェクトを続けているうちに「休日に教職員を動かすのは無理なんですよね」という教育関係者の言葉を何度も聞いたことがある。

きっかけを作ったのは大人。でも、そこから先は中学生たちの情熱が大人を動かした。ここに立ち至るまで、どれほどの苦労があったのか?でも、彼らは諦めなかった。
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会場である体育館には巨大なモザイクの絵が貼られていた。3年生たちが2週間かけて制作したのだと。相馬の野馬追と満月のコラボレーション。近寄って見てみる。それはビラやチラシで出来ていた。彼らはお金をかけずに、情熱でそれを成し遂げた。こみ上げてきたものをこらえるだけで精一杯だった。

彼らが発行している壁新聞には、被災地への想いが綴られていた。彼らだって、この夏の豪雨は大変だったのだ。阿蘇では多くの人が亡くなった。自分たちの街の被災と同じ想いで、福島のことが綴られていた。中学生だぜ。信じられるかい?

楽屋には女子中学生が作った食べ物が用意されていた。美味すぎて、痺れた。親御さんの年齢を聞いてみる。殆ど僕と同年齢。つまり、僕の息子や娘みたいなものなのだ。

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嗚呼。書き出したらきりがない。あまりにクドいのもどうかと思うので、彼らの想いは写真でも語ってもらうことにしよう。

校長先生の挨拶で、コンサートが始まった。地元の太鼓の演奏が素晴らしかった。隣で見ていた先生が僕にこう云った。「あの子たち、授業中にぺちゃくちゃ喋ってばっかりなんですけど、あんな真剣な顔して演奏してるなんて知りませんでした」と。

続いて、全校生徒と各クラス、各部活動、全教職員、校長先生まで登場して「満月の夕」を歌うヴィデオが流された。これはヤバかった。直視すると涙が垂直に出そうだったが、観ない訳にはいかない。中学生がこれを創るのに、どれだけの労力を必要としたのだろう。この映像を相馬の子供たちが見たら、どれだけ力をもらえるのだろう?ほんとうにありがとう。

相馬からやってきたモリタが生徒会諸君と対談をした。彼もまた、中学生の情熱に度肝を抜かれていた。生徒たちは深刻な話も、自分たちのこととして受け止めてくれていた。それがほんとうに嬉しかった。

さぁ、いよいよ僕の出番だ。大人の本気を観てもらわないとね。これで燃えなきゃ、九州男じゃないぜ。いちおう先輩だし、オレ。でも、ここに多くを記すのを止めておこう。中学生たちの心に何かが届いたのなら、それでいい。そして受け止め方がそれぞれに違っていても、それがいい。ただひとつ、みんなで一緒に歌った「満月の夕」。素晴らしい体験だったよ。忘れられん。音楽を続けていて良かったよ。

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もはや、どうやって受けとったものを咀嚼していいのか不明。でもね、これだけは伝えておくよ。君たちの想いは確実に相馬市の子供たちに届ける。方法はこれから考える。君たちは僕ら大人に強烈なメッセージとエネルギーをくれた。君たちには何の責任もないのに、心を痛めさせてごめんな。こんな世界にしたのは僕ら大人のせいさ。だから、これからも毎日を精一杯生きる。この世が生きるに値する場所だってことを、人は信じるに足りる生き物だってことを証明する。そして、君たちが示してくれたのは、ほんものの希望で、そして未来だった。

心からありがとう。君たちのことは一生忘れん。小遣いためて、いつかライヴに来てくれ。僕もひょっこり遊びに行く。僕には子供が居ないんだけどさ、とつぜんたくさんの息子や娘が出来たみたいな気分だよ。

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末尾ながら、子供たちを絶妙な距離感でサポートして下さった、教職員の皆さん、親御さんたち。ほんとうにありがとうございました。

大津北中学校全景。

大津北中学校全景。

観よ、この巨大モザイク。

観よ、この巨大モザイク。

壁新聞に心打たれた。

壁新聞に心打たれた。

生徒達が創った今日のパンフレット。街の印刷屋さんは無料で協力。子供たちの情熱に大人たちが応えた。

生徒達が創った今日のパンフレット。街の印刷屋さんは無料で協力。子供たちの情熱に大人たちが応えた。

マネージャーの身体と比較すると、このデカさが分かってもらえるかな?

マネージャーの身体と比較すると、このデカさが分かってもらえるかな?

