大切なお知らせ

8月5日 金曜日 晴れ

長くなるけど、大切な話なので、時間のある時にでも読んでくれると嬉しいです。

もとより、楽に事が運ぶことなんてないし、そんな事があるとは今更思ってもいない。でも好きで苦労したいとも思わない。

昨夜、三週間に渡るミキシング作業からようやく抜け出した。走ることと、餌以外、そこから逃げる時間はなかった。何故、そんなに追い込まれていたかと云うと、9/20に行われる「my life is my message vol.3」にリリースを間に合わせるためである。通常アルバムの音の完パケってのは3月前が普通だ。でも、起きていることは非常事態で、即効性が求められる。のんびり構えている暇はない。僕は人々の気持ちが風化していく、あるいはこの状況に慣れていくのがいちばん怖い。来年はないかもしれない。その気持ちは今も変わらない。じゃ、何を作っていたかと云うと、6/14に行われた「my life is my message vol.1」のライヴ盤である。そこはオーディエンスも含めて、混迷の時代を生き抜く熱に溢れていた。「Live for SOMA CITY」。演奏がヘクろうが、何だろうが、この際、そんな事はどうでもいい。それが6/14に行われたと云う事実を確実に残し、未来へと創造力を飛ばすことが大事なのだから。

逆算したら、間に合う。僕はそう考えた。何せ、このプロジェクト、クロエのサポートがあって、ようやく成り立っているのが現状で、もちろん深く感謝してるけど、バンドだけではどうにもならない。早く自立しなきゃ、被災地への長期的なサポートもクソもあったもんじゃない。グッズを作って売るのは大切だけど、それは僕の役目じゃない。あくまでも音楽が真ん中になければ。そう考えていた。

ライヴは24chのマルチトラックで記録されていた。相馬市にvol.2でみんなの思いを届けに行って、さぁ、取りかかるぜ、と覚悟を決めたら、スタッフから驚愕の報告があった。「山口さん、残念なお知らせがあります。何とアコースティック・ギターのチャンネルが録音されていません」。な、何だと?それって、壊滅的打撃じゃん。こんな事、書かなくても今更バレないと思うのだが、でも嘘をつくのは嫌だ。それが事実なのだから。僕は送られてきたファイル24chに全部耳を通して考えた。んー、これは正直に云って、厳しい。でも、記録されていないアコースティック・ギターを除けば、この時期でしかあり得ないニンゲンのものすごいエネルギーが記録されている。しばらく悩んで、そして決断した。これが池畑さんのバス・ドラムだったら、確実に諦めたと思う。でも、ギターじゃん。ただし、最近の僕らの演奏は僕のギターから始まるものが殆どだ。当然、ライヴなので、カウントも何もない。ふーむ。

その前に、何故そんな事故が起きたのか、書いておこう。レコーダーには各チャンネルのメーターがあって、ひとつが振れていなければ、当然気づく。ただし、それは専門のスタッフが張り付いていればの話。僕らメンバーがバンドの運営に関する複数の仕事をこなしているのと同じで、長年支えてくれているスタッフもまた、ひとりにつき3人分くらいの仕事を不平も云わずにこなしてくれている。バンドのライヴをやる時は平均して10人くらいのスタッフが居るが、簡単に書けば、彼らは30人分の仕事をしている。エンジニアのMはもう20年近く、僕らの音を担当している。フツー、この位の規模になるとモニター・エンジニアが居るのだが、僕らには居ない。僕らは全員の生音を聞いて、それでダイナミクスを判断しているので、各曲ごとにモニターをいじる必要がないからだ。とは云え、Mはフロント、モニター、そして、録音とガッツリ3人分働いている。だから、感謝しこそすれ、このような事故をまったく責められる状態にはない。

さてどうする。僕は考えた。集中して、ワンテイクだけと決めて、スルーで一回だけ弾いてみよう。後で録音するのだから、何度でもやり直せる。でも、それはナシだ。それでダメなら、この話はなかったことにする。僕は自分のスタジオで目を閉じて、あの日の気持ちを思い出して、ワンテイクだけ弾いた。自分で書くのも何だけれど、まったく問題なかった。何故ならスピーカーからあの空気が再現されていたからだ。まるで、ステージに立っているみたいだった。もちろん爆音で鳴らしながら、立って弾きましたとも。サスガに衣装は半ズボンだったけどね。何だか、あのライヴにギタリストとして、もう一回参加してる。不思議な気分だったよ。あ、でも云っておくけど、僕は同じ演奏が二度できない。だから、再現するのはイントロだけ。ソロも何もかも、今日の僕の気分で弾いた。だから、稀にギターの音が二つ聞こえるときがある。それは他のマイクにかぶったオリジナルの音だ。

