リスクマネージメント

10月16日 水曜日 曇り

あの台風が去った日。14時間かけて、岩手から東京に戻った。

おそらく、あの日、最も自力で移動した日本人の一人だと思う。

遠く離れた場所に住んでいる人に、あの惨状を説明するのはとても難しかった。おそらく想像できないのだ。

僕とて、自分で走破するまで、あれだけ広大な地域がやられていることを実感できなかった。テレビが伝える情報と自分の目で見るものは違う。

東北から東京、そして長野に至るまで。メジャーな河川はほぼ氾濫していたと言っても過言ではない。海抜の低いところはいたるところで広大な範囲に渡って冠水していた。

高速道路は通行止め。詳細な情報は一切入ってこない。開通のめどもわからない。一般道の渋滞はおおよそ信じがたいレベルで、微動だにしない。コンビニの食べ物も売り切れていく、あのままの状態が続いたらガソリンも売り切れただろう。

ナビやともだちからの情報で裏道を探し出すも、ことごとく冠水と倒木に阻まれる。あと数キロで高速に乗れるところまできたが、通行止めで引き返すという場面もあった。途方に暮れた。VICSなどの情報もほとんどアテにならなかった。なにより、ナビでは川ではないはずなのに、冠水しているから、陽が落ちてからはどのような状態のところを走っているのかわからないのだ。怖かった。とつぜん道路が陥没していたとしたら、止まることはできなかっただろう。なにせ、見えないのだから。水で。

どうしても帰らなければならなかった。ミキシングが間に合わないから。僕はイチかバチかの賭けに出た。大きな川を越えさえすれば、東北道を諦め、常磐道に乗れる。そしてその賭けに勝った。集中力も体力も限界。実際、危なかった。ラグビー中継で眠気を覚ました。帰ってこれたのは車高の高い4WDに乗っていたからで、以前までの車高の低い車だったら、僕も水にやられていた可能性が高い。

つまり、なにが言いたいかというと。

実感として、政府が国民を守ってくれるなんてことはない。自分の身は自分で守らなければ。今後やってくるすべての災害において。僕が首相なら、事前に対策本部を作って、即座に対応できるようにするだろう。でも、彼らにその気はない。自分で経験してみて、身にしみた。この国のリスクマネージメントはヤバい。まったく機能していない。

帰ったら、今度は自分の家の台風被害を回復させなければならなかった。

おそらく、地球温暖化が多いに影響していると思う。ここ数年の水害はすべて知り合いが被災した。熊本の地震では僕が被災した。ほんとうに人ごとではないのだ。みなさんもどうぞ、気をつけて。たいせつな恋人や家族を守ってほしい。

昨日からfacebooktwitterでスタッフによるHW 40th企画が始まっています。是非、参加してくださいとのことです。

 

 

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リスクマネージメント への1件のコメント

  1. Masako より:

    冠水の道は本当に怖いです。車の運転は水の中では止まれないですから。豪雨の運転は昼も夜も、とても緊張します。かなりの距離を走られたんですね。果てしない、危険な運転、ご無事で何よりです。CDの発売を間に合わせるために、走られたのですね。ありがとうございました。
    情報は翻弄しています。これからは経験以上の備えが必要だと思います。情報を共有しあって、判断したいですね。

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