良く観ると、使い古しのビラなんかで出来てるのです。

良く観ると、使い古しのビラなんかで出来てるのです。

募金まで。泣。

募金まで。泣。

先生方もメッセージを。

先生方もメッセージを。

ひとつひとつに愛がこもってた。

ひとつひとつに愛がこもってた。

校内には「満月の夕」の歌詞が貼られていた。

校内には「満月の夕」の歌詞が貼られていた。

どんな苦境にも負けず、みんなを引っ張った生徒会長コウヘイ。ブラボー。

どんな苦境にも負けず、みんなを引っ張った生徒会長コウヘイ。ブラボー。

地元のテレビ局RKKが取材に来てくれました。火曜日午後6時15分からの『夕方いちばんニュース』の中の特集コーナーで放送されます。ラジオでの放送スケジュールは追ってお伝えします。

地元のテレビ局RKKが取材に来てくれました。火曜日午後6時15分からの『夕方いちばんニュース』の中の特集コーナーで放送されます。ラジオでの放送スケジュールは追ってお伝えします。

1998年生まれの女の子たちが作ってくれた昼ご飯。14歳にして、何故に母の味。

1998年生まれの女の子たちが作ってくれた昼ご飯。14歳にして、何故に母の味。

生徒、先生、親御さんたち。一体となって相馬を応援してくれました。

生徒、先生、親御さんたち。一体となって相馬を応援してくれました。

校長先生の挨拶でスタート。

校長先生の挨拶でスタート。

太鼓チーム。素晴らしかった。今度、一緒に演奏しよう。

太鼓チーム。素晴らしかった。今度、一緒に演奏しよう。

オレの本気を受けとってくれ。福島を想う気持ちは君たちと同じさ。

オレの本気を受けとってくれ。福島を想う気持ちは君たちと同じさ。

君たちに会えたこと、ほんとうに嬉しいぜ。

君たちに会えたこと、ほんとうに嬉しいぜ。

みんなで歌った「満月の夕」。忘れられん。

みんなで歌った「満月の夕」。忘れられん。

全校生徒、最後は立って歌ってくれてた。ありがとう。

全校生徒、最後は立って歌ってくれてた。ありがとう。

みんないい顔してたぜ。

みんないい顔してたぜ。

音楽を続けてきてほんとうに良かった。

音楽を続けてきてほんとうに良かった。

教職員のみなさんと。あはは、大人の方が固いねー。

教職員のみなさんと。あはは、大人の方が固いねー。

校長先生とジミー・ペイジの話で盛り上がった。音楽ってすげえ。

校長先生とジミー・ペイジの話で盛り上がった。音楽ってすげえ。

コウヘイ。君は九州の男だ。誇らしいぜ。

コウヘイ。君は九州の男だ。誇らしいぜ。

ありがとうと云わなきゃいけないのは俺たちの方だ。ほんとうにありがとう。

ありがとうと云わなきゃいけないのは俺たちの方だ。ほんとうにありがとう。

 

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確かな未来と希望、熊本県大津北中学校にて への13件のコメント

  1. Y.U より:

    私は
    大津北中の3年の
    Y.Uです!

    昨日はライブにきてくださって
    本当にありがとうございました☆

    だご汁おいしかったですか??
    こうへいたちと一緒に
    クラスのみんなで作りました!!

    よろこんでもらえて
    本当に嬉しかったです\(^O^)/

    ライブもMCはおもしろくて
    ギターはすごくて
    最高でした!!

    生徒会と森田さんの対談で
    福島のことも
    たくさん学んで
    当たり前のことが
    信じられないくらい幸せなんだと感じることができました♪


    ここに生きてること自体が
    幸せなんだと
    感じました☆

    本当にありがとうございました!!
    一生忘れません!!

  2. S.Y より:

    私は
    大津北中3年の
    S.Yです‼

    桜々って書いてサクラって読むの
    覚えてますか⁇

    コンサートが終わったあと、
    女子4人でお話に行ったとき
    たくさんお話してくださって
    ありがとうございました‼

    私は森田さんの話を聞いて
    今あたりまえに家族と一緒にいれて
    あたりまえに友達と遊んだりしていることが
    本当に幸せなことなんだな。と改めて思いました‼

    あと、山口さんのライブを見て
    好きなコトを本気でして
    今を一生懸命生きたい!と思いました!

    ほんとに楽しかったです♪( ´θ`)ノ

    また北中に来るっていう約束
    絶対守ってくださいねぇ♫

    私も森田さんのお話や
    山口さんのライブは
    一生忘れません‼

  3. 断酒男 より:

    同好のファンの方とは誠にありがたいもので 昨日の大津北中
    でのライブ 三日前に教え頂き楽しんできました
    オープニングの太鼓 森田さんと中学生のトーク 講演会に続いての
    佐野さんの 君を連れてゆく で始まった一時間のソロライブ
    中でも印象深かったのは 中学生に向けてのMCで
    山ちゃん自身の中学時代を語り ツェッペリンの The Rein song
    をインストで聴けた貴重なライブ!!
    帰宅して読んだ配られたパンフレットに 3月11日以降から
    ソロライブに至るまでの歩みが詳しく記されていて
    中学生が自らアクションを起こしライブを実現させた
    そのパワーには感動しました
    DIARYでも感じとれるように素晴らしいステージで
    それだけに終演後に思ったことですが 中学生の後ろの
    PTA 大人の席は空席が目立ち ヒートウェーブのファンには
    シークレットの形だったかもしれないけれど
    もっと多くの人にオープンにしてもよっかたのでは….

