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7月23日 月曜日 晴れ

若い世代にいろんなことを請われるようになって。

果たして役に立つかどうかはともかく。自分が経験して、たどり着いたこと。いくつか伝えておこうと思う。

あくまでも俺の主観だから、これが正しいなんてことはない。そもそも正しさが俺にはよくわかんない。

いわゆるドン底、もっと言えば「あぁ、ここで俺も終わりだな」と思ったことは何度もある。右にも左にも上にも下にも、明日にも昨日にも。どこにも行きようがない。八方塞がり。自分が努力すればどうにかなることを悩みと呼ばないことをその時知った。自分にはもはやどうしようもない。吹雪に耐えるように、体力の消耗を抑えて、ただひたすらじっとしているしかない。

あ、それだと話が難しくなりすぎる、か。では、自分が努力すればどうにかなる「かも」しれないことに限定して。

どんなに最悪だと思える状況でも、頭の片隅にいつも「いいイメージ」があった。最悪ゆえに見えた夢かもしれないし、無意味な夢想なのかもしれないし、現実からの逃避だったのかもしれない。でも、何の根拠もなく、そこから抜け出すイメージはいつもあった。

考えてみてほしい。僕らが野球選手だったとして、打たなければいけない場面は打てばヒーロー、凡退すれば戦犯。ならば、打席に入るときは「いいイメージ」で入った方がいい。それは訓練すれば誰でも到達できると思う。

そう思えるためには何か人と違う圧倒的なものが必要だった。僕の場合、どんな状況でも逃げなかったという体を張っただけの甚だ頭の悪い根拠にすぎなかったけれど、逃げなかったことは、少なくとも少しだけ自分の自信にはなりかけていた。だから、それは人によるのだけれど、拠り所は何でもいいと思う。「いつも逃げてばかりいた」ってのも度を超したら、それは立派な個性で拠り所になりえると僕は思う。

そして大抵の場合、コンプレックスは力そのもので個性なのだった。

今は1%の可能性しかないと言われたなら、それは100%可能だと考えることができる。まぁ、今更オリンピック選手にはなれないけれど、自分で不可能だと決めつけてしまわない限り、どんな人にもその可能性はある。

「いいイメージ」、「根拠のない自信」、そして世界じゅうにいた先達、、、、。

デニス・ホッパー、チャールズ・ブコウスキー、LF・セリーヌ、ジェイムス・エルロイ、ヘンリー・ミラー、ウォーレン・ジヴォン、ショーン・ペン、、、、、エトセトラ。書き出したらキリがないけど、ああ、あと自分の父親。よくも悪くも。

そして、音楽があったこと。負の体験を脳みその中で、正のものにひっくり返す。それを肉体で表現して、誰かを元気にする。そう考えるなら、自分の負はすべて負ではないと思えたこと。机上ではなかったこと。それが生の体験で、自分で血を流したこと。自分の手を汚して生きたこと。

こうやって、なんとか頭をヤラれることなく(ヤラれてて、気づいてないだけかも)、今まで生き延びてきただけだと思う。人生をやり直したいなんてこれっぽっちも思わない。一回でじゅうぶん。苦笑。一回だったから、耐えられただけ。二回はいいよ、無理。

そう若い世代に伝えて。今日も今日のじぶんの「いいイメージ」を持って、一日を過ごす。

3000キロのツアーに出るまえに、クルマのホイールを洗ったよ。くっだらないことだけど、それは「いいイメージ」のひとつ。道中の音楽も買ったし、アイデアを車内で書き留める方法も考えた。行程もね。あの町まで頑張って走ったら、あのビール飲もうとか。笑。

ENJOY YOURSELF!

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イメージ への9件のコメント

  1. カジ より:

    今日のダイアリーを読ませてもらって、
    いいバースデーになりました。
    ありがとうございます!
        2018.7.23. なんと41 years old!笑

  2. mayu. より:

    泣けてきました。何度も読み返しました。
    出口がないけどどこかにあるかもしれないし。踏ん張ります。

  3. rie より:

    お前の欠けたところは個性なんだぜ
    初めて聴いた時、体の力がぬけました。 

    長い時間をかけて欠けたところは、もうそれが私なんだと思えました。
    と言いながらなんとかしたいって、あがいてる時もありますが。
    最近思ったこと、雨が降るから虹がでる。

    3000キロ、無理のないようお気をつけください。
    そして、熱く優しいパワーを届けてください。

  4. アキラ より:

    今日の文章、びんびんに伝わってきます。easy come easy
    goですね。

  5. のえりあむ より:

    数年前、長時間残業と仕事のプレッシャーからパニック障害を発症しました。症状がほとんどなくなった今でも頭の中には負の体験として残っていて、今後この体験とどう向き合っていけばいいのか悩んでいます。
    でも、今日のダイヤリーを読んで、道しるべを教えてもらった気がしました。

    負の体験を脳みその中で、「いいイメージ」で正のものにひっくり返す。そして、それを誰かに還元していく。
    (ひっくり返す、という表現が好きです)

    これなら自分にもできるような気がします。もちろん「いいイメージ」の素は、HEATWAVE(あとGRAPEVINE)の音楽から拝借して。

    長文失礼しました。どうしても感謝を伝えたかったです。

  6. Masako より:

    「いいイメージ」って大切ですね。最近、これは無理だという仕事をコツコツと片付けています。何故か、ある場所にいることを考えて。努力してもどうにもならないこともあるけれど、心の持ち方次第だと思います。いい方向に動いていく。それに、経験は大切だなぁと。仕事や生活への自信にも繋がります。若い子たちに伝えていかないとと思う前に、今の上役に伝えたいと思う、今日この頃です。

    3000キロ?全過程、 車の旅なのでしょうか?日本列島、とっても熱しています。ご無理なさらないように。たまにはワープする方法も考えてくださいね。

  7. かつらぎ より:

    映画、ラストワルツ、隣町の地元に愛される映画館にて良質な大音量で観てきました。いや、まったくもう、人生だ。ステージって、人生のスクランブル交差点。今の年齢で観たから、わかったこともあった。いい時もわるい時も同じ温度であるくことが、人生のコツなのかも。短所は、もはや個性なのだから。

  8. とよぞう より:

    6月4日、名古屋TOKUZOでのライブに参加させて頂いたブラック企業に勤めるサラリーマンです。リクエスト「明日のために靴を磨こう」を歌って頂き、誠に有難うございました。洋さんの気合いの入った歌声と、終演後に「無駄な経験ではないよ」と励まして頂いたことで、自分は勇気づけられ、非常に元気になりました。

    その後も、昼間はブラック企業で激務を続け、夜はインターネットの転職サイトで転職活動をするという厳しい日々が続きましたが、ついに転職先が見つかりました!
    7月末をもちまして、ブラック企業に「憎しみ込めてさよなら」します!

    洋さん、本当に有難うございました。新しい会社でも「いいイメージ」を持って元気に頑張ります。また名古屋にライブで来て下さい!

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