そんなこんなで、ミキシングは完成しました。これから魚先生によるマスタリングやスントー・ヒロシ様によるデザイン作業に入ります。これ以上の事故がなければ、9/20には間に合うはずです。ギリギリだけど。

このアルバムを買ってくれることによって、自動的にプロジェクトに資金が入るシステムを作ります。その資金は云うまでもなく福島県相馬市の復興のために使われます。ベラボーに高い値段は避けたいので、何とか3500円くらいで収めたいと思っています。そのうち、どれだけが復興支援に廻るのか?何とか500円を死守したいと思っています。これからスタッフに電卓をはじいてもらいます。そのようなことも、もちろんアナウンスします。

これもまだ確定した訳ではありませんが、僕らのプロジェクトがどのように進行しているのか、それを記録した写真集のような冊子を付けることを考えています。福島県相馬市の現状、東京のライヴの様子もみなさんに観て欲しいからです。

てな訳で、今後とも声援をよろしゅうに。アルバムに魂入れました。なので、デカい声で云わせてもらいます。「買ってください」。これからも、当たり前だけれど、全力でいきます。今日もまた、心配してくれている相馬人Mから電話がありました。全然大丈夫だぜ。僕ら、無茶苦茶な日々ですが、充実しています。

今日は膝が痛くて、久しぶりに走るのを止めました。出来上がった音源を聞きながら、海辺を散歩しました。オッケー、素晴らしい。いつもより、空が広く見えるぜ。みんな、ありがとう。たくさんの愛。

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僕はライヴ盤に歌詞カードは必要ないと思っています。ただし、新しい曲は伝えておかないとね。

alone together / Yamaguchi Hiroshi

alone together
途方にくれている
つかみかけた未来が 砕けて散っていくとき

alone together
帰る場所もない
殺伐の世界は 涙さえ許してくれない

alone together
ただ 君に会いたい
溢れる愛をそそぐための 君が居ない

alone together
もう一度だけ抱きしめたい
君がこの世に居ても 居なくても

明日を与えてくれ alone together

alone together
君に会えなくなり
前より近くに感じるのは
どうしてなんだろう

alone together
願いは闇とともに
哀しみは光とともに シベリアンブルー

alone そして together
それは同じ意味かい?
君がこの世に居ても 居なくても

alone そして together
たぶん同じ意味さ
孤独は誰も独りにはしないだろう

明日を輝かさせてくれ alone together
明日を与えてくれ alone together

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追伸
テキストだ何だかんだ。そんな仕事を終らせて、週末は長野と新潟にヤスと二人で旅に出ます。みんな来いよー。

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「ロックと島唄 ふたりでいっちょやったろツアー」

2011年8月7日(日)
長野市・ネオンホール
出演/山口洋×大島保克
開場/開演=18:00/18:30
チケット料金=前売3,500円/当日4,000円(1ドリンク代別)
チケット=電話予約(TEL 026-237-2719)&メール予約(info@neonhall.com)
お問い合わせ/ネオンホール 長野市権堂町2344 2F http://www.neonhall.com/index.php

2011年8月9日(火)

出演/山口洋×大島保克 OA クマガイマコト
新潟市西区青山海岸ネフ(小針浜海の家ちどり内)
025-267-7009 ※駐車場あり
開場/開演=18:00/19:00
チケット料金=3,500円(ソフトドリンク・フリー)
完全予約制
予約受付メールアドレス;m-kumagai@hotmail.co.jp(クマガイマコト)
※御予約のメールに、確認のメールを返信致します。
当日、会場受付にてチケットをお渡しいたします。
※会場のネフでは予約の受付を行っておりませんので御注意をお願い致します。
※その他お問い合わせ等も上記のメールアドレスで承ります。

こんなちっちゃなdiscにあの「熱」は詰められて、魚さんのスタジオの送られます。

こんなちっちゃなdiscにあの「熱」は詰められて、魚さんのスタジオに送られます。

クソ思いテープを持って、国際線に乗ってスタジオに行った。そんな時代は終りました。

クソ重いテープを持って、国際線に乗ってスタジオに行った。そんな時代は終りました。

BBQかぁ。ちょっと羨ましいけど、lifeは充実してるから、それでいい。僕は何となく松田選手の気持ちが分かる気がする。

BBQかぁ。ちょっと羨ましいけど、lifeは充実してるから、それでいい。僕は何となく松田選手の気持ちが分かる気がする。

汚くても、海は好き。

汚くても、海は好き。

音楽とみんなの熱と相まって、空が広く見えたぜ。

音楽とみんなの熱と相まって、空が広く見えたぜ。

こんな格好なので、ロックシンガー度ゼロ。それで結構。

こんな格好なので、ロックシンガー度ゼロ。それで結構。

さぁ、明日からまた新しい仕事にとりかかるぜ。

さぁ、明日からまた新しい仕事にとりかかるぜ。

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大切なお知らせ への17件のコメント

  1. Raku より:

    やはり、あの日のライブについての作業だったのですね。
    楽しみです!