  4. 美 三咲 より:

    感動です!あたたかく、熱く!やさしく!最高です。
    きっと洋さんの愛は、こういう形で、色々な方達に「愛」を運ぶのですね。
    さすが!ちびチャン達も最高!!最高!

  5. 萩原晋也 より:

    映像化、熱望致します。
    みんな声上げよう!

  6. うっちゃん より:

    ニュース映像でもいいです。アップ希望しまーす!
    最後のガッツがある男と、最初のガッツのある少年との交わり!
    こんな画は、一昔前は想像出来ませんでしたよ…
    それでも世界は美しいと思いたい。私も…

  7. 林檎 より:

    可愛い中学生達は、ソロライヴから始まり山口さんの相馬を思う熱い魂をちゃんと受け取っているんですね(^^)

    私はあの大震災が起きた直後、自分が住んでいるこの遠い地から被災地に愛が伝染していかないかと考えていましたが、それを中学生が実現したとは・・・(@_@) 
    純真でまっすぐな熱いエネルギーの魂が写真から感じられます。
    相馬の方達にその真心伝わりますね(*^^)

  8. エミ より:

    熊本のライブに夫婦で行き~
    福岡ライブは都合がつかず、泣く泣く諦め~
    来年にまた…
    と思っていた矢先に…!!夫婦で個別に見たblogにて…
    もしかして第?の故郷に帰熊??と思ったら、はたまた大津北中学校でライブ?!   なんですと~(ノ><)ノ行きたかったデス(┬┬_┬┬)
    昨日は、夫婦でお風呂でガンガン『満月の夕』をリピートで聴いてました。
    次回は必ず告知をお願いしますm(__)m
    今日は『夕方いちばん』録画予約済みデス♪
    それにしても、大津北中学校の生徒の皆さん、校長先生、教員の方々、保護者の皆様  スゴイ!!
    感動しました。熊本の誇りです。
    私達は、今度の連休に福島の浪江町へ行って来ます。洋さん、お身体くれぐれも    御自愛下さいませ…

  9. H.S より:

    大津北中三年のSです。

    11日は来て下さりありがとうございました!!
    LIVE本っ当に楽しかったです!
    ギター弾いてる時の山口さんめっちゃかっこよかったです(´∀`*)

    音楽で人は元気になれるんだということが肌で感じられた1日でした。
    終わったあともみんな「楽しかったね」「かっこよかったね!!」って口々に言ってました。

    森田さんの話や山口さんのLIVEを通して今、こうやって友達や家族と笑い合っていれる毎日を本気で大事にしようと思いました。
    今回のLIVEは私の中学校生活の中でかけがえのないものになると思います。

    そして、福島の中学生と交流できる日が実現したらいいなって心から思ってます!!

    本当にありがとうございました!!
    またぜひ、来てください!!

  10. mamagon より:

    先日の北中でのライブ本当に楽しく感動しました!!洋さんの何度か滑ったツッコミ?も面白かったです(≧▽≦)洋さんの熱い想いも凄く伝わってきました。

    本当に今の世の中…
    私達大人が動かないと変わらないと思います。今回の生徒達の行動に私も背中を押されました。今、個人的に気になっている社会問題に取り組む勇気をもらいました。
    もちろん東北復興も応援します!!!
    次回は是非ライブに行きたいと思っています(*^-’)b

    貴重な時間をありがとうございましたm(_ _)m

  11. ながわ より:

    読んでて熱くなりました。中学生の皆さん、素晴らしい!
    仙台に時々ボランティアに行きますが参加者で一番多いのが大学生です。
    現地ボランティアに聞くと継続して活動に参加しているのは
    高校生や大学生とのことです。現在(いま)の若い人たちはチャンと
    社会に向かい合って実際に動いているんですね。
    自分も「おとなとして」大津北中学校の生徒の皆さんに恥ずかしくないように
    頑張りたいです。

    で今回のイベント、一般のHWファンは見れなくて残念。
    で、次回について1つのアイディアですが。
    HWのツアーに生徒皆さんを招待しては如何でしょうか?
    中学校に一般のファンが大勢押し寄せるのもどうかな?って気がしますし。
    大人のバンドの演奏で是非、生徒皆さんを「威嚇」(笑)してみては?

  12. あおい より:

    いいなぁ、いいなぁ、と胸があつくなりました。
    隣町在住者ですが、じぶんが入水未遂してた時期に近くでこんなことが、、、。

    あと、校長先生。
    もしや、と調べてみたところ、、やはり中学三年の担任の先生でした(⌒-⌒; )

  13. ちよん より:

    私、大津北中を10年ほど前に卒業した者です。
    何年か県外に出ていたのですが、最近こっちに戻ってきて、大津の事を色々検索してました。
    そしたら、こんな素晴らしいことがあってたんですね~(T-T)写真を見ながら懐かしいなぁと思いつつ、スゲー!大津の子たちもやるじゃないか!と思いました(^^)/
    とても感動したので、コメントさせていただきました☆

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