目下最大の悩み

2月18日 金曜日 曇り

動かなくなってしまった首に、コルセット代わりにネックピローを巻いて、歩き回っている不審人物、山口洋です。

目下、最大の悩み。それは新しい音楽に没入する時間が持てないってことです。アイデアがたくさんあるのに具現化できない。これは、しんどい。ツアーに出る前に魚さんと、いつもこう話し合うのです。アイデアの芽は既にたくさん用意されている。だから、ツアーがこなれてきたら、リハーサルの時間にいろんなことを試して演奏してみよう。それをツアーを続けながら形あるものに昇華させよう。確かにこの作戦はイケてるが、結局のところは現場に到着してみると、そんな体力も時間も残されてはいない。こんなことが出来るのは大名ツアーに限られるのか。ひじょーに悔しい。前に進みたい。ほんとうに。

音楽に没入するってことは、自分の心の闇深くに潜入していくことでもあります。多大な集中力と、何よりもまず体力を必要とします。途中で電話が鳴ろうものなら、それでthe end。僕の脳味噌は同時にひとつのことしか出来ないのです。ある種の作家のように、早起きして、それは朝やるのがいいのでは、とこの頃思います。あるいは、ネットも何もないところに自分を隔離してしまう。そうでもなければ、収拾のつかないアイデアの山の埋もれてる人になってしまう。相当な危機感を覚えています。

ライヴの現場ではフィジカルにメンタルなことをやるのです。言葉がヘンに感じるだろうけど、そうなのです。そして制作の現場はその逆です。このバランスを取るのが難しい。漏れてしまったアドレナリンを制御することも。最近、長野でディランの「レーナード&クララ」のDVDを手に入れて、今更ながらに観ています。ファンなら誰でも知っている「ローリングサンダー・レビュー」。彼はこのツアーの中で、フィジカルとメンタルをごちゃ混ぜにし、更に人間たちをもごちゃ混ぜにし、そこから何が生まれていくのか実験していたのが良く分かります。これは途方もなく難しいことですが、僕はこれが失敗だったとは思いません。ただし、僕に「轍」を残してくれて、ありがとう、と。先達の生き方を観て、僕らは今の時代にそれを新しい形で何とか具現化しようと、フントーしています。たとえ、死ぬまでそれが出来なかった(出来ない可能性の方が大きいのだけれど)としても、それは僕らがこの人間界を信じた唯一の理由なのだから。

「プエプロ族の老友は、族の存在理由が、民族の父である太陽が毎日天空に出現することを助けることにあると信じている」。

「自分の情熱の地獄のような有様を通り抜けたことのない人物は、自分の情熱を決して克服することができない」。

「自分の影を知る者は、自分が無害ではないことがよくわかっている」。

「豊かな個性の持ち主は常に使命を持っており、しかもそれを信じている。使命遂行の原動力となるのは、自分の内なる声に語りかけられることだ。そして、個性の育成は、ひとつの冒険である。内なる声のデーモン(霊)は、実は最高の危険と不可欠の援助を同時に意味している。このことはまさに悲劇的であるとともに、必然的であり論理的である」。

ユングが放ったこれらの言葉、その通りだとしか云いようがないのです。

追伸
弘前の悪友、サイトー・ヒロシが僕らのために選んでくれた会場は写真にあるこんな場所です。残念ながら、携帯のカメラしか持っていなかったので、全容を伝えることが出来ず残念ですが、ここなら前述のようにオーディエンスをも含め、メンタルとフィジカルがぐちゃ混ぜになることが出来ると思うのです。是非、足を運んでください。

僕は無宗教という宗教を信じています。でも「祈り」はどんな人間にも必要なものだと思います。

僕は無宗教という宗教を信じています。でも「祈り」はどんな人間にも必要なものだと思います。

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目下最大の悩み への2件のコメント

  1. だるまっこ より:

    初めてこのサイトに来ました。

    歌も全然知らずにこのサイトに来てしまいました。
    (ミスチルのトーキョーシティヒエラルキーが好きです。)

    私は最近ようやく25歳になったばかりで、会社で忙しい日々を送っています。

    やりたいこともあったけど、色んなことを諦めています。
    色んなことに対して、諦めて、諦めて。そんな日々です。

    前の日記の「ならば、生きてる限りは諦めない。それでいいじゃないか。」
    この言葉がとても良いと思いました。
    また、ほんとうにかっこいい大人だなぁと思いました。

    今度真剣のライブに行ってみたいとも思いました。
    私も山口さんのように、自分自身にきちんと向き合っていきたいと思いました。

    勝手に影響を受けているだけなのですが、そんなことを思ってしまいました。
    失礼なことを書いていたら、すみません。色々な言葉をありがとうございます。

  2. 愛犬ちゃんむー より:

    こんにちは!こないだ高松でのライブは最高でした。その時、買った「Speachless」を聴きながらメールしてます。
    私は、岡山の人間ですが、地元でのライブに行き遅れて、どうしても諦められず、女単身、瀬戸内海を渡り、RUFF HOUSEまで行った次第です。
    初め行くので辿り着けるか、少々心細かったのですが、開演時間ギリギリになった時点で、何と、洋さんらしき人が、外でウォーミングアップをしてるではありませんか!
    まるで洋さんが神様仏様に見えました。私が辿り着けたのは、洋さんのお陰です。その節は、ありがとうございました。でも、せっかく「生ヒロシ」に逢えたのに、嬉しさと興奮で頭の中はパニック!冷静になれ、冷静になれと心に言い聞かせながら受付をしてる間に、洋さんの姿は無く…(T_T)

    恥ずかしながら最近、私は山口洋という存在を知りました。カースピーカーから流れた「Starlight」にやられてしまいました。何、この音!?何、この声!?ものすごく好き!!そして、私の頭の中に夜空、宇宙が展開され…。曲が終わっても、しばらく余韻に浸ってしまったくらいです。
    この人達は何者!!??それから、私の山口洋への探究心は、物凄くて…。

    実際、ライブに参加して、益々ファンになりました。RUFF HOUSEは、狭くて驚いた。ブログにもあるように、よく機材が入りましたよね??けど、あの狭さだからこそ、あの臨場感、空気感が満喫できたし、より身近に洋さん&魚さんの世界を感じる事ができたのではと思いました。思わず、私も女子ながら、スタンド状態で見ちゃいました(席が後ろだったから)

    山口さんの音楽は勿論、ブログを読み進めるにつれ、人間としての考え方、在り方には物凄く共感できます。私も無宗教派ですが、「目には見えない何か」「Something Great」はあると信じています。それが、この度山口さん&魚さんと引き合わせてくれたのだと信じています。
    また、山口さんは、昔より今の方が、私的にはずっと素敵だと思います。良い年齢を重ねていけば、自然と中身が表に出てくるもの。こればかりは、ごまかしは効きません。きっと日々、色々と感じて精進されて、余計な物を削ぎ落として来たのだと思います。
    私も女ながら、そんな山口さんを見習いたいと思います。
    また、絶対ライブ行きます!!頑張ってください!

    追伸:「Speachless」プロモもCDジャケット等も凄く好みです。でも、やっぱり一番は、音のセンスですね。

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