生活の中の音楽

12月11日 火曜日 晴れ

横浜のサムズ・アップは欧米にあるような、仕事帰りの人が食事をしつつ、一杯飲みつつ「生活の延長」で音楽を楽しむことができる希有なハコです。お高くとまった感じがまるでないし、スタッフも情熱を持って接してくれる。イベンターが居て、きちんと仕切られていて「よっしゃー、ライヴやるぞー」ってのもいいけど、こうやって楽器を持って、ふらっとやって来て、お客さんとライヴを作っていくのも僕は好きだ。お互いの「生活」ってものが密接に繋がって、最終的には非日常を目指すところが。

何度も書いたけど、(確か木曜日だったと思う)その曜日になるとウッディー・アレンが必ずクラリネットを吹きにくるクラブがNYにはあった。そういうの、僕は好きだ。毎月の第何曜日はいつもサムズアップでHWセッションやってんだよね。と、そういうことを夢想したりもする。

ときどき、スケジュールに空きがあったときに、オーナーのサフさんから「ヒロシさん何かやってください」と僕に泣きが入る。やっぱり、どこでもそうなのだけれど、土日からスケジュールは埋まっていくのだと。それはそれで良しとして、僕はこのようなハコでウイークディにもフツーにライヴが行われていることに魅力を感じる。だって、それこそ「暮らしの延長」だからね。

今日、とある人が教えてくれたのだけれど、日本の若者がひと月に音楽に使うお金の平均は80円なのだと。つまりふた月に1曲くらい気に入った曲をダウンロードして買うってことなんだと。

でもね、これは若者のせいじゃない。音楽を作ってきた我々や業界の責任だ。すべてがネットのせいでもない。サッカーに例えるなら、Jリーグは地域に根ざして、ユース世代、ファンを育て、ワールドカップに連続して出場し、地域が世界に繋がっていることを証明した。そして、若い世代は世界を目指し、ついにマンUに選手を送り込むまでになった。この頃、子供たちと接して思うのは、サッカーに夢中な子が多いことで、誰もギターを手にはしない。

僕らの世代の音楽は、自分で演奏するものだった。でも、業界は目先の利益に囚われて、音楽全体の裾野を拡げようとはしなかった。結果、音楽は使い捨てのものに成り下がってしまった。

でも、この小さなハコにはまだ確たる希望がある。音楽が音楽として、有機的に機能している。巨大アリーナツアーがあってもいい。そして、このようなハコでの音楽のあり方があってもいい。その多様性こそが未来だと僕は思う。

今日もまたサムズ・アップから復興支援のCDの売り上げをプロジェクトに預かりました。その詳細の報告はプロジェクトのwebで確認してください。ほんとうにありがとうございます。

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本日のスペシャルゲストは矢井田瞳嬢。前日まで39度の熱があって、「頼むから無理しないでね」と伝えたにも関わらず、一日で治して素晴らしい歌と演奏を聴かせてくれました。このド根性娘!!!!! 失礼、ド根性お母さんか。おっとこまえー。ほんとうにありがとう。みんなもこんな至近距離で観ることができて良かったね。

ヒゲボーボーの魚さんも、オレも、ヤイコさんも、今日この空間で演奏することを、緊張と弛緩を合わせて愉しみました。来てくれて、ありがとう。17日にはこのラインアップにフィドルのミオポンも加わって、恵比寿ガーデンホールで演奏します。是非、来てね。詳細はこちらに。

70年代のミュージシャンにしか見えない、細海”ヒゲ”魚さんとやいぽんとオレ。

70年代のミュージシャンにしか見えない、細海”ヒゲ”魚さんとやいぽんとオレ。

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生活の中の音楽 への4件のコメント

  1. 守屋博文 より:

    昨年に引き続き横浜に来てくれてありがとうございます。
    同輩が依然として猛威を奮っている姿を拝見することは、初老のおいらには何よりも励みになります。
    そういえば会社の同い年の先輩「夕紀」姐という人と飲みながら音楽談義をしてた時にHEATWAVEの話になって…そしたら彼女が「山口君?おんなじ学校(笑)」っていってましたけど彼女の事覚えてますか?
    (今や我が社のスーパーウーマンです)

    『荒野の風』はやはり何度聞いても鳥肌立ちました…おそらく死ぬまで MY FEVORITE SONG であり続けるでしょう。
    矢井田さん…いちアーティストとしてこれまであまり注目することはなかったですけど『MY LIFE IS MY MESSAGE』は参りました。
    あなどっていてごめんなさい。
    反省してます。

    待ってます。
    またいつか横浜に来てください。
    (感情表現が下手な観客ですが(笑))

  2. さちこ より:

    昨日は本当に楽しかったです。
    ひとりで行って食事もオーダーするのが、私にはハードルが高くて友人と一緒に行きました。
    でもひとりできている女性もいらして、次回は私もおひとりさまできそうです。

    高校生の頃から東京のライブハウスはいろいろと行きましたが、横浜のサムズ・アップさんはアメリカにありそうな雰囲気で、まわりがステージを囲んでいて一段高くなっているのもとってもいい感じでした。
    我が家から横浜はちょっと遠いけど、行ってよかったです。

    山口さんのライブはまだ3回目ですが、今までで一番なごやかでよかったです。
    来週の恵比寿も楽しみにしています。

  3. 38kicks より:

    山口さん、ヤイコさん、そして、髭兄さん(笑)、
    豊かな夜をありがとうございました!

  4. toshie, tokyo より:

    ライブがあったら、平日がとっても特別な日になる。
    仕事帰りに1分でも早く着けるように会場へ向かって、入口でお金を払って、カタチの無いモノで胸いっぱいになって、手ぶらで帰るのが好き。ありがとうございました。

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