尊厳、そして850キロ

6月30日 木曜日 曇り

大抵の、しなくてもよい類の経験はしてきたと思ってた。

でも、旧いたいせつな友人が、言葉も、思考も、人間としての行動も、すべてままならないままに、開いたままの目で僕に問いかけてきたことは、鉛のようにこころの底に沈んだまま。あいつは何のために生きるのか、あるいは生きなければならないのか。

どう考えても、応えはなかった。

ある人物は、生きているだけでも素晴らしいことだ、と云った。ほんとうにそうだろうか?あれだけスタイリッシュだったあいつが、オレにこの姿を見られることを望んでいるとは思えなかった。あいつにとってオレはたいせつな存在だと思い上がっていたが、実際のところ、まったく何の役にも立たなかった。人間は魂が抜けてしまったら、ただの容れ物なのか?それとも、それはまだ肉体の中に留まっているのか?あるいは、中空を彷徨っているとでも?

この状態の人間に会ったことがない訳じゃない。車に轢かれた自分の父親もこうだったし、一度や二度じゃない。でも、今までとは何かが違う。そしてその「何か」が分からない。

尊厳って一体なんだ?

深夜の2時に町を出て、850キロ走り続けた。それしかできることがなかった。過去に向って、猛スピードで突き進んでいるみたいだった。ようやくひとつだけ、できることを見つけた。あいつの分までオレは生きる。そこから始めてみる。

人生には不条理すぎることがある。どんなにキツくても、そこから逃げる訳にはいかない。オレの愛もまだまだだと、あいつが鍛えてくれてるんだと思う。

ついしん

明日のblog上ラジオはお休みにします。悪しからず。

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尊厳、そして850キロ への9件のコメント

  1. より:

    運転しながら撮影すると危ないよ

  2. Masako より:

    帰路の途中なのでしょうか?車の運転気をつけてくださいね。
    blog上ラジオ、来月首を長ーくして待ってますよ。

    洋さんの友人は幸せです。
    『アイツの分までオレは生きる』って、そんな風に言ってくれる人なかなかいないですよ。

    私は必要のない人間だと思ってたことがあって…。生かされている限り、一生懸命生きないとね。

  3. Tomo より:

    看護師をしています。病気や事故や認知症で、ご本人はこの状態で生きている事を望んだだろうか…と感じ、悩んだ事は度々ありました。
    今は、その意味など探さなくてよい、ただそこにあるという事だけでよいと思えるようになりました。すべてそう、命も、モノも、誰かとの関係性も…。役目を終えた時、自然にかえっていく、人の思いを超えた采配だと思います。

  4. こびど より:

    時々、何もかもが分からなくなったり…。

    でも、スピードがそれを癒してくれるのなら…。

  5. エイジ より:

    次のblog上ラジオ待っています。

    お身体ご自愛ください。

    他はうまく言葉になりません。

  6. kumiko より:

    人事を尽くして天命を待つ

    洋さんが音楽の場所に戻れます様に…。

  7. フラニー より:

    山口さん、おはようございます。
    お疲れがとれていないと思うのですが、山口さんはきっと朝から愛を根本においた行動をしてらっしゃるんだろうな…と思っています。
    HEATWAVEの『灯り』を朝、聴きました。無限と有限が奇跡の配合でまじっているなぁ…と聴くたびに思って、いつも胸の奥がギュッとします。
    山口さんのお友達と山口さんの中にあるひかり。
    強くおもっています。

  8. レプラコーン より:

    うまく言葉にできませんが、反応がないように感じられても、こちらの声は届いていると思って伝え続けるのも一つの方法なのかもしれません。
    だから、唄ってください。

  9. meimay より:

    読んでいて、いまの私の心情にフィットしたのかちょっと涙。
    尊厳って、知性って、ここのところ精神世界をさまよい歩いたような・・・わけわかんなくなっちゃってます。
    ここにくると なにか 確かなものに出会えるように思うんです。

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