日別アーカイブ: 2019年8月25日

金沢近江町、メロメロポッチ、最後の夜

8月25日 日曜日 晴れ 金沢の裏通りが誇る魔界、メロメロポッチ。立ち退きのため、一旦店を閉めざるを得なくなった、21年の歴史、その最後の夜。 僕とメロメロポッチのこと、10年前くらいまでまとめてくれている人がいるから、興味がある方はこちらを。まぁ、ほんとうにあんなことも、こんなことも。ほんとうにいろいろあった。店主、熊野の口癖、「それもまた、人生」。 地元の素晴らしい才能、杉野清隆とともに、幕引きを頼まれた。断る理由はどこにもなかった。 揃いの椅子なんてひとつもない。本当は生ジュース屋。限りなく猥雑、でも何人たりとも拒まない、去る者は追わない、あの地下を降りて、ドアを開けるのには勇気がいる。でも、開けてしまえば、あなたを拒むものはなにひとつない。人生という魔界への扉。 それがあの店だった。過去形で書くのは哀しいけれど。 今回、初めて新幹線で金沢に行った。確かに便利だ。でも、こうも思う。我々は便利になって、なにかを失った。たとえば、旅情。飛行機で金沢に行くのはまだいい。あの山脈を越え、日本海から小松空港にアプローチするとき、豊かな白山が見える。 北陸新幹線は長野を抜けて、金沢に行く。長野と金沢はこんなに近くない。あくまでも僕の感覚では。 近江町。300年の歴史を誇る、金沢市民の台所。ここに通うようになって、20年くらいだけれど、整備されて、近代的にはなって、そしてその入り口にあるメロメロポッチは営業を終了する。ある意味、ザッツ日本なのだった。 僕らはどんな理不尽にも豊かに笑顔で抵抗しよう。昨日の客席の顔、忘れられない。あんまりみんながいい顔だから、最後の曲で店主熊野をステージに上げた。だって、やつはこれを見たことがないんだよ。21年も続けてきて、この光景を知らなかったと彼は言ってた。だろ? これこそ、君と仲間が続けてきた裏通りの財産なんだよ。かけがえのないものなんだよ。明日になって、ほんとうになくなってみればわかるさ。それがどんな風に街に機能してたかってこと。 今日は最後の曲だけ、動画撮っていいよって。だって、この空気残しておきたかったからね。まぁ、ほんとうは映らないんだけど。ひとつ借りるよ。 いつか、新しい店が見つかったら、必ず行くから、金沢のみんな、メロメロポッチをよろしくね。 ほんとうにありがとう!

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