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雨止まず

8月10日 木曜日 暴風雨   雨、風、still止まず。  それらに謙虚に従うしかないところが山の生活の良さだと思う。だって、天気を変えることなんてできないから。  山の生活と言えば聞こえはいいけれど、一年ぶりってことは、なにかが必ずぶっ壊れてるわけで、壊れていくものと補修するもののスピードを釣り合わせなきゃいけない。でも、おかげでいろんなことはできるようになったかな。  熊本地震で半壊(ほんとは全壊)したときに、もう捨てようかな、と思ったけれど、捨てなくてよかった。あのとき、もうちょっと金をかけておけばよかったと思うこともあるけど、まぁなんとか再生できたからヨシとする。笑。  そろそろ若い世代にこの場所を引き継いでもらう方法を考えているところ。    ある人物の晩年を記した本を暴風雨の中、読んでいた。彼はスーパー自己中心的人物で難解かつ複雑極まりない人物だった。  でも、次第に怒りに謝罪が伴うようになり、怒りと謝罪の間隔がどんどん短くなり、ついには祈りになって、それらは折り重なっていった。彼の信じられないような複雑さは、彼の美しさを形作る重要なパートを担っていた。そして死の目的は愛の解放で、彼の人間としての生命がエネルギーに変換されて、光や音に変わっていった。って。  そのような人にわたすも会ったことがある。  自分で自分を持て余す人。社会にどうしても適応できない人(オレもそうだけど)。そういう人と現生をつなぐために音楽があったりもする。  んなこと、都会にいると考える暇がないもんね。  まだ雨でなんにもできないけれど、言葉がこっちに戻ってきてる感覚がある。それがとても嬉しい。  雨には声があるんだよ。それを聞き取れるようになったのが嬉しい。きっとこころが少しだけ澄んでるんだと思う。

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