岩を動かす力

1月7日 日曜日 晴れ

動かせるはずのない巨大な岩を目の前にして。人はいつも途方にくれる。

それでもすべて自分を棄てて、岩を動かそうとする先達たちを見るとき。自分が無力だという常套句は永遠に死語にしようと思う。目のきれいな若者が「わからない」ということを力に歌を紡いでいるのを見るとき、胸がすくような、爽快な気持ちになる。

あの人たちは逃げなかったし、決してごまかさなかった。生きにくいなんてものじゃないと思う。それでも貫いてきた瞳に、自分が映りこんでいるのを見ると、湧いてくる力がある。それがいつかきっと岩を動かすのだと思う。なぜなら、それが怒りや憎しみではなく、人が人を想う気持ちでできているからだ。優しさだから。気高い、覚悟を込めた優しさ。

LIFEの冒険家。

前に書いたことがあるけれど。僕もこの齢だから、ほとんどの勘定は僕が済ませる。でも、その行為すらさせてくれない人がいる。正直デカすぎて勝ち目なし。勝ち負けなんて言葉を使う時点で僕が矮小。笑。

嬉しかったこと。

僕はある巨人のことを、親愛の情と敬意をこめて、ひそかにクマちゃんと呼んでいる。クマちゃんは猛禽類みたいな目をすることもあるけれど、僕らに接してくれるときはそのへんのユルキャラには負けない優しい目になる。クマちゃんの鞄から八重山で買ってきてくれた銘酒、白百合が出てきた。ワオ!僕のともだち、島のコーちゃんが作ってる酒だよ。

コーちゃんに出会ったその日。僕は白百合菌にやられて、石垣島の白く美しい砂浜をゲロで染めたことがある。

でも、白百合菌を好きな人に悪い人間はいない。根拠なし。「ほんとうに美味しいですねぇ」と白百合菌をグイグイ飲み干すクマちゃんを見て、素敵なことは円環を描くのだとしあわせな気持ちになる。コーちゃん、あんたの酒はこんなところでファンクションしてたよ!

あったりまえのことだけれど。

自分で諦めてしまわない限り、不可能なんてない。そう思っている大人たちは素敵だ。もちろん。僕も岩を動かすつもりだよ。

朝、始発で家に帰り(なんとひさしぶり)。白百合菌にやられた頭から出てきた言葉は「ありがとう!」だった。ほんとうに、何というか魔法の言葉だね。

先達のみなさん、歌はきっと壁の向こうに届くと思います。

ついしん

佐々木亮介くん。素晴らしい才能に会えて嬉しかった。また一緒に演奏しよう。新しいともだちが会いにきてくれて、ほんとうに嬉しかった。

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岩を動かす力 への8件のコメント

  1. KUMIKO より:

    先ずは唄が壁の向こうに届くといいですね。
    聴かせてあげたいなぁ。

  2. 路子 より:

    昨夜は佐々木亮介さんの歌に、やられました。
    私、全くダメな人間。刺さりました。
    佐々木さんより長く生きているのに意味なし。
    社会をわかった振りして生きています。
    もっと実直に。
    まだ遅くない。
    この世界を確かめながら生き続けようと
    思いました。またもや深い、夜でした。

  3. Satoko より:

    佐々木亮介さん。ほんとに真っっすぐな表現で、言葉をひとりひとりの心に届けることの出来るシンガー。素晴らしかったです。
    そしていつも与えるばっかりでカピカピの洋さんが、大きな愛に包まれて何というのかふっくらと(?)していました。aloneとtogetherが同じ意味ってフレーズが、私にはなかなか理解できずにいたのですが、昨日の姿を見ているとほんとなんだなと。辛い実験よりこっちの人体実験の方がいいですね。笑
    今回は特にじわじわと効いてきてます。小心者の私はここでしか言えないけど、あの場にいられたこと、ありがとうございます。

    • Satoko より:

      ここでしかというのは、おかしいと思うことに声をあげないことではなくて。
      森さんも「知りたい」という声が多くなれば変わるかもしれないと最後におっしゃてました。私も知ることからしか始まらないと常に思っています。今回は忙しい時期で駄目だったけど、次は友達を誘って行こうと思ってます。でも、初参加の方が増えるほうがいいのかもしれないなと、ちょっと考えなくもないのですが。小さな会場の良さと難しさ。

      皆さんのメッセージはそんなやわなものでは無いのに、声をあげられないという風に伝わると余りに失礼かと。すみません。わざわざとは思いましたが追記でした。

  4. ぴーす より:

    参加させていただき、山口さんの歌とつながってるーと思いました。

    「心に壁が立つのなら 向こうの景色を描けばいい 虹のたもとへ続く道を 一本描いてやればいい」心の限りに想っていると壁の向こうへ続いてゆくよー

    「貧乏人も金持ちも 等しく夢を見るのなら」誰だって、眠っている間は平等で自由なのです。

    「解き放て 命で笑え 満月の夕」音楽は心を解き放ち、絶望を希望に変えてくれる魔法なのかもしれません。

    間違っていることを間違っていると、わからないことをわからないと、まっすぐに云うことは、覚悟をもって、今の自分の精いっぱいをエンジョイしている人だからできるのでしょう。
    命の尊さというと重ーいと感じるかもしれませんが、死刑について考えることによって、やっと感じられる、命の大事。人間って、よほどのことがない限り大事なことに気づけないけど「それでも世界は美しい」と信じることができる、素晴らしい生きものでもあるんだなぁ。ありがとうございます。あの場にいられて、ほんとうによかった。

  5. たけし より:

    遅ればせながら、渋谷のHMVでYOUR SONGS購入してきました。

    私ごとですが、昨年、引っ越しをして生活空間を身の丈の広さに合わせた場所に移転したので、大量に所有していたCDをほとんど処分してしまいました。取捨選択の基準は、アーティストのサインが入っているかどうか…。奇跡的にも、HEATWAVEのCDは、メジャーレーベル時代のもの含めほとんど手元に残っています。

    購入者の勝手なエゴでしかありませんが、今後もサインがいただけるCDしか購入しないことに決めました。サインをいただく機会があることで、私があなたのCDを買いましたよ…という決意表明というか、あなたの音楽が私の生活の一部になっています…と、顔と顔を合わせて伝えることができますから。

    これからゆっくりYOUR SONGS拝聴いたします。サイン会楽しみにしています!

  6. daisy より:

    クマちゃんとは安田さんことかな、などど勝手に想像します。鞄から泡盛出しそうだし。
    仕事の都合で、久々のシモキタ行きがキャンセルとなり、残念でした。YouTubeに上がったら聴きますね。
    次回、楽しみにしています。

  7. EB より:

    Thank you to you and Sasaki Ryosuke san for the beautiful music the other night. May your songs reach those walls!

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