  2. daisy より:

    ミキシング作業おつかれさまでした!
    ライブ盤の発売めっちゃ嬉しいです!!
    音楽三昧だったあの頃のように、
    CDの発売を心待ちにすることもなくなりましたが、
    やっぱHEATWAVEだけは別です。
    めっちゃ楽しみにしてます。

  3. 東島 豊 より:

    絶対絶対絶対絶対絶対絶対買います!2枚!

  4. うっちゃん より:

    まさに努力の賜物だ。挫けちゃいけないをまた山口洋さんから学んだ(涙&笑)
    alone togetherを、書ききれる山口洋さんに心打たれるよ。
    アナスタシアー! それでも、世界は何とかしようとしてるぜー!

  5. けいこ より:

    壮絶なミキシングお疲れ様です!
    そしてありがとうございます!!

    あの日、『alone together』の詞と山口さんの声がどうしようもなく切なくて、ただ立ち尽くしてこの曲を聴いていました。

    あの時の空気が手元にやって来るんですね!
    もちろん買います。買わせて頂きます!

    道中どうぞお気をつけて。
    そしてどうぞお体大事になさってください。

    本当にありがとうございます。

  6. 自転車乗り より:

    やった!あの日のライブのお客さんの写真見て やっぱ飛行機乗ればよかった・・・・と後悔してました。明日からの希望が生まれました~
    ライブ盤 超期待しています!

  7. running mem より:

    オイラのRUN音楽にお待ちしてます。
    絶対買います!!!

  8. running men より:

    running menでした^^

  9. こゆき より:

    嬉しいです。
    買います。

    日々は続く。
    応援し続けます。

  10. min より:

    前へ前へ進む山口洋、CDもっと高い金額でも、買うよ。それと、歌詞ありがとう。同じ意味だよね。てとこ好きです。早く、聴きたいよー!

  11. きょーこ より:

    嬉しいです。
    すごく感動してます。
    山口さん、ありがとう。
    心から。

  12. S より:

    お疲れさまでした。
    alone together 歌詞を読んで、とゆーかこの日の日記を読んで
    ちょっと涙目です。
    9月が楽しみ、はやく聴きたい。
    「充実している」の言葉にほっとします。ヤスさんとのツアー、
    楽しんでくださいねー。

  13. Dr.MARTIN より:

    アコギが録れてないって、こりゃまた、やらかしましたな。

    まあそのおかげで一味違ったライブ盤に仕上がるわけですな。

    先日、今年もフジロックに行くことができて、いくつかのアーティストの素晴らしきパフォーマンスを堪能することができたんだけど、最終日には池畑潤二の骨肉のドラムと細海魚の魂のオルガンをバックにSIONが一曲目を歌いだした瞬間に雨雲から太陽が顔を出した。

    来年はないかもしれないじゃなく、なんとしても迎えなければと思えた瞬間だった。

  14. toshie より:

    事実を詳しく教えてくださってありがとうございます。
    いつものようにそのような態度/姿勢を含めて気分良く買わせていただきます。
    「Live for SOMA CITY」、とっても楽しみです。待ってます。

  15. echo より:

    もちろん買います!

    急ピッチな作業、お疲れ様でした。作っている皆さんの渾身の想いを
    しかと受け止めたいと思います。

    相馬には何度かライヴに行っていて、友達もいます。アルバムを買う
    ことで少しでも支援の形になるのも嬉しいことです。

    平日の東京へはどうしても行けないので、こういう形でその時の熱い
    を知ることが出来るのも嬉しいです。楽しみにしています&ありがとう!

  16. 梶虎(カジトラ) より:

    ライブ盤、とってもうれしいです!!!
    こんなふうに、心の底から、待ち遠しいというか、
    心待ちにできる「音楽がある!」ということが、
    本当にしあわせです。ありがとうございます!
    ぼくも心から楽しみにしています。
    またライブ、行きます! 
    〜 愛媛県・佐田岬半島にて

  17. Teruyo Koshimiya より:

    アメリカからですけど、買わせていただきます。とっても楽しみにしています。ロックミュージックなんて普通、買わないんですけどねえ、このおばさんは(爆笑)